『祇園さゝ木』、親方と弟子の関係ではない。全員参加で京料理の未来を切り拓く
弟子とともに出版したレシピ本、未来に継承いきたい京料理
70歳を料理人人生の次の目標とすると、残りの時間で飲食業界に貢献できる活動をしたい……と、7人の愛弟子と「さゝ木一門会」を結成した佐々木さん。折にふれて、講習会や食育などのイベントを行っている。その弟子たちとともに、お椀、鮎、甘鯛など京料理ならではのテーマ別料理7品ずつのレシピを紹介する専門書、『祇園さゝ木 進化する京料理』(旭屋出版刊)を出版した。
「独立した弟子たちが自分の弟子を持ったときに、“うちの親方は『さゝ木一門会』に入って、本を出さはった、すごいことやってはんな”と言って、一人ひとりが本の内容を咀嚼して継承していく。“ビッグな料理人はこんなことやっていくんや”という姿を見せて刺激を与えることで、未来を担う料理人を育てていきたいんです」
佐々木さんの人材教育のベースは、まず、細かいことを教えるより、大きな世界を見せること。弟子たちはそれぞれ、『祇園さゝ木』の料理を自分の個性で斬新な皿に昇華させていった。
「一門の弟子がうちに修業に来ていた頃は、僕の頭の中には、次から次へと新しい料理のアイデアがあふれ出していたんですね。コースの最初に大トロの握りを出したり、目の前で中華鍋を振って焼き飯にしたり。それを弟子たちが見て触発され、オリジナルの発想の京料理を開拓していったんでしょう。今、7人の弟子がオーナーシェフになっており、どの店も予約が取れない。評価されていることがありがたいですね。それを誇りに思っているんです」


