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JASRACが飲食店を含む全国352店舗に法的措置。BGMの無断利用に厳しく対処

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Photo by iStock.com/Koji_Ishii

日本音楽著作権協会(JASRAC)は今月13日、無断でBGMを利用する店舗に対して全国一斉に法的措置を行ったと発表した。BGMを利用していながら、著作権の手続きをしていない美容室や飲食店など178事業者352店舗が対象で、JASRACは簡易裁判所に民事調停を申し立てた。なお、対象のうち163事業者205店舗が美容室とのこと。

全国で一斉に法的措置を行うのは2015年、2016年に続き3回目となる。JASRACのプレスリリースでは、今後もBGMの適法利用促進のための様々な取り組みを推進していくと述べられており、店舗経営者は引き続き注意が必要になりそうだ。

BGMを店舗で流すには利用料が必要

JASRACは国内外の楽曲の著作権管理業務を行う組織で、楽曲の作詞者や作曲者などの権利者から著作権の管理委託を受け、利用者が使用料の手続きを行う際の窓口となっている。そのため、営利目的でJASRACの管理楽曲を利用する場合は、原則としてJASRACへの手続きが必要だ。

例えば飲食店などの店舗においては、音楽プレイヤーやパソコン・タブレットなどを使いBGMとして音楽を流すケースが「営利目的」に該当する(有線音楽放送などの業務用音源を利用している場合、音源提供事業者がJASRACに手続きしているケースが多いので、その場合はJASRACへの手続きは不要)。

BGM利用の著作権使用料は、店舗等の場合、面積が500㎡までの施設なら年額6,000円(税別)だ。使用料を支払えば、JASRACが管理するすべての楽曲が何曲でも利用できる。

Photo by iStock.com/Anatoliy Babiy

BGM利用を取り巻く環境の変化

過去の著作権法では、著作権者の許諾なくBGMを流すことができる規定(著作権法附則第14条)があったが、1999年6月の法改正でその規定が廃止され、2002年4月よりJASRACがBGM利用の管理を始めた。

当時は、有線音楽放送などによるBGM利用が主流であり、ほとんどの店舗は個別にJASRACに手続きをする必要はなかった。ところが、時代の流れとともに音楽も様々な形で配信・利用されるようになり、パソコンやタブレット端末によるBGM利用など、店舗ごとに手続きが必要となるケースが増えてきた。冒頭で紹介したようにJASRACが法的措置を行うに至った経緯には、こうした背景がある。

なぜ自分で購入した音楽のBGM利用に料金を支払う必要があるのか、と疑問に感じる経営者も少なくないだろう。しかし健全に店舗運営を行っていくには、定められたルールを守っていく必要がある。もし心当たりがある場合は、正しい知識を身につけて対処したいものだ。

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『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

ライター: 『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

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