全国20店以上のコスパ居酒屋『おすすめ屋』。新たに挑むダーツバーが収益的においしいワケ
2,200円~2,500円で食べ飲み放題できるコスパ居酒屋として、若者を中心に支持される『卓上サワー×食べ飲み放題 居酒屋 おすすめ屋(以下、おすすめ屋)』。2024年11月8日には神戸初の『おすすめ屋 神戸三宮店』に併設する形で、ダーツバー『ALIVE 神戸三宮店』を開業した。
なぜ『おすすめ屋』は新業態、しかも「ダーツバー」に挑んだのか。今回は『ALIVE 神戸三宮店』で実際にダーツを体験しつつ、オープンの経緯や、ビジネスとしてのメリットについて、代表の加藤誠庸氏に話を伺った。
ターゲットに親和性あり。居酒屋とダーツバー
現在東京を中心に全国に20店舗以上を展開する『おすすめ屋』。2時間で70品以上の料理と、70種類以上のアルコールを含む全140品が食べ飲み放題の定額居酒屋として人気を博している。
そんな『おすすめ屋』が昨年10月、新業態のダーツバー『ALIVE 神戸三宮店』(以下、ALIVE)を併設する形で神戸に初進出を果たした。このチャレンジの経緯について加藤氏は「物件との出合いがきっかけだった」と打ち明ける。
「大阪・梅田に『おすすめ屋』を出店したタイミングから、神戸へも出店すべく45~55坪の物件を探し続けていました。しかし、この大きさの物件は競争が激しく、なかなか空きが見つからなくて。一方で70坪以上の大箱は結構空いていました。大阪の出店で従業員もすでに抱えていて、早く神戸に出店したいと思っていたので、大箱の物件でしたが思い切って借りることにしたんです。その代わり、居酒屋ともう一つ別の業態とにスペースを分けて営業しようと考えました」(加藤氏)
新業態を考えたとき加藤氏の頭に浮かんだのは、「ダーツバー」だった。近年、全国的に増えてきているダーツバーは、業界的に右肩上がりであること、自身も飲み会の二次会などでダーツバーを利用することが多かったというのがその理由。また、『おすすめ屋』のメインターゲットであるZ世代は、ダーツバーとの親和性も高く、ビジネスとしての相乗効果が狙えると加藤氏は判断した。
「神戸エリアのダーツ人口とダーツ店の数、ダーツの台数を調査した結果、需要に対して供給が足りていないことが分かりました。金額と内装以外で競合と差別化するのは難しいので、需要に対してダーツバーが足りてない神戸は最適な出店先だと思いました」(加藤氏)
二次会需要を取りこぼさない
神戸三宮の店舗は、居酒屋の中に数台のダーツマシンを設置するのではなく、「ダーツバー」と「居酒屋」を完全に独立したそれぞれの業態として構成している。
この理由について加藤氏は、「居酒屋の場合、お客さまが立ち上がってダーツを始めてしまうと、店としてテーブル管理が難しくなります。それに、飲食している横でダーツが始まる状況を嫌がるお客さまもいると思ったんですよね」と話す。業態を分け、内装などの雰囲気もそれぞれ変えることで、「一次会は居酒屋、二次会は隣のダーツバー」というようにワンフロアで二つのシーン需要を取り込めるという狙いもあった。
二つのエリアの真ん中には、トイレと厨房が位置しており、それぞれの業態で共有している。居酒屋とダーツバーで提供する器やグラスは変えるが、基本的にメニューは同じ。注文に関してもモバイルオーダーを導入しており、チャージ料はない。ダーツバーはお客自身が空いているダーツ台に100円硬貨を入れて自由に楽しむスタイルだ。お店側でのダーツ台管理も不要なため、スタッフを1名追加するだけで営業できているという。
飲食で確立した仕入れ力が大きな武器に
ダーツバー業態の収益構造について、加藤氏は「極めてシンプル」と語る。
「居酒屋業態は150席に対して、1日当たり8人ほどのスタッフが必要ですが、ダーツバーなら1人で済む。注文もほとんどがドリンクなので、オペレーションも楽です」(加藤氏)
メニューに関しては、周辺の競合店を調査した上で値付けを行った。『おすすめ屋』ではドリンクを全店舗含めて大量に仕入れることで原価を下げているが、『ALIVE』でもアルコール類は500円以下と低価格での提供を実現している。それでもドリンクの原価率は10%程度。先述した通り、ダーツバーに関してはスタッフを1名追加するだけで運営できるため、人件費も安く済み、居酒屋業態に比べて極めて原価率が低く、高い収益性を確立できているのだ。
