飲食店経営でめざせ年収1,000万！ 多店舗経営の成功の秘訣って？
年収1,000万円はどうやって到達できるのか？
『日経レストラン』が2006年に実施した調査によると、飲食店経営者の平均年収は627万円。この627万円という数字は飲食店経営者全体の数字で、これが個人店に限定されると平均年収は494万円まで下がる。いくつかの店舗を経営してはじめて、この金額に届くというわけだ。
ではさらに上、たとえば年収1,000万円を目指すとなると何が必要なのだろうか。ここでは個人店の経営者がいかにして年収1,000万円にたどり着けばよいか、そのステップを考えてみた。ちなみに飲食店経営で年収1,000万円を得るためには、1億～3億円ほどの売上が必要だとされている。仮に2億円の売上で年収1,000万円を得られると仮定すると、月商300万円の店舗を5店舗以上経営しないといけない計算だ。なかなかハードルは高い。
では早速、成功のポイントを探っていきたい。目標を達成するには、以下2つのステップを踏む必要がある。
ステップ1……1店舗を繁盛店として軌道に乗せること
ステップ2……3～5店ほどの多店舗展開をはかり、売上を拡大すること
Photo by Tony Knox「bapst_romain_0736」
1店舗を着実に成功に導く4つのポイント
1、コスト意識
削れるコストはとことん削る。特に家賃はランニングコストとして大きく響くので、予定していた金額をはみ出さないようにしたい。また、飲食店は閉店するとしたら1年目が一番危ないとされているので、運転資金に余裕を持って、不測の事態にも対応できるように備えておきたい。
2、品質への投資
無駄なコストは抑えつつも、必要なところはお金を掛ける。たとえばスタッフの人件費を抑えすぎると離職率が高まり、逆に採用コストがかさんでしまう。また飲食店の核となる料理の品質、つまり食材へのコストを抑えすぎるのもよくない。掛けるべき費用はしっかりと掛け、抑えるべきところは抑える。その取捨選択を誤らないようにすることが大切だ。
3、細やかな接客
飲食店の良し悪しを決める要素は、「料理の質」「居心地」「コストパフォーマンス」とさまざまあるが、とことん追求するのなら「接客」の良さを究めるのもいいだろう。飲食店にはさまざまなゲストが訪れる。通り一遍の接客をするのではなく、ゲストと距離を縮めながらきめ細やかな接客をすれば、そのもてなしの心は必ずゲストに伝わる。そしてゲストが「心地いい」と感じる接客は、再来店をする強い動機にも繋がる。接客を究めるのはコストも掛からないし、繁盛店を目指すなら特に注力していきたいポイントだ。
4、時代への適応
飲食業界は目まぐるしく変化し続けている。そのため飲食店は、美味しい料理、質の高い接客を基本としながらも、常に時代を捉え続けることが大切だ。少しの変化も見逃さず、人々が今、求めている食を提供するため、時には思い切って舵を切ろう。
Photo by kslee「Chef」
多店舗展開する際に大切な3つのポイント
1、店を任せられる優秀なスタッフの確保
多店舗展開で最も重要なのは人材の確保だ。飲食業界には志の高い人が多数いるので、年代にこだわらず人材を探そう。20代など若手に店を任せて拡大している居酒屋チェーンもあれば、シニア層を積極雇用しているそばやうどんのチェーン店もある。
2、店の理念の明確化
2店舗目を出すにあたり、最も大切なのはスタッフにも共有・共感してもらえる経営理念だ。たとえば一流の味を破格の値段で提供する「俺の株式会社」。経営するのはブックオフの創業者としても有名な坂本孝氏だが、会社の理念は「美味しいものをリーズナブルに」かと思いきやそうではなく、「全従業員の幸せを追求する」ことだそう。
3、撤退ラインを想定しておく
多店舗展開では不採算店の撤退タイミングの見極めも重要だ。一般的には赤字が3カ月続いたら撤退を検討すべきだと言われているが、その判断は経営するほかの店舗の懐事情にもよるだろう。しかし潔い撤退によって次のチャンスをうかがい余力を残すことができるのは確か。さらに飲食店で成功している経営者の多くは、お店の1つや2つ、つぶした経験を持っている。たとえ苦い経験でも、そこから学ぶべきことをしっかりと学んで次の成功につなげることができれば無駄にはならない。
以上のように、飲食店経営者が年収1,000万円を目指す2ステップを考えてみたところ、基本に忠実に、そして丁寧に店舗運営していくことが成功の鍵であることを再認識した。しかし実際には、上記のような共通項をおさえたうえで、店主の創意工夫が必要だし、時の運も必要だろう。簡単ではないが、粘り強い挑戦の先には、きっと光が見えてくるはずだ。
