飲食店の「TikTok」集客を、バズり酒場『あそばれ』に聞く。総再生数5000万回の動画術とは？

料理長が市場で一頭まるごと買い付ける黒毛和牛が自慢。リーズナブルな価格帯での提供であり動画を好む若い世代との親和性も高い

初心者でもちょっとしたコツをおさえれば動画は撮れる

動画に対する心構えや動画を作る流れはそこまで難しいものではない。参考にできるポイントも多いだろう。

「最終的に来店してもらえれば売上にはつながりますが、あくまでTikTokは店の認知を上げるためのツールだという考えなので、動画ではあまり来店を促しません。動画の視聴者が全員来店できるエリアに住んでいるわけではないので、とにかくフォロワーやファンを増やすことを考えています。

ファンを増やす工夫と言うと大げさですが、例えば出演スタッフのキャラクターや性格を設定して覚えやすくしたり、最後にオチがあるようなお決まりの流れを作って視聴完了率を高めるようにしていますね。

動画の撮影で心がけているのはワンテイクで撮り切るようにすること。カメラワークなどを変えることで動きを出して飽きさせないようにしています。基本的には元芸人チームがネタを考えて演出も行うんですが、出演している店舗スタッフから出てきたアイデアを盛り込むこともよくありますよ。

店舗がある新宿という土地柄スタッフ数も多く、動画に出たい人に出てもらっているので、出演しているスタッフも楽しんでいますね。むしろ最近はアイドルや音楽活動をやっていて知名度を上げたい人が『動画に出たいから雇って』と面接に来ることもあるので、集客だけじゃなく求人にも役立っています」

見方を変えれば店内はロケ地のような存在。ファンにとって憧れの場所にもなるだろう

スマホひとつで撮影できる動画だが、これから始めようと思っても肝心の内容を考えるのはなかなか難しいかもしれない。

「『あそばれ』がやっているコント調じゃなくても、共感を得ることでもファンは増やせます。業態特有のあるあるネタみたいなものだったり、お店のエリアに特徴があればそこで共感を得る内容にしてもいい。普段言えないうっぷんを動画にするのも一つの手だと思います。

あとは動画を見て賛否両論が起こるような内容も効果的なケースがあります。炎上商法までいくとやりすぎですが、YouTuberがわざとアンチを作るような発言をして認知を高めたパターンがあるように、動画からポジティブ・ネガティブのどちらかの感情が生まれれば印象に残りやすいはずです。

その証拠に『あそばれ』で一番再生数が多い690万再生された動画は、あくまでネタですが『お客様に出すレモンサワーを店員2人が飲んでそのまま出す』という内容。本来飲食店ではありえないことですが、コントのひとつとしてわかるようにしておけばネタにできると思います。

とにかく、どんな内容がウケるかは店舗によっても変わるはずなので、人気の動画を参考にしていろんなパターンで視聴者の反応を探っていくといいでしょう」

YouTube店舗公式チャンネルの投稿一覧。TikTokで再生数の多い動画はこちらでの伸び率もよさそうだ

よりよい動画にするために注意するべき点は？

最後に、動画で発信するにあたっての気をつけたいポイントもうかがった。

「まずは出演者を多く出しすぎないことです。視聴者はすべての動画を見るわけではないので、登場人物が多すぎると覚えきれませんからね。可愛い、イケメン、面白いなど、少人数でそれぞれの個性やキャラクターを立てることが大切です。

そして出演するスタッフに無理強いをしないこと。嫌々出演していたスタッフが店を辞める際に『自分が出ている動画を全部消してくれ』というトラブルが起こる可能性もありますから。

動画を撮影するのは営業時間外が多いと思うので、時給を出すなど撮影にしっかり対価を払うことも重要です。うちの場合は『○○回再生を突破したらディズニーランドのチケットをあげる』というボーナスも設定しています」

曽根さんによると、「どんな業態でも集客につながるチャンスは大きい」というTikTok。ショート動画でファンを掴めれば、『あそばれ』のように売上200％アップも夢ではない!?

『和牛と牛タンの店 あそばれ新宿東口店』
住所／東京都新宿区新宿3丁目35-10 ローヤルプリンスビル5F
電話番号／03-6380-0040
営業時間／16:00～24:00
定休日／12月31日～1月3日
席数／80
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