また、さまざまなグルメ予約サービスなど、複雑な広告システムが存在する飲食業界と違い、ダーツ業界は専門のポータルサイトがほとんどない。そのためインターネット上での広告費はMEO施策が主となり、この点でもコストを下げられている。
「現在『ALIVE』は約20坪40席で、客単価が約2,000円。滞在時間1~2時間で、月商100万円ほどの業績です。会社としての目標に届くまでにはまだ時間がかかりますが、すでに初期コストはペイできています」という加藤氏。2025年1月時点でリピート率は22%と上々だ。
この好調な滑り出しは、『ALIVE』が「ダーツの初心者」にフォーカスを当て、コンテンツの間口を広げたことも影響している。
「競合店が狙うのは『ダーツ好き』のマーケットですが、うちはそれ以外の層もターゲット。『ダーツは未経験だが、たまたま行った居酒屋の隣にダーツバーがあったから立ち寄ってみた』ぐらいのシーンを想定し、軽い来店動機のお客さんにも楽しんでもらえる店づくりをしています」(加藤氏)
導入したのは、シェアNo.1の「ダーツライブ」
初心者や未経験者でも楽しめるように――。そんな『ALIVE』が導入するダーツマシンこそ、シェア約70%と業界一の知名度を誇る「ダーツライブ」だ。導入した理由について加藤氏は、「マシンとして操作性が良いのはもちろんですが、圧倒的なシェア率と、上場企業グループ会社の製品であるという安心感は大きい。何より、自分自身も『ダーツライブ3』のパーティーゲームが好きだったので」と即答する。
さらに加藤氏は、導入後に実感したメリットとして、SEO対策面の優位性を挙げてくれた。「ダーツライブ」では、「ダーツライブサーチ」という、月間約20万人が利用するダーツライブ設置店舗検索サイトを運営しており、ダーツライブをオンライン導入すると掲載される。
「ダーツライブサーチ」はSEOに強く、Google検索で「三宮 ダーツバー」と入力すれば、検索結果の上位に表示されるという。キャンペーン告知なども表示できるので、来店促進のアプローチとしては効果抜群だ。
「楽しかった!」「またやりたい!」で再来店の好循環が生まれる
今回実際に、ダーツ経験数回の筆者がゲームを体験してみた。ゆったりとしたテーブルとソファ席が配された店内にはネオンが輝き、クラブやバーラウンジのようなアッパーな空間が気分を高揚させてくれる。
『ALIVE』ではダーツマシンの種類にかかわらず、1ゲームにつき100円(1人当たり)で楽しめる(チャージ料なし)。今回プレイした「ダーツライブ3」は、得点を加算していく「COUNT-UP」や、あらかじめ決められた点数を最初にゼロにした人が勝者となる「01 GAME」など、王道のゲームメニューが充実している。ほぼ初心者の筆者は「COUNT-UP」を体験。ダーツは技術がなくても挑戦しやすく、周囲の人に教えてもらいながらプレイするのも楽しい。新たなコミュニケーションが生まれるきっかけにもなると感じた。
またパーティーゲームの豊富さも「ダーツライブ3」の魅力だ。全20種類のミニゲームを楽しめるメニュー「飲飲DX-ヤムヤム-」は、ゲーム結果に応じて罰ゲームドリンクが表示される。グループなら盛り上がること必至だ。
お店自体は初心者向けでありながら、「ダーツライブ3」自体はコアなファンも楽しめるマシン。これまでのゲーム履歴を記録できるカードがあったり、通信対戦が可能だったり、ダーツ好きを満足させる機能が盛りだくさんだ。
個人的には、ダーツをせずともお酒を楽しむ場所として開かれているのが好印象だった。居酒屋帰りなど、気軽に足を運べる雰囲気で、テーブルにはトランプも置かれており、朝の4時までくつろげる。フードは330円~、ドリンクはアルコール440円~とかなりリーズナブル。二次会や三次会時に盛り上がるテキーラやコカボムもあり、写真映えするコカボムタワーなどは、パーティー需要にも応えてくれそうだ。
業界は右肩上がり、新たな収益の柱になる「ダーツバー経営」
外食産業の競争が激しくなる中、新たな収益の柱を見つけたいと考える経営者も多いだろう。ダーツバーは飲食業経営の経験を活かし、新たな利益を創出できるビジネスとして、今後さらなる注目を集めそうだ。
■撮影協力:ダーツバー『ALIVE 神戸三宮店』
住所/兵庫県神戸市中央区北長狭通1-8-1 コスモビル4F
電話番号/050-2030-6444
営業時間/18:00〜4:00
定休日/なし
席数/40
[提供] 株式会社ダーツライブ
