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飲食店の「認証制度」、各自治体で終了の動き。新型コロナ5類引き下げに先立ち

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画像素材:PIXTA

新型コロナ感染拡大防止対策の一環として全国で実施されていた飲食店認証制度。政府による新型コロナの「5類引き下げ」に先立ち、いくつかの自治体がこの制度の終了に向けて動き始めている。

現時点で終了を発表しているのは、千葉県と静岡県浜松市。愛媛県も近く終了する可能性を示唆している。そのほか、認証申請の新規受付を終了している自治体も見られる。

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千葉県と静岡県浜松市は3月末で「認証店制度」を終了

千葉県は2021年7月より県内の全地域において、飲食店による感染対策を県が認証する、いわゆる第三者認証制度を導入。二酸化炭素濃度センサーでの適正なCO2濃度の維持が必須となるなど、厳しい感染対策基準が設けられた。2021年9月末に緊急事態宣言が解除された当初は、「認証店にかぎり、営業時間や酒類提供時間を制限しない」といった優遇措置が取られたこともあった。

県は認証店143店舗のうち123店舗に対し、パーティションなどの設備整備費として約4,315万円を補助したが、認証店制度の申請は伸び悩んだ。しかし、2021年10月に基本的な感染対策を条件とする「確認店」の登録制度を始めたところ、これまでに県内飲食店の9割以上にあたる約3万店が登録した。

こうした経緯から千葉県は1月23日、飲食店に感染対策意識が根付いたことなどを理由に、現在の「千葉県飲食店感染防止対策認証制度」を3月末で終えると発表。すでに新規の認証申請受付は、1月31日をもってクローズしている。またこれにともない、認証事業補助金も終了。今後は「確認店」として基本的な感染対策を継続するよう呼びかけている。

また静岡県浜松市も1月27日、2020年8月から実施してきた「はままつ安全・安心な飲食店認証制度」を3月末で終了すると発表。新規の認証申請受付は1月末をもってクローズした。終了の理由としては、県による「ふじのくに安全・安心認証制度」が普及したこと、飲食店や利用客に感染対策意識が定着したことなどを挙げている。

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宮崎県、秋田県でもすでに新規受付終わる

こうしたなか、愛媛県知事も1月26日に行われた記者会見の中で、5類引き下げの実施に先立って「愛顔の安心飲食店認証制度」を終了する可能性を示唆した。同県の認証制度は2021年5月から開始。県内では約4,800店舗が認証されており、22年3月までに認証を受けた飲食店には、奨励金として15万円が支給されるなどした。

同県知事は「国の交付金や制度の浸透度の問題、ウィズコロナに向けた意識の問題などのさまざまな変化に応じ、ある程度の時期に区切りをつけるべき」と理由を述べている。なお現時点では、具体的な終了時期についての言及はなされていない。

そのほかにも、宮崎県の「ひなた飲食店認証店」、秋田県の「秋田県新型コロナウイルス感染防止対策飲食店認証制度」が新規申請受付を終了するなど、各地の動きは活発だ。感染状況は収束せずとも、今後は本格的なアフターコロナに向けて、全国に認証店制度の終了・縮小の動きが広がるとみられる。

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小晴

ライター: 小晴

美容系雑誌編集者・ライターを経てフリーライターに。品川区のローカルニュースサイト「品川経済新聞」記者として、多くの飲食店取材に携わる。趣味は食べ歩き・飲み歩きと銭湯。