月商400万円の学芸大学『nicome』。空中階でも客を呼ぶ「SNS戦略」と「バズ料理の作り方」
コストカットは徹底的に。発注画面と毎日にらめっこ
メニューの価格設定について吉村氏は「頑張って下げています。そのあたりも若い世代にマッチしていると思います」と言う。平均客単価は4,000円と、学大エリアではリーズナブル。そのため原価率はドリンクを含め、26~27%をキープする。それが実現できているのは、飲食企業の株式会社NBMでの下積みが大きい。
吉村氏は大学時代から同社運営の居酒屋でバイトし、卒業後にそのまま就職。すぐに店長を任され、1店舗のコスト管理、売上管理などの数字を学んだ。入社2年後には会社の独立支援制度を活用。初期費用ゼロで相模大野に肉バルの店舗を立ち上げ、コロナ禍まで経営したことも今に活きている。
「NBMはコストカットを追求する会社でした。(利益を上げるために)コストを下げることの大事さはそこで教わりましたね。コストの下げ方は、やろうと思えばいくらでもあります。まずはフードロスをなくすこと。一つの商品のためだけに使う食材の仕入れを避け、一つの食材を何種類かの料理に転用します。うちでは自家製ソースも同じく、トマトソースならパスタ、ピザ、トリッパの煮込みなどに使います」
仕入れ自体も「卸業者が営業に来たら、うちの食材リストを出して『この中から安くなるものはありますか』と聞きます。で、いくつかより安くできるものがあると言われたら、その商材だけを取る感じです。同じ商材でも違う会社を見比べて、より安い方を選びます」と吉村氏は説明。続けてこう補足する。
「ネットでも、商材ごとに2社の卸業者のサイトの発注画面を調べて、安い方に発注します。セールとかその月だけの値下げ品などもあるので、本当に毎日調べますね。手間かもしれないですけど、コストを下げるには必要なことです」
NBM時代からつながりのある業者にも頼りながら、野菜以外の食材は、ほぼこの地道な努力で仕入れ値をカットする。
資金を貯めて多店舗展開へ。将来は飲食以外の事業も?
人件費に関しても、最小限に留める。10人ほどいる従業員に正社員はおらず、全員がアルバイトだ。その9割が昼職を本業とするダブルワークの形で勤務。夜にスポットで手伝ってもらうことで、大幅な人件費削減が見込める。これは相当抑え込まれたFL率ではないかと尋ねてみると、吉村氏は頭で計算したあとに答えた。
「40%ぐらい。ほかの店の人に『本当!?』って言われそう(笑)。ただ、1店舗だからできることなので。今後、多店舗展開をどんどんしていきたいから、さすがにこの数字を続けていくのは無理だと、自分でも分かっています。今は資金を貯めるため切り詰めるじゃないですけど、できるだけ利益を残すようにしている感じです」
吉村氏は将来的に正社員を雇用し、複数店舗の展開を目指すだけでなく、その先も見据えている。
「できるだけ早くフランチャイズ化して、自分たちで店をやりたい子たちにやってもらうみたいなスタイルにできたらいいなと思います。僕のモットーは『楽しい』です。服(アパレル)も好きですし、飲食以外の仕事をするかもしれません。楽しいなと思えることだったら、どんどんやっていきたいです」
32歳の若手有望株の経営者が、学芸大学からどのように羽ばたいていくのか。今後の動向が気になるばかりだ。
『学大居酒屋 nicome』
住所/東京都目黒区鷹番2-19-22g fiesta V 2F
電話番号/03-6452-3686
営業時間/18:00~翌1:00(土曜16:00~翌1:00、日曜・祝日16:00~24:00)
定休日╱不定休
坪・席数/15坪・28席(テーブル12席、カウンター16席)
https://www.instagram.com/nicome.gakugeidaigaku/








