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立命館大学が『食マネジメント学部』を設立。「食の知識」を武器に世界で活躍する人材を育成

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Photo by iStock.com/Goodluz

関西を代表する名門校として知られる立命館大学が、「食」を専門とした学部を新たに設立する。これまで食について学ぶといえば、専門学校や短期大学、四年生大学の場合は家政学科や栄養学科で学ぶというイメージが強かった。なぜ立命館大学が食に関する新学科の設立に挑んだのか? その背景や、新学部の詳細を紹介する。

経済学・経営学を基盤とした「食」を学ぶ

2018年4月の開設に向けて準備が進められている立命館大学の『食マネジメント学部』。食というジャンルを「マネジメント」「カルチャー」「テクノロジー」の三つの領域から総合的に学ぶことができる先進的な学部として、教育業界や産業界から注目を集めている。

同学科では単純に調理技術や栄養学についてだけでなく、経済学・経営学を基盤とした食を学ぶという。高度なマネジメント能力・実践的な行動力等の習得を視野に入れた教育により、幅広い領域で活躍できる人材の輩出を目的としている。

近年は教学のグローバル化を視野に入れ、海外の先進的教育機関との連携にも注力している同大学。新たに設立される食マネジメント学部も、『ル・コルドン・ブルー』と本格的に教学提携をする予定だ。『ル・コルドン・ブルー』は世界20 カ国以上で調理技術やホスピタリティの高度な教育を展開しており、日本の教育機関との連携は今回が初となる。

日本の食産業を世界的に発展させる人材を育成

この新学部が誕生した背景には、世界的に見た“日本の食文化の遅れ”が関係していると同大学は発表している。

例えば、日本で成功した飲食店経営者が海外に進出してもうまくいかず、結局その土地の経営者に店を譲渡してしまうという事例も少なくはない。日本人は「作る技術」に長けていても、食をビジネスとして成功させるテクニックが不足している傾向にあるからだ。

同大学の新学部では、食に関する「文化」「ビジネス」「科学」に精通したグローバルな視点を備えた経営者を育成し、日本の食産業の世界的な発展に貢献してくとのことだ。

想定される就業先は多岐に渡る?

同大学の新学部で学んだ後に想定される就職先は、調理師や栄養士といった限定的なものではない。例えば経営的知識を生かし、飲食店の経営コンサルタントや飲食店経営者になる。飲食店に限らず、飲食に関わる民間企業で企画やディレクションを担当したり、総合的な知識を駆使して食に関するジャーナリストを目指すという進路もあるだろう。

また、同大学で学んだことはグローバルな活動にもつながりやすい。同大学では日本や世界の食行動をさまざまな視点から学び、それを通じて世界に触れながら、異文化理解力や外国語コミュニケーション力も磨いていくという。日本にとどまらず、海外でも活躍したいと考える若者には大きなチャンスになるはずだ。

Photo by iStock.com/stockyimages

外国の食教育の現状は?

立命館大学の食教育は日本国内では画期的だが、海外ではすでにさまざまな形での食育が実施されている。例えば食育先進国とも呼ばれるフランスでは、食文化への国民の意識を高めるために、2001年に「国民栄養健康プログラム」を打ち出し、小学校での「味覚教育」「栄養教育」などを実施している。

現在不足傾向にあると言われている、食に対するビジネス的要素や学術的要素。これらを会得した日本の若者たちが、今後の飲食業界をどのような形でリードしていくのか注目したい。

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『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

ライター: 『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

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