14坪で月商700万円の大人居酒屋『飯酒トモエ』。日吉で客単価8,000円の成功戦略
「おすすめ」「キラーコンテンツ」「差別化」リピーターを生む3要素
『飯酒トモエ』は、江川氏が全体的なコンセプトやメニュー設計を作り込み、それを地曵氏が形にするというスタイルで運営している。メニューづくりの際に江川氏が大事にしているのが、「おすすめ」、「キラーコンテンツ」、「差別化」の3要素を必ず入れること。『飯酒トモエ』の場合は、おすすめが「前菜盛合せ」と「刺身」、キラーコンテンツが「すっぽん焼売」、そして差別化の要素が「本格的な和食の料理人がいる」という点だ。順に解説しよう。
差別化がしにくい刺身は、「生ガキサービス」で印象付ける
江川氏が「絶対に頼んでもらいたい」と推すのが「前菜の盛合せ」(三種盛り1,290円、五種盛り1,990円)。お浸しや和え物など、仕込みに手間をかけた旬素材の料理を3~5品盛り合わせて、最初につまんでもらう趣向だ。
また、刺身は1人前2,000円~とし、2人前以上注文すると生ガキを無料でサービスする。これは、「刺身は、ある程度のラインを超えると消費者目線ではその差が伝わりにくい」(江川氏)ことから、わかりやすい差別化要素として考案したものだ。
専門性の高い食材×なじみのある料理=唯一無二のメニューに
もう一つのスペシャリテが、「すっぽん焼売」。扱える料理人がいる専門店でないと食べる機会の少ないすっぽんを、多くの人に馴染み深いシュウマイに仕立てることで、唯一無二の個性を打ち出している。
すっぽんは活きた状態で仕入れ、店でさばく。さばいたものを炊いて一日置き、身にだしを吸わせた後、ばらして豚肉と合わせて餡にする。仕込みの手間はかかるが、注文後は蒸すだけで提供できるため、オペレーションの負荷は高くない。生き血は冷凍保存しておき、「珍」メニューとして度数の高い酒で割って提供することで、話題性を高めている。
また、ドリンクメニューでは居酒屋らしい遊び心も加える。「日本酒もよく出ますが、そこまで量を飲めるものではないので、飲みやすいサワーをオリジナルで開発しました」と江川氏。仕込みの際に大量に出るカツオ節のだしがらを炭火で焼き、梅干しと合わせてアップサイクルした「巴江サワー」(850円)は圧倒的な旨みがクセになる味わいだ。
