北千住『酒仙坊』が坪月商42万円の好発進。味坊集団が挑む“せんべろ中華”の全貌
切って盛るだけ、焼くだけの料理をメニューに据え、オペレーションを効率化
名物となるのは中国式のおでん「醬卤(ジャンルー)」だ。八角など10種類以上のスパイスを使い醤油や紹興酒などで数時間煮込んだ料理で、お好みでニンニク醤油をつけて食べる。おでんの具も羊足や豚のウデ、牛のアキレス腱など、日本ではなかなかお目にかかれないラインナップが目を引く。
もう一つの名物が炭焼きだ。食材を生の状態から火にかける一般的な炭焼きとは異なり、「醬卤」を炭焼きにする独特の料理で、しっかりと出汁が染みたジューシーな味わいとスパイシーな味付けが特徴だ。
「醬卤」は4〜5時間煮込むため仕込みに時間はかかるが、営業中は注文を受けたら具材をカットしてお皿に盛るだけで済み、提供スピードが速い。炭焼きも具材を焼くだけのため、調理スタッフの負担は少ない。餃子や春巻きなどの点心も、店から車で15分の距離にある足立区のセントラルキッチンで仕込んでおり、店舗では茹でる、蒸す、揚げるだけで済む。その他のメニューも下ごしらえをしておくことで、注文を受けてからすぐに提供が可能なメニューばかりのため、回転率の高い店を実現できている。
「醬卤」は1品110円〜、串焼きも100円〜とかなりリーズナブルな価格設定だ。これは「自社農園の無農薬野菜を使う、自社で輸入する畜肉を使用することで、仕入れ値を抑えることができているから」と話す。人気の「甕出し紹興酒(1時間飲み放題)」(1,000円)もセルフサービススタイルで、お客へ酒を飲む楽しさを提供しつつ、従業員の負担を軽減し、お客へ還元している。
また、自家製の豆板醤を使用した「トウバンカレー」、手作りの紹興酒シロップに宝焼酎を合わせた「味坊サワー」など、ほかグループ店舗にもないメニューで味坊ファンを呼ぶ。
