『ロッテリア』全店閉店で『ゼッテリア』へ。ゼンショーによるリブランド戦略と飲食店経営のヒント
ゼンショーホールディングス(以下、ゼンショー)は、傘下のハンバーガーチェーン『ロッテリア』の国内全店を2026年3月末をめどに営業終了し、新ブランド『ゼッテリア』へ順次転換すると発表した。1972年の創業以来、半世紀以上にわたり親しまれてきたブランドの幕引き。SNS上では「青春の思い出」「あのメニューはもう食べられないのか」と惜しむ声も多く見られる。
一方で、この動きは飲食業界を取り巻く厳しい環境下での、戦略的な一手とも捉えられそうだ。人件費や原材料費の高騰、さらには消費行動の変容が進む中、運営元はどのような狙いをもってこの決断に至ったのだろうか。
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ブランド名刷新の背景。ゼンショー傘下でのシナジー最大化
ゼンショーは2023年4月に『ロッテリア』を買収し、グループの食材調達や物流、店舗運営機能を活用したシナジーの創出を掲げてきた(参照)。今回の全店転換は、その戦略を加速させる最終段階ともいえそうだ。
同社は牛丼の『すき家』や回転寿司の『はま寿司』、ファミリーレストランの『ココス』など多岐にわたる業態を展開しており、調達や物流におけるスケールメリットは極めて大きい。『ロッテリア』の看板を架け替えることで、旧ブランドの制約に縛られていたサプライチェーンの共通化や、機動的な商品開発・価格戦略を、一気に推し進める狙いがあるのかもしれない。
今回のリブランドは、過去のイメージを刷新し、自社ノウハウを詰め込んだ「高付加価値戦略」を本格化させるための大きなステップとも考えられそうだ。
「ハンバーガー×カフェ」による収益構造の多様化
『ゼッテリア』の特徴は、看板商品の「絶品バーガー」を核に据えつつ、フェアトレードコーヒーやスイーツを充実させ、カフェ機能を強化している点にある。これは単なるメニューの拡充にとどまらず、時間帯ごとの売上構造を抜本的に見直す狙いがありそうだ。
多くの飲食店を悩ませるのが、ランチ後の「アイドルタイム」の集客。同ブランドはこの空白の時間帯をカフェ需要で埋めることで、客数と客単価の安定化を図っている。コスト高に苦しむ昨今、限られた店舗リソースで収益機会を最大化させるこの手法は、個人店や中小チェーンにとっても参考にすべき点が多いだろう。
帝国データバンクの調査によれば、2025年の飲食店経営事業者の倒産件数は900件に達し、過去最多を更新。3年連続の増加となった。こうした厳しい市場環境下で、ゼンショーはブランドの転換と業態の再定義を同時に進め、生き残りの道を模索しているようだ。規模の大小にかかわらず全ての飲食店経営者にとって、変化を恐れずに戦略を組み直す重要性を示す、象徴的な事例と言えるのではないだろうか。











