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横浜・野毛の「横丁」仕掛け人! オムニバス代表・新澤聖樹氏が横丁を作るこれだけの理由

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『満天ホール』の外観

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横丁が独立希望者や若い企業のチャレンジの場に

横丁の運営に、成功のセオリーはあるのだろうか。2022年4月に開業した『満天ホール』を例に、新澤氏の考える店づくりのポイントを解説いただいた。

横丁の最大のメリットは、1社でやるには広すぎてリスクが大きい箱に対して、複数の企業がテナントとして入ることで1社あたりの出資を抑えて出店ができ、かつ複合業態にすることで集客効果を高められる点にある。近年は、野毛の物件オーナーのほうから「横丁にしたい」というオファーも増えているそうで、「満天ホール」もその一例。1フロア40坪の物件の1階と2階に計9店舗が入っており、1社あたりの内装費は約300万円と格安なのにもかかわらず、全体で月商2,300万円以上を売り上げている。

このようにコストを抑えて出店できることから、「若いオーナーの独立1号店や、野毛にコネクションのない飲食店がチャレンジの場として出店するのにも横丁は適性がある」と新澤氏。

「満天ホールの場合、一番真ん中の場所には、私の地元の後輩の店が入っています。野球で例えたら、彼が4番バッター。で、最も入口に近い側は、テラスもあり集客しやすいので独立1号店を入れています。若い人の開業のエネルギーって、もう何店舗も出してる我々にはない勢いがある。それが一番入口側に構えているのは、施設全体の活気にもつながります。最奥は最も集客が難しいので、テーブル席を設けて少し落ち着いて飲める雰囲気を演出し、うちの店と、付き合いの長い『韓兵衛』さんが入居しています。横丁経験値の高い7番8番バッターが後ろでドーンと控えているから、若いオーナーも安心して思いっきり商売ができるというわけです」

『ナイス貝』の名物「オイスター」。生牡蠣・焼き牡蠣をそれぞれ1個100円で提供

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横丁の鉄板業態は「焼き鳥」

次に、出店する業態について。基本的には、地元の飲食店と、遠方の飲食店を半分ずつくらいの割合で構成し、お客に選ぶ楽しみがあるようなラインナップで業態の被りがないようにするのがセオリー。なかでも焼き鳥業態は鉄板で、「1施設に2店舗入ることもある」と新澤氏。「満天ホール」でも、『炭焼四季 鳥導 TORISHIRUBE』と『炭焼PoohTaro 風太郎』の2店舗が出店しているが、『鳥導』は「備長炭で焼き上げる本格焼き鳥」、『風太郎』は「焼き豚・焼き鳥」と、それぞれコンセプトを違えて個性を打ち出している。

ちなみにオムニバスが出店した『SEAFOOD ナイス貝』は、1個100円~の牡蠣を売りにした貝料理中心の魚介専門店。「みんなと被らない業態をやるから、うちは最後でいいよ、って(笑)。貝料理の専門店は昔、上大岡でやっていて、売上は悪くなかったけどちょっと時期尚早感もあってなくしてしまった経緯があるのでリベンジです」

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笹木理恵

ライター: 笹木理恵

飲食業界専門誌の編集を経て独立。スイーツ・パンからフレンチ、ラーメンなどまで、食のあらゆるジャンルを担当。飲食専門誌を中心に、一般雑誌やWEB、書籍などで活動している。「All About」「Yahoo!ニュース個人」でも執筆中。 https://foodwriter-rie.com/