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坪月商45万円を売る三軒茶屋『ユキツバキ』。原価率70%の看板メニューが集客の鍵に!

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割烹料理出身の渡邉氏は2024年10月に合流。同年12月に三軒茶屋の物件に巡り合えた

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土鍋・釜飯ではなく、わっぱ飯を選んだワケ

看板メニュー・わっぱ飯の開発は、すでに1号店の開店前に行っていた。新潟名産のコシヒカリを使う〆料理として、釜飯や土鍋が候補に挙がったが、既視感があり安直すぎると思ったとか。また、提供時間が30分超とオペレーションの足かせにもなる。そこで故郷を代表する名物の一つ、わっぱ飯を起用した。

土鍋・釜飯に比べて一番のメリットは、提供スピードが早いこと。貝出汁を加えて炊いた米を仕込んでおけば、営業中には曲げわっぱで蒸して食材を盛るだけで完成だ。注文後、15分程度で提供できる。

イクラの量が圧巻の「いくらと鮭 黒舞茸のわっぱ飯」(2,300円)。黒舞茸も新潟から直送

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飯塚氏が修業先で学んだ自家製すだちバターを味変アイテムとして添えるなど、現代風のエッセンスも漂うわっぱ飯。新店での名物化に伴い、種類を1号店よりも増やし、単価も上げて1,300~3,000円の5種類へ。そのいくつかの食材の内容は、両店共通ながらグレードアップさせた。例えば定番のイクラと鮭を盛るわっぱ飯は、2号店ではイクラの量を倍増。食用花を添えて、映え効果も意識した。

そもそも曲げわっぱは土鍋よりも蒸気が溜まりやすく、フタを開けた瞬間に湯気と香りがブワッと立ち上る。華やかな具材によるしずる感も魅力で「初見の方なら大体『ワアッ』と声が出ますね」と飯塚氏。さまざまな効果が相乗し、『ユキツバキ』ではわっぱ飯各種の注文率は8割にも達するという。

店内奥の半個室。基本的に時間制限なしで、回転率よりも落ち着いて過ごせる雰囲気を大事にする

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A5ランク和牛をさっぱり食べさせるアイデアを模索

二枚看板の一つ、新潟産和牛のグリルは新開発メニュー。業態開発の構想段階から、肉をメイン料理に据える案は固まっていた。

「新潟においしいお肉があることを、みなさんに知ってもらいたかった。また、自分は修業時代に六本木の肉バル業態で働いていたので、ずっとグリルをやりたい気持ちがあったんです。けれども、1号店ではそれが実現できませんでした。新潟の良い食材を入れても採算が合わないので……」

都心から離れた生活圏の千歳烏山にある『ニワノトリ』の平均客単価は4,300円。普段使いの顧客の多い店では、それ以上の単価を上げるのは難しかった。だから、自分たちが使いたい食材も仕入れが限られる。

一方、食の感度の高い目的利用客が押し寄せる三軒茶屋『ユキツバキ』では「やりたいことができた」。くだんのわっぱ飯のイクラの量も、思い描いていた完成形である。結果、客単価は5,800円にまで上昇した。

三軒茶屋駅より徒歩3分。路地裏&地下の店舗だが、「ファサードに隠れ家的な色気がある」と飯塚氏は気にしない

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話を肉のグリルに戻そう。素材選びで差が出る料理だけに、業者探しが肝だった。飯塚氏は「地方の人は横のつながりが強い」利点を生かし、地元友人のツテで業者とつながり、にいがた和牛の仕入れルートを確保した。

ただ、グリル用の部位はロット数が限られる個人店では選択肢が少なく、特上カルビを選ぶことに。基本A5ランクの和牛はサシが強めに入っている。そのため、鮮烈な脂の甘みを楽しめる一方、壮年期の方はそれを“重い”と感じると懸念した。

「脂が強い肉をどう使おうかと考えた際に、修業先でお世話になった先輩が目黒に出した店のアイデアをいただきました。そこの和牛のグリルは、わさび菜と一緒にさっぱり食べてもらうスタイルです。その印象が良かったので、『同じようにやらせてください』とお願いし、今の形に落ち着きました」

山盛りのわさび菜はグリーン色が映えてインパクト大。SNSで写真が拡散し、集客に貢献している。味の引き締め役となる新潟・魚沼わさびを、オーダー後に擦って添えるひと手間を加えるのは『ユキツバキ』流だ。

新潟・笹川流れの塩で焼く「にいがた和牛のグリル」(2,500円)

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小林智明

ライター: 小林智明

埼玉県出身。情報誌の編集プロダクションを経て、2006年にライターとして独立。食、旅、スポーツ、エンタメなど多岐にわたり取材・執筆活動を展開中。グルメ取材はラーメン店を中心に計500軒を突破。好きなお酒は辛口純米酒。