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アラン・デュカス、三國シェフなど。ガストロノミ―の真髄を学ぶ料理人の書籍4選

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画像素材:PIXTA

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料理は味や技術だけでなく、その土地の風土から作り手の歩んできた道、料理観までをも映し出す。ここでは、そんな背景まで味わえる4冊を紹介する。どの本にも、シェフの経歴や店の魅力、料理哲学が凝縮されている。

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谷口英司・著/『L'évo その全貌と進化 —60の料理と30のトピックから—』

2025年8月に刊行された『L'évo その全貌と進化 —60の料理と30のトピックから—』は、富山県南砺市・利賀村に佇むガストロノミーレストラン『L’évo(レヴォ)』の初の書籍だ。

四季の料理60品を迫力ある写真とともに紹介し、店づくりや料理観、食材と土地の関係を30のテーマで紐解く構成となっている。紙面を通じて、標高1,000メートルの秘境に漂う空気や光、そしてオーナーシェフ谷口英司氏の哲学に触れられるだろう。地方という立地を逆手に取った経営手腕や発信力は、地域性を活かした店づくりを目指す経営者にとって大きなヒントになるかもしれない。

著者の谷口氏は1976年大阪府生まれ。和食料理人の父の影響で料理の道へ進み、国内外の名店で経験を積んだのち、2014年に富山市で『L’évo』を開業。2020年には宿泊施設を備えたオーベルジュとして利賀村へ移転し、自然と共鳴する料理を探求している。その実績は、『ミシュランガイド北陸2021特別版』での二つ星とグリーンスターの同時受賞、『ゴ・エ・ミヨ2022』での日本人唯一となる二度目の「今年のシェフ賞」受賞、『Destination Restaurants 2021』でのレストラン・オブ・ザ・イヤー選出など、枚挙にいとまがない。

・『L'évo その全貌と進化 —60の料理と30のトピックから—』

アラン・デュカス・著/『アラン・デュカス、美食と情熱の人生』

2025年7月に刊行された『アラン・デュカス、美食と情熱の人生』は、アラン・デュカス氏が自らの半生と哲学を語った自伝的エッセイだ。世界規模での展開やブランド戦略といった視点は、多店舗展開や海外進出を視野に入れる経営者にとって格好のケーススタディとなるだろう。

本書では、幼少期の農場生活、飛行機事故からの生還、ジョエル・ロブション氏との出会い、日本食への深い造詣など、一人の料理人としての節目が文学的な筆致で綴られている。章立ては「土地と森」「地中海」「パリ、ニューヨーク、東京」「マニュファクチュール」など多岐にわたり、デュカス氏の美食哲学と未来への展望がうかがえる構成だ。

デュカス氏は1956年フランス南西部生まれ。16歳で料理の道に入り、33歳でモナコの『ル・ルイ・キャーンズ』にて史上最年少でミシュラン三つ星を獲得。2005年には3店舗同時三つ星という前人未到の偉業を達成したことでも知られる。現在は世界各地に30以上のレストランを展開するかたわら、料理学校『エコール・デュカス』の運営を通じて教育や文化発信にも尽力している。

・『アラン・デュカス、美食と情熱の人生』

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すずきあゆみ

ライター: すずきあゆみ

フリーライター。飲食業界で約8年にわたり接客・調理に携わった経験をもとに、現場目線を大切にした取材・執筆を行っている。現在は食・暮らし・働き方を中心に、インタビューやコラムなど幅広く執筆中。 https://www.instagram.com/ayumisuzuki__/