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【新型コロナ】暗闇のゴールデン街で『配信酒場 閑古鳥』羽ばたく。新時代への“夜間飛行”

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オンライン上で『配信酒場 Snack 閑古鳥』の運営を始めたギャランティーク和恵さん

約200軒のバー・スナックが集まる新宿ゴールデン街は4月上旬から新型コロナウイルスの感染拡大防止策のためほとんどの店が休業している。歌手のギャランティーク和恵さんが経営する『Snack 夜間飛行』も自粛要請に従って休業。代わってオンライン上で『配信酒場 Snack 閑古鳥』をオープンした。

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灯りの消えたゴールデン街

夜の帳が下りてもゴールデン街にネオンサインは灯らず、ゴーストタウンのような状態。しかし、『Snack 夜間飛行』の紫の看板の上にある窓からは灯りが漏れ、午後8時を過ぎるとママのギャランティーク和恵さんとスタッフの声が聞こえてくる。

「〇〇さん、ありがとう」「〇〇さん、いらっしゃ~い」「みなさん、ありがとうございます。お酒もたくさんいただいて」「今日も楽しく飲みましょう! かんぱ~い」。

YouTube上で配信される『配信酒場 Snack 閑古鳥』は『Snack 夜間飛行』からのライブ配信。ギャランティーク和恵さんらは、客のいない店内からカメラに向かって話しかけ、視聴者はチャット機能を用いて思いを伝える。双方向性が担保された配信酒場には、常連客を中心に多い時で100人ほどが参加し、クローズの午後11時30分まで楽しむ。

店のTwitter画面からオンラインのチケット管理サービス「PassMarket」の申し込み画面に誘導。500円のチャージを支払うと、配信先のURLが送られるシンプルな仕組みが参加へのハードルを低くする。

閑散とした新宿・ゴールデン街。左手にある『夜間飛行』の窓から灯りが漏れる

とっさに口から出た「閑古鳥営業しない?」

4月7日に緊急事態宣言が発出され、同10日には都が「新型コロナウイルス感染拡大防止のための東京都における緊急事態措置」を発表。バーは遊興施設等として休業要請の対象となったため、ゴールデン街の大半の店はシャッターを下ろすことになった。『Snack 夜間飛行』も休業を考えなければいけない状況に追い込まれた。ここまでの経緯をギャランティーク和恵さんはこう振り返る。

「3月の中旬から下旬くらいから客足が遠のき、平日は2、3人しか来ない状態になりました。ただ、週末はその反動からかドッと混む状態。こちらも『それで帳尻取れるかな』という甘い考えでいました。でも、感染への危険意識は徐々に高まっていき、このまま店を開けていいものかという疑問は日に日に大きくなっていきました」(以下、コメントは全て同氏)

3月25日に小池百合子知事から週末の不要不急の外出を控えるように要請があった際にスタッフに聞き取りをすると「(感染が)怖い」という声も出たため、いつもはオープンしている土・日は店を開けないこととした。その時に自身が歌手として過去にオンラインで配信ライブをした経験もあり、とっさに「配信で閑古鳥営業しない?」と冗談交じりに提案。ネーミングもそのまま、週末だけの『配信酒場 Snack 閑古鳥』が始まったのである。

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松田 隆

ライター: 松田 隆

青山学院大学大学院法務研究科卒業。ジャーナリスト。スポーツ新聞社に29年余在籍後にフリーランスに。「GPS捜査に関する最高裁大法廷判決の影響」、「台東区のハラール認証取得支援と政教分離問題」等(弁護士ドットコム)のほか、月刊『Voice』(PHP研究所)など雑誌媒体でも執筆。ニュース&オピニオンサイト「令和電子瓦版」を主宰:https://reiwa-kawaraban.com/