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いざ再出発! 経営不振の飲食店がリニューアル・業態転換をする際のポイントは?

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Photo by iStock.com/KatarzynaBialasiewicz

お店の経営状態が芳しくないときに、リニューアルや業態転換を行い、再出発を図ろうとする経営者は少なくない。しかし、再投資が必要なケースも多く、相応のリスクが伴うのは言うまでもない。では、業態転換を成功に導くためには、どのようなポイントを押さえるべきなのか。詳しく紹介していきたい。

業態転換すべき店舗

業態転換をすべき店舗とは、どういった店舗だろうか? まず挙げられるのが、課題が明確であり、リニューアルや業態転換によってその課題が解決できそうな店舗である。例えば、幅広いジャンルの料理を提供する総合居酒屋を経営していたが、近隣に大手チェーン居酒屋がオープンして客数が減ったとする。同じようなメニューでは大手チェーンに勝つのは難しいが、特定の肉や魚介類、お酒などを専門として取り扱う店舗であれば、対抗する余地はあるだろう。

また、客単価の低さに悩む立ち飲み店が、客の滞在時間を長くするために椅子席を設置する、集客力を上げたい居酒屋が宴会需要に応えるために個室を設置する、といったリニューアルも目的が明確である。

ポイントとしてもう1つ挙げられるのが、業態転換するだけの資金余力があることである。以前は黒字だったが、だんだん売上が下がってきたというような店舗であれば、まだ資金余力がある場合も多いだろう。金融機関から借入をする場合、現在の事業についての説明と将来の事業計画が非常に重要である。いきなり貸してくれといってもなかなか難しいので、金融機関とは日頃からこまめにコミュニケーションを取っておく必要がある。

Photo by iStock.com/Ridofranz

どんな業態に変えるべきか?

では、どのような業態転換をするべきなのだろうか? 上にも挙げたが、メニューの専門化というのは1つのキーワードである。世間は外食に対して付加価値を求める傾向が高まりつつある。その需要に応えるためには、顧客満足度の高い「強いメニュー」が必要になってくる。「熟成肉」「串揚げ」「牡蠣」といった風に、「〇〇を食べるならこのお店」と思われるような店づくりが重要になるだろう。

また、顧客ターゲットをイメージしやすい業態にすることもポイントである。男性向けか女性向けか、若者向けかシニア向けか、どのような利用用途向けか、というように切り口は無数にあるが、明確に顧客ターゲットをイメージして業態を転換する必要がある。

メニューの専門化も顧客ターゲットも“絞る”ことが重要だ。幅広いメニューで幅広い顧客に来てもらいたいと思っても、そのようなお店は顧客からすると特徴のない店舗と見られてしまう。“絞る”ことで、お店の特徴をアピールしよう。

業態転換に関しては、価格帯の変更も検討する。安いほうがいいというのは全ての消費者の思いであるが、最近は付加価値の高いメニューであれば対価もしっかりと払う風潮になっている。業態転換にかかった投資回収も考えなければならないため、慎重に価格を設定しよう。

メニュー、顧客、価格についてまとめたが、これらは相互に関係している。この顧客に、このメニューを、この価格で提供するというような一連の流れで業態転換を考えるとよいだろう。

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Photo by iStock.com/Rawpixel

業態転換において注意すべき点は

まず、メニュー変更する場合には、変更後の内容がトレンドを押さえており、かつ一過性のものではないか確認しよう。飲食店ほど流行のサイクルが早い業界もなかなか無い。かといって、トレンドを押さえていないと話題にならないため、今後も人気が出るメニューなのかどうかを見極める必要がある。

また、顧客ターゲットを変える場合は、ターゲット顧客が近隣にいるか、ニーズに合っているか調査しよう。メニューや顧客ターゲットを変えた場合、今まで競合だと捉えていなかった店舗が競合店になる。差別化できるポイントを考えることも必要だ。

そして価格帯が変わる場合は、価格が変わると内装や接客サービスなども変更する必要がある。それらを変更するだけの資金余力はあるか、業態転換後の客単価と想定客数をもとにその投資の回収は可能かどうか、必ず確認しよう。

さて、今回は業態転換やリニューアルに必要な基本的な知識・考え方を紹介した。業態転換は大きな賭けでもあるが、成功すれば話題性のある繁盛店を作ることが可能である。もし、業態転換を検討する場合は、上で挙げたようなことをチェックしながら検討してみてほしい。

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若林和哉

ライター: 若林和哉

株式会社パートナー経営企画・代表取締役。飲食店の勤務経験や中小企業診断士の資格を生かして、事業計画作成や資金調達の支援、フランチャイズ関連のWebページの執筆やセミナー講師などを務める。好きなお店は、ラーメン・カフェ・日本酒のおいしい居酒屋など。https://パートナー経営企画.com/