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飲食店を閉店・廃業する際の手続きは? 倒産する理由と閉店費用についても解説

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苦労して立ち上げた店を自ら畳むことはなかなか出来ない。しかし、必死になっても採算が取れない場合、閉店を余儀なくされるのもまた現実である。

進むか退くか悩むときには、“閉店するにも金と時間がかかる”ことを考慮しなくてはならない。そこでここでは、「体力」を残して再スタートを切るためにはどのタイミングで閉店を決断すべきか、そしてどのような手続きが必要なのかを詳しく紹介していきたい。

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飲食店の営業年数別の閉店割合

飲食店の閉店・廃業を決意する理由・タイミングは?

■飲食店に最も多いのは1年未満での閉店
一般的に飲食店の経営が安定するまでには、開業してから6ヶ月はかかると言われている。ほとんどの店舗が、この期間を乗り切るために十分な運転資金を用意するだろうが、軌道に乗せることができなければ「閉店」という選択肢が現実味を帯びてくる。当社の調べによると、閉店した飲食店のうち1年未満での閉店が34.5%、1~2年の閉店は15.2%である。

その主な理由は、

・想定よりも開業費用がかかり、運転資金が不十分だった
・売り上げの見通しが甘かった
・立地が悪い

など。売り上げが伸びずに赤字が続き、

・友人や知人、その関係者以外、新規顧客がほとんどつかない
・オープン時の客入りが最多で、売り上げが右肩下がりである

このような状態であれば、運転資金が枯渇して生活に深刻な影響が出る前に、撤退の決断が必要であろう。

■開業3年目の壁
開業して3~5年の間に閉店した飲食店の割合は21%。とくに3年目は「鬼門」と呼ばれており、開業時からの業績不振や、資金繰りの悪化が蓄積される時期である。次のような状況に陥っている場合は、閉店の検討・決断が必要だ。

・運転資金の追加融資を断られ、金利の高い金融業者から借りなければ成り立たない
・精神的・身体的に疲弊して、飲食店の経営に支障をきたす

また、売り上げは出せているものの、借入金の返済により経営が圧迫され事業主の生活資金が十分に確保できない場合、個人のローン返済が出来なかったり、個人としての借金が増えることがある。借金の連鎖が続く前に見切りをつけるべきであろう。

■長期間の経営で起こりうること
長い期間営業してきた飲食店でも、客が減って赤字転落し、撤退の決断を迫られることもある。以下は、要注意事項である。
・業態の流行り・廃りの影響を受けて客が減少している
・常連客の減少
・周囲の環境が激変(大型チェーン店の乱立、周辺店舗の閉店など地域全体の沈下)

飲食店を閉店する際は「閉店費用」を残せるうちに

飲食店を閉店するためには、運転資金ならぬ「閉店費用」が必要である。これを確保できない場合、最悪のシナリオでは夜逃げなどが考えられる。具体的にはどのような費用が必要なのだろうか。

■保証金償却費
一般的に保証金の20%、または家賃の1~2ヶ月程度が償却費として掛かる。地域によってその割合は異なるので、契約書をよく確認することが必要。

■退去するまでの家賃
大家への退去通告は、退去する3~6ヶ月前に行うのが一般的。当然、閉店を決意してから退去するまでの家賃を支払う必要がある。

■原状回復費
賃貸契約よって原状回復の範囲は異なる。たとえば、スケルトンの状態まで戻すには、目安として坪あたり10万円の費用がかかる。ただし路面店か空中店舗かによって費用が異なるので注意が必要。

その他、廃棄処分費やリース品の残債務の支払いなどがある。通常、賃貸契約をする際、家賃10か月分ほどの保証金を入れるので、「閉店資金」は、保証金-(保証金償却費+家賃+原状回復工事費+α)となる。ただ保証金は最後に戻ってくるので、工事費や廃棄処分費は先に確保しておく必要がある。

「居抜き」物件として売却して、閉店費用を圧縮する

店を閉じるための費用を削減するために、大家との契約で問題がなければ、店内の造作や厨房設備を売却する「居抜き」という方法がある。売却益が出る上、原状回復費用をゼロにすることができる。また、後継の借主が決まるので、大家との交渉次第では家賃が発生する期間を短縮することが可能だ。

しかし、成約する時期が確定的ではなく、また成立しない可能性もある。より良い結果を引き出すために、余裕を持って専門業者に相談しよう。

閉店までにするべき作業・手続きは?

閉店を決断したら、出来るだけ早く大家への退去通告が必要だ。たとえ営業を停止しても、通告日から契約期間まで家賃を支払い続けねばならないからだ。引き渡し期日までに閉店・原状回復工事を終わらせる。

■閉店まで
・従業員への解雇通知(1か月前)
・取引先へ閉店を通知
・電気、ガス、水道など事業者と解約
・閉店の告知
<参考記事>飲食店を閉店するときの告知、いつどうやってすべき? 通達方法や挨拶例文を紹介(居抜き情報.COM)

上記に加え、物件の解約通知や店内にある備品の処分についても検討する必要がある
<参考記事>閉店までにやっておくべき手続きと飲食店を高く売るポイント(居抜き情報.COM)

■閉店後
・原状回復工事

■閉店日から5日以内にすべき手続き
従業員を雇用し、健康保険・厚生年金保険・雇用保険に加入している場合に必要。
・公共職業安定所「雇用保険適用事業所廃止届」
・日本年金機構「健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届」「雇用保険適用事業所廃止届」

■閉店日から10日以内
・保健所「廃業届」を提出、「食品営業許可証」を返還
・警察署「廃止届出書」を提出、「届出認定書」を返還
・都道府県税事務所「個人事業を廃止した旨」を届け出る

■閉店翌日から10日以内
・公共職業安定所「雇用保険被保険者資格喪失届」「雇用保険被保険者離職証明書」を提出

■閉店日から1か月以内
・税務署「個人事業の開業・廃業等届出書」「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」「消費税の事業廃止届出書」を提出
・税務署で都道府県民税(個人事業税)を申告する

■閉店日翌日から50日以内
・労働基準監督署に「労働保険確定保険料申告書」を提出
※これら届け出の提出期限、必要書類等は市区町村によって異なるので確認が必要

「見切り千両」という言葉がある。損は損でも早めに見切れば、大損をふせぐことができる。ギリギリの状況に陥る前に、閉店するための資金と時間を確保できれば、店舗の売却などもしやすくなる。次のステップへと余力を持って進むためにも、早め早めの決断をしよう。

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本間純子

About 本間純子

映像制作会社を経て、フリーライターに。企業PR誌で食材の開発や世界の食文化をリポートしている。CD-ROM『日本酒の郷をめぐる~北陸編』(ポニーキャニオン)では、酒蔵をたずね、酒づくりや酒にあう土地の食などを取材、執筆した。個人的には「日本のレストランで世界一周」をたくらむ。