飲食店ドットコムのサービス

注文率99%! 五反田『酒肴あおもん』の名物「重さゼロのアジフライ」を徹底解剖

LINEで送る
Pocket
follow us in feedly

長崎県・松浦港から届く新鮮な真アジから丁寧に仕込む

画像を見る

単品原価率は30%。原価を抑えるための工夫も

提供時の見た目で工夫したのは、カットして断面を見せること。アジの新鮮さとともに、絶妙な火入れ具合を一目で伝えられる。ソースではなく、ニラ醤油、あるいは塩と山葵で食べてもらうのも特徴だ。付け合わせには舌がサッパリするキャベツの赤酢漬けを選んだ。

ファーストオーダーで注文が入ることがほとんどだが、実際にアジフライを提供するタイミングは来店40分後くらいを目安にする。軽いとはいえ、やはり揚げもの。それだけでゲストのお腹が満足しないようにするペース配分だ。また、濃い味に口が支配されると刺身が楽しめなくなってしまうから、という配慮もある。

提供スタイルも進化させた。大きな変化は「半熟(しっとり)」と「完熟(しっかり)」という2種類の揚げ加減を選べるようにしたこと。1枚ずつ別々の揚げ加減をオーダーするゲストも多い。

「最初にレアのアジフライを揚げて、2枚目にしっかり火が入った方をご提供します。2回分を楽しめることで、1,200円という価格に納得感を持っていただけるようにしています」

店舗トータルの原価率は24%ほどだが、アジフライ単体では30%。温暖化の影響もあって真アジの漁獲量が減っているため確保が難しくなり、仕入れ値も上がりつつある。原価を抑えるためにパン粉を特注にしたり、揚げ油を試行錯誤したりするなどの経営努力も続けているという。

半分にカットすることでアジの新鮮さが際立つ

画像を見る

最後に、渡辺氏に「看板メニュー開発の極意」を聞いた。

「自分の店でアジフライを出そうと思った段階から、なんとなく世の中で流行るという波を感じました。そうしたブームが訪れるのは、レモンサワーでも、おにぎりでも、すでに世の中にある料理であることが多いです。名物をつくりたいのなら、奇をてらったメニューだけでなく、すでに市民権を得たものに目を向けるといいですよ」

2024年3月12日には『肴場あおもん』が代官山にオープン。この2店舗目でも、もちろん「重さゼロのアジフライ」が楽しめる。

『酒肴あおもん』
住所/東京都品川区西五反田2-31-4 KKビルB1F
電話番号/03-6417-0636
営業時間/17:30~23:30
定休日/日曜
坪・席数/15坪24席
https://www.instagram.com/shukou_aomon/

『肴場あおもん』
住所/東京都渋谷区恵比寿南3-4-1 Mトリアノン102
電話番号/080-5908-6115
営業時間/17:30~23:30
定休日/日曜
坪・席数/10坪28席
https://www.instagram.com/sakaba_aomon/

この記事は役に立ちましたか?
はい いいえ

Pocket
follow us in feedly
飲食店ドットコム通信のメール購読はこちらから(会員登録/無料)
飲食店ドットコム ジャーナルの新着記事をお知らせします(毎週3回配信)
神吉弘邦

ライター: 神吉弘邦

経済誌『Forbes JAPAN』、デザイン誌『AXIS』、建築誌『商店建築』、カルチャー誌『BRUTUS』などに寄稿するフリーランス編集者。コロナ禍で飲食店のありがたさに気づき、料理の奥深さにも開眼。メディア取材や企業コンサルティングのかたわら、現在「あて巻き」発祥の寿司居酒屋でも修行中。実家は仕出し屋。