板橋区赤塚で予約必至! ワインビストロ『No.1000』に倣う、街に愛される店づくり
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ハイクオリティの料理とワインでもコスパ高! その裏側に隠されたひたむきな姿勢
二人が赤塚の街に抱いた印象は的中した。着工当初から「何ができるの?」「楽しみにしてるね」と、見ず知らずの住民たちに声をかけられることも多かったという。実際にオープンすると「◯◯さんに紹介してもらって来た」「こういうお店を待っていたんです!」と、続々とお客が来店。みるみる噂は広まり、今では2、3つ隣の駅から足繁く通うお客も少なくない。栗下夫妻は「赤塚の街にしてよかった」と嬉しそうに微笑んだ。
現在、平日は俊也氏がワンオペで店に立っている。「素直に『おいしい』と身体に馴染み、『また食べたい』と恋しくなるような印象に残る料理」を目指しているというその品々は、クオリティもボリュームも、名店といわれるような都心のビストロに勝るとも劣らないだろう。
フレンチをベースに和や中華、エスニックなどの要素を取り入れながら、メインの付け合わせ一つにも季節感を加え、月に複数回来店する地元客のためにメニューはあえて頻繁に入れ替えるなどさまざまな楽しみを提案。一人客でも楽しめるよう、メイン並みにボリュームのある温菜を揃えるほか、一部ハーフポーションなどに対応する点も『No.1000-sen-』が支持を得る理由の一つだ。
一方、ワインはボトルに加え、赤・白・泡・ロゼ・オレンジのグラスワインを常時10種類ほどラインアップ。料理と一緒に楽しむ際に抜け落ちてしまう味わいがないよう、ナチュールに限定せず、クラシックなものやビンテージまで国を問わずバリエーション豊かに取りそろえる。
そして何といっても驚くのは、そのリーズナブルな価格だ。前菜は500円〜、メインも多くは2,000円台で、グラスワインは800円〜と実に良心的。
「自分たちがこれくらいだったらいいな、という価格が基準です。とにかく僕らは、料理もお酒も心ゆくまで味わってほしい。その満足度には価格も大きく関係すると思っています。人件費がかかっていない分お客さまに還元したいですし、できる限り手間や時間を自分たちが負うことでお客さまの満足につながるのであれば、全然惜しくありません」と、俊也氏。
食材の買い出しは自身の足で数件の店をハシゴするほか、パンやフォンドボー、ソース、餃子の皮にパスタなど、つくれるものはできるだけ自家製に。ワインの価格が自由にコントロールできない代わりに、料理はコストを抑えながらおいしいものを提供する努力を惜しまない。
千花氏は「彼はとにかくお客さまに喜んでほしい一心なんです。口下手なので営業中の言葉数は少ないかもしれませんが(笑)、すべて料理に表れているからぜひおいしいうちに味わってほしいですね」と背中を押す。
そんな実直な人柄や、互いをリスペクトし合う二人の関係性にも、人情味ある赤塚の街の人々は惹かれているに違いない。
街の声に寄り添い、街と共に成長していく店に
最後に開業2年目を迎え、栗下夫妻は「より街に寄り添い、幅広く利用してもらえるような取り組みに力を入れていきたい」と語ってくれた。ランチボックスやデリのテイクアウト、子連れOKのイベントなども計画しているという。
「私たちにも子どもができて、夜に自由にワインを飲みに行けなかったり、行動を制限されたりする気持ちがわかるようになりました。同じ境遇の方が街にはたくさんいるはず。そういう方たちにも楽しんでもらえるようなサービスを提供したいですね」(千花氏)
「赤塚の街や、街で暮らす人たちと一緒に成長していく——。そんな店になれれば」
繁華街であれ住宅地であれ、そこで暮らす人の流れとニーズをつかみ、その声に耳を傾けることが、人気店への第一歩といえそうだ。5年後、『No.1000-sen-』が赤塚の街とどのような関係性を築いているのか、今から楽しみだ。
『No.1000-sen-(せん)』
住所/東京都板橋区赤塚2-9-11
電話番号/080-7372-3510
営業時間/水~金17:00~22:00、土日15:00~22:00
定休日/月曜・火曜
席数/カウンター9席+立ち飲み
坪数/8坪弱
https://www.instagram.com/no.1000_sen___/
