坪月商50万円の下北沢『クオーレ・フォルテ』。イタリアワインに魅了された熱き男の店づくり
現地に根づく郷土料理で、食文化の魅力も伝える
当然、料理もお客を惹きつけている要因の一つだ。「うちの店のスタイルは料理あってのワイン、ワインあっての料理。どちらも主役です」と羽賀氏が語るように、バールというスタイルではありつつ、ピザ生地を揚げたゼッポリーネや、たっぷりのバターで火を入れた鶏バターなど、しっかりとした郷土料理を提供。シンプルな調理のものが多いが、だからこそ、味付けの塩梅に気を遣っている。イタリアの風土と文化に根づいた料理とワインの組み合わせを楽しむことでその魅力を知り、実際に現地を訪れたというお客も珍しくないという。
バールであっても、リストランテと同等のサービスを意識
そして何より、この店が最もお客を魅了している要因は、スタッフのサービス力である。カウンターをメインにしたバールではあるものの、サービスのクオリティーは下げず、たとえ接待で利用したいという方が来店しても、十分対応できるような体制をとっているという。羽賀氏は『フェリチタ』で接待客の担当をしていたため、年配の方々の対応に慣れていたのが幸いしているようだ。
「スタッフには、言葉遣いや相手を不快にさせない皿の下げ方など、基本的なテクニックは指導しますが、それ以外は特に具体的な指示を出しません。その代わり、お客様の様子を観察し、何をすればいいのかを常に考えるように伝えています」
例えば、ワインをすすめする時はこちらからの“提案”ばかりを押しつけず、お客の意向の“汲み取り”と交互に行う。また、相手がワインの初心者だという前提で丁寧に説明をするが、お客にはそう感じさせないようにする。営業中はいかに相手を喜ばせ、気持ちよくさせるかを考え抜いているという。
サービススタッフは羽賀氏の他に2名おり、20〜30代の若手が担当している。
「毎年の周年記念パーティーに来るお客様が、いつも同じ顔ぶれというのは良くないと思っています。新しい常連の方が増えていくことで、グルーヴも新しいものが生まれるのが理想。そのためには、私だけではなくスタッフ一人ひとりが顧客を増やしていかなければなりません。今は若いスタッフが中心ですが、ここ数年でかなり成長していて、それぞれに顧客がついてくるようになりました」
