月商400万円の学芸大学『nicome』。空中階でも客を呼ぶ「SNS戦略」と「バズ料理の作り方」
料理の色から器、テーブルまで意識して“しずる感”を演出
『nicome』の成長を促した主因は、お客のターゲットを割り切って、若い女性の予約客に絞ったからだろう。事実、予約客が8~9割を占拠。メインの客層も20~30代の外来客の女性だ。
「もう基本的に予約じゃないと店に来てもらえないので、ネット上で見つけてもらうことを意識しています。媒体はどれか一つに絞らず、幅広くです。インスタとTikTokを運用し、Googleマップで探す人もいるのでMEO対策(地図検索で自社店舗を上位に表示させるための対策)も。食べログなどとも連携して、ネット予約につながる全部に対策を打っている感じですね。各媒体の営業や代理店のいろんな人と随時打ち合わせをして。元々料理するのが好きで入った飲食の世界ですが、今は本当に経営というか、集客を考えるようになりました」
吉村氏はターゲットユーザーのSNSでの拡散力にも、「地元の口コミと同じ効果がある」と期待。SNSは写真投稿により、店の吸引力も断然高まる。だからこそ、自店でネットに上げる写真も含め、料理のビジュアル、見せ方には最大限注力する。
その代表作が「イクラとチーズのクリームリゾット~卵黄のせ~」。イクラのトッピング系はブームだが、リゾットとの組み合わせは珍しい。しかも、黄金色の和モダンな皿の中央のくぼみに収まり、豪華さと美麗さを兼ね備える。
イクラと卵黄のコンビも絵力が強い。「インスタに詳しい人の話によると、赤と黄色は映える写真の鉄板。検索画面で写真の一覧が出た際、目に留まりやすく、閲覧数が増えるとか。アルゴリズム的に検索上位に表示されるそうです」と、自店のキラーメニューに言及する。
「見せ方」という点では、1個275円のブルスケッタを「6種類盛り合わせ」(1,639円)でも提供。「イクラ×マスカルポーネ」「ねぎトロ×佃煮」など、見た目も味も変化をつけた小ぶりな6品を並べれば、女性客らの好反応は間違いない。
器や皿も重要なアイテム。テーブルに複数枚が並んだ際の彩りを考え、たとえ同じ種類・サイズ感の料理でも器を統一せず、色味が被らない違うものに盛り付ける。例えば、全5種のおばんざい(各649円)から3種の注文が入れば、黄色、水色、青などの異なる器にそれぞれ盛る。加えて撮影時の背景となるテーブルは、斬新なオレンジ色のタイル張りに。そこに料理やお酒を並べるだけで、絵力が何倍にも増す。



