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忘年会シーズン到来! 団体客の「無断キャンセル」を防ぐ5つの心得

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画像素材:PIXTA

近年問題になっている、飲食店の無断キャンセル問題。予約が入っていたにもかかわらず、時間になっても来店せず、しかも連絡すら取れないままになってしまうトラブルである。特に席数が限られている個人経営の飲食店では、ひとつの無断キャンセルが大きな打撃になることも。なぜこのようなトラブルが起きてしまうのか、また未然に防ぐ方法はないのか。そこで今回は、無断キャンセルされてしまった場合の対策やその予防法を改めて紹介する。

飲食店における無断キャンセルの現状とは

スマートフォンの普及により、いつでもどこでも行きたい店を検索できるようになった。店舗予約は電話でももちろん可能だが、グルメサイトを経由すれば、ボタン一つでさらに簡単に予約ができる。予約が増えること自体は飲食店にとっても嬉しいことだが、「人気店だからとりあえず予約した」「複数店舗予約して後からキャンセルするつもりだった」「予約したこと自体を忘れていた」などの理由で、無断キャンセルが増えているのも事実。手軽に予約できるからこそ、“うっかり忘れ”も起こりやすいと言えるだろう。

それだけでなく、悪質なケースも目立つようになってきた。偽名で居酒屋に17人分予約、無断キャンセルしたとして、偽計業務妨害容疑で逮捕者が出た例もある。明らかに嫌がらせ目的の無断キャンセルは店に深刻なダメージを与える。店側は、積極的に無断キャンセル対策を行わなければならないだろう。

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無断キャンセル対策の「最前線」

■デポジットシステム
デポジットシステムとは、予約時にクレジットカード情報を入力してもらい「預り金」を受け取る仕組みで、飲食店予約管理システムの「トレタ」などがその機能を提供している。店舗の席数に応じた月額料金が設定されており、小規模店舗でも導入しやすいのが嬉しいポイント。事前に預り金を受け取り、あえて予約のハードルを高めることで、無断キャンセルを減らす効果がある。もちろん、万が一無断キャンセルがあった場合には、その預り金を受け取ることでダメージの軽減も可能だ。「大人数の予約だけを対象にする」「クリスマスなどのイベント時期だけ導入する」「預り金の金額は自由に設定できる」など、柔軟なカスタムができるところも助かる。これまで飲食店ではあまり意識されていなかった「顧客管理」に目を向けることで、無断キャンセル抑止につながるはずだ。

■損害金サポート
「食べログ」などのレビュー・予約サイトが、店舗向けのサービスとして「損害金サポート」を始めた。サービス提供サイト経由での予約に限り、無断キャンセルがあった場合に一定金額が補償される仕組みだ。本来であれば、店舗と予約客間で行われるキャンセル料のやり取りだが、ネット予約の場合は特にその回収が難しいという現状がある。たとえ電話連絡が取れて、キャンセルポリシーに則ったやり取りが行われたとしても、その予約客が再び店に訪れることはまずないだろう。この問題を少しでも解消するために普及しつつあるのが、この「損害金サポート」だ。キャンセル料を予約客に代わってサイト側が支払うというのは、かなり画期的。食べログの場合は、特定の掲載プランを利用している店舗が利用できるので、ぜひ検討してほしい。

またここ数年、弁護士によるキャンセル料の回収代行サービスも増えている。登録は初期費用無料。実際にキャンセル料が回収できた場合、代行手数料として3割程度が差し引かれるというものだ。回収できる確率も高く、注目が高まっている。

■事前決済
飲食店向け予約管理システム「TableCheck」が提供する「TableCheck Pay」など、事前決済システムも普及しつつある。アプリを経由して注文から支払いまでを行い、「会計」そのものをなくしてしまおうという動きだ。将来的には「ノーレジ」という言葉も出てくるかもしれない。店舗にとっては無断キャンセルをなくすだけでなく、人件費削減のメリットもある。お客にとっても、レジで支払いをする煩わしさがなくなり、デートや会食の際にはスマートなエスコートが可能だ。店舗とお客の双方にメリットのある方法と言えるだろう。

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無断キャンセルを事前に防ぐ心得

■顧客管理や予約管理の徹底
無断キャンセル対策はこれからますます発展していくことが予想されるが、大前提として、店側がきちんと予約管理を行う必要がある。予約管理システムを導入する、顧客管理を行うなど、まずは店として簡単に始められることから徹底しよう。主な予約手段が電話の場合は、お客の名前だけでなく連絡先をきちんと聞くだけで、無断キャンセルの予防になる。

■お客との関係作り
無断キャンセルを減らすためには、お客との良好な信頼関係が築かれていることも大切だ。例えばレビューサイトに寄せられたお客からの意見に対し、きちんと返信できていなかった場合、「ゲストを大切にしない店」だと思われてしまうことも。そうするとお客側からも店を軽んじられてしまい、無断キャンセルにつながる。お客にきちんと向き合う姿勢を示し、互いに尊重し合える関係づくりをめざそう。

■予約特典など付加サービスの提案
無断キャンセルは困るが、予約をしてくれること自体はとてもありがたい。予約していただいたお客に確実に来店してもらうため、予約特典などの付加サービスを提案してみてはどうだろう。「ドリンク一杯無料」や「食後のプチデザートサービス」など、喜ばれるサービスを前面に打ち出せば、予約の増加にもつながる。会計時に次回使えるサービス券を渡すことで、リピート客の獲得も期待できるだろう。

■リマインドメールや電話
さまざまなシステムを検討・導入し、予防策を実践したとしても、お客のうっかり忘れや日時間違いなどに一つひとつ対応するのは難しい。そんなケースには「当日の午前中にリマインドメールを送る」「前日に電話連絡する」など、直接的な働きかけが有効だ。特に大人数の宴会予約が入っている場合には、電話連絡で最終確認を行うと安心。もしキャンセルになった場合でも、リカバリーできるような態勢を整えておきたい。

■キャンセルポリシー
予約サイトなどを利用していない店は、キャンセルポリシーを明示していないこともあるだろう。「キャンセルの場合はいつから費用がかかるのか」「人数変更は何日前までに連絡が必要か」など、きちんと文章化してホームページなどに記載しておくことが望ましい。無断キャンセルの予防になることはもちろん、キャンセルポリシーが明記されていることでお客側も安心して予約ができる。リマインドメールや電話連絡とあわせて導入したいところだ。

ここまで、無断キャンセル対策や予防法について紹介してきた。システムの導入は重要だが、まずは接客業であるという基本に立ち返り、お客ときちんと向き合う姿勢をもち続けよう。「顧客管理」は、無断キャンセル予防だけでなく、売上の上昇にもつながるので、すぐにでも導入してほしいマネジメントだ。最新の予約サービスやお客にとって手軽かつ確実な予約方法を調べるなど、トレンド調査も忘れずに。

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大槻洋次郎

ライター: 大槻洋次郎

父親が喫茶店を営む家庭に生まれ、31才の時にカフェで独立開業。個人経営のこだわりカフェの先駆者的存在となった。現在は大手カフェスクールや展示会での講師活動、飲食店の開業支援などを行なっている。現場目線の初心者でもわかりやすいノウハウに定評がある。メディア出演も多数。得意料理はパスタ。