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アップデートした中華で月商1,500万円。吉祥寺『シネンシス』は業界のゲームチェンジャーへ

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店内は2階建て。丸みのあるテーブルがアイコニック

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店づくりは「女性が来たくなる店」を因数分解し、落とし込む作業の連続

今でも、『リゴレット』には足を運ぶという小野氏。時代が変わろうと、どんな大人も「オシャレでかっこいい」と思える要素が、隙なく貫かれていることに刺激を受けると語った。

「すごく難しいことだと思うんです。若い世代からある程度の年齢の方々までが、ただ食事をするだけで、ちゃんと、いい気分になれるブランドをつくり、保ち続けるって。高級すぎず、簡単に手が届くのにほんの少しだけ背伸びした気になれる、いわば『かっこいい』の王道。中華業界には今までなかったそんな世界観を、『sinensis』でつくりたい」

店の構想にあたり、まず具体的に意識したのは、F1層が行きたいと思える店づくりだ。かねてから、中華業界では町中華と超高級中国料理店の二極化が続いていたことに問題意識を持っていたという小野氏。それはすなわち、最も食やトレンドに敏感であるF1層から遠い位置にいることを意味し、必然的にデートや華やかなシーンでのニーズを取りこぼしてきたといえるだろう。

目的のために必要な要素を因数分解し、それを落とし込むのが小野氏のやり方だ。例えば内装。ホテルの高級中国料理店のようなゴージャスな装飾でも、町中華の庶民的な居心地でもなく、中性的で落ち着いたシックな配色や装いで女性客の興味をそそりながら、男性が女性を連れていきたいと思わせる空気感を演出する。吉祥寺という立地を選んだのも、女性客の来店の動機付けの一つに街のブランド力が必要だったからだと話す。

看板メニューの一つ「口水鶏 よだれどり」(900円)。クラシックでありながらSNS受けも意識した構成に

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もちろん、料理やサービスのクオリティも必須条件。『sinensis』では、一流店で確かな技術を学んだ二番手、三番手や若手の料理人を迎え入れ、古巣で培った本格中国料理のスキルに独自のアレンジや簡略化可能な調理法のアイデアを掛け合わせることで、高級感あるハイレベルな料理とリーズナブルな価格の両立を実現させた。ただの高級中国料理店になっても、雰囲気だけのチープな店になっても本末転倒。重要なのは、高いクオリティに対してリーズナブルであることだ。基準の客単価をディナー営業で5,000〜6,000円に設定し、ミシュラン店にも負けないクオリティをいかに設定価格内で表現するか、常にバランスを図っているという。

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山本愛理

ライター: 山本愛理

フリーライター・エディター。WEBを中心に食にまつわる記事を執筆。 昔ながらの喫茶店から星付きレストランまで、美味しいものを通して幸せな時間を提供してくれる人の声と熱を届けるのが好き。空いた時間はもっぱらカフェ巡り。