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会員制飲食店は儲かるのか? 3,000人超の会員を誇る『熊の焼鳥』オーナーが語る経営戦略

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3,000人超の会員を抱える焼き鳥店『熊の焼鳥』

レンタルショップやスポーツジム、コストコのような小売店など、会員制ビジネスは私たちにとっても非常に身近なサービスだといえる。会員制ビジネスは「会費」という安定収入の確保に加えて、顧客情報の獲得、高いリピート率が期待できるなどメリットも多いが、フードビジネスにおいて会員制を導入する飲食店はまだまだ少ないのが現状だ。

実際のところ会員制飲食店というビジネスモデルは儲かるのだろうか? 関西初の会員制焼き鳥店として話題を呼んでいる『熊の焼鳥』オーナー・熊脇稔康氏に話を聞いた。

会員制を始めたきっかけはドタキャン問題だった

飲食店が立ち並ぶ大阪市北区・天神橋に店を構える『熊の焼鳥』は、2014年8月にオープン。新鮮な鶏肉を使った会員制焼き鳥店だ。じつは同店が会員制をスタートさせたのは2016年4月。開店当初は普通の焼き鳥店だった。

当日朝に絞められた鶏肉を店内で解体することで抜群の鮮度を維持している同店は、紀州備長炭で燻し焼きにした焼き鳥や、他ではなかなか食べられない希少部位の鶏刺しが人気メニュー。オープンして数ヶ月後にはこだわりの鶏料理がウケ、予約が取れない“超”人気店となっていた。

はたから見ると羨ましいくらいの繁盛店とも言える『熊の焼鳥』だが、人気店ゆえのある課題があったと熊脇氏は語る。

「ありがたいことにオープンから3ヶ月目には、予約が2ヶ月先まで埋まるように。でも、連絡なしでキャンセルされるドタキャンも少なくありませんでした。忘年会シーズンなどは、連絡なしでドタキャンされるお客様が月間100人を数えることもありました」

予約客数に合わせて食材の仕入れをおこなっていた『熊の焼鳥』にとって、キャンセル問題は大きな経営課題だった。

「飲食店にとって泣き寝入りせざるをえないドタキャンに対して、対策を講じる意味で考えたのが会員制でした。会員制にすることでお客様が減るというリスクもありましたが、当時はキャンセル問題を解決することの方が大切でした」と語る熊脇氏。

2015年9月に会員制とすることを決め、同年10月から会員募集をスタート。半年の移行期間を経て会員制焼き鳥店として新たなスタートを切った同店は、噂が噂を呼び、結果として半年で会員3,000人超を集め、開店以来頭を悩ませていたキャンセル問題も見事に解決した。

人気の一品「ももねぎ」

会員制にするメリットは他にも

会員制を導入したメリットは、キャンセル問題の解消だけではなかった。

「じつは、会員制にしたことで客単価も上がりました。会員制にする前は客単価6,000円ぐらいのお客様も多かったのですが、会員制導入後は8,000円から9,000円になりました。『熊の焼鳥』は、料理はすべてコース料理としてご提供しています。客単価を左右するのはドリンクです。会員制を導入したことで、企業の経営者の方や、役職の高い方などいわゆるステイタスの高い方の来店が増え、ドリンクは水だけ、というようなお客様は減りました」

座席数15席ほどと、1日に受け入れられる客数が限られている『熊の焼鳥』。目標の客単価は7,000円だったが、会員制にすることで客単価の引き上げにも成功したのだ。

会員には企業の経営者なども多い

会員に「優越感」を味わっていただくための心遣いも

「会員制×焼き鳥店」という今までなかったコンセプト、そして会員になってでも通いたいと思わせる料理・サービスの質の高さが、会員制導入を成功へと導く大きな要因となったが、成功の理由はそれだけではなさそうだ。

「僕らは、会員を集めるために押し売りのようなことはしたことがありません。会員制の焼き鳥店というのが珍しかったというのもあるかもしれませんが、口コミなどで自然に会員は増えていきました」

普通の焼き鳥店から会員制へ移行するにあたって、やったことといえば来店客に会員制の告知をするだけ。それにもかかわらず、半年で3,000人もの会員を集めたことはまさに驚きだ。

「お客様には1万円も入会金を払っていただいていますから、『ここまで(サービスを)して、オーナーはアホやな』と思ってもらえるぐらいのおもてなしをしたい。お客様に優越感を与えまくる、ということを考えています。その一環として、毎月1回から2回、僕のおすすめの料理店を貸し切って、会員の方を招待しています。一度に招待できる人数は限られますし、順番にご招待しているので全員のおもてなしをするのは時間がかかります。でも、少しずつお客様へ会員になっていただいたお礼と、『これからもよろしくお願いします』という気持ちを込めておもてなししています。こうしてお客様との距離を縮めることは、今後の展開にもつながるかなと思っています」

熊脇氏が語る今後の展開とは、新たに会員制の飲食店を増やしていく構想だ。当初はキャンセル問題を解決するための手法として始めた会員制だが、今後は『熊の焼鳥』にとどまらず、会員に対してさらなるサービスを提供するために、焼き鳥店以外にも会員制の店舗を出店していこうと考えているそうだ。

店内は上質さを感じる落ち着いた空間

何よりも大切なのはお客様のことを考えること

「ただの焼鳥屋、ただの人間がやっていることですから、うちの会員制という手法はもちろん他の方だってできると思います」。そう語る熊脇氏は、会員制を考える飲食店オーナーへのメッセージとして、こう言葉を続けた。

「会員制であろうとなかろうと、流行らせるくらいの気持ちで料理やサービスを提供することが大切です。お客様をこっちから選べるくらいの確かな仕事をすることが、結果的にお客様を満足させることにつながりますから」

会員制焼き鳥店という形態を選択した『熊の焼鳥』は、決して意表をついたインパクトで勝負するのではなく、客をしっかりと満足させ、そして店のサービスを維持するための確かな戦略によりファンを獲得していることがわかる。

会員制という手法は、客単価を高め、店舗の価値を高める上でも有効な手段だ。しかし、大前提として「顧客満足」を得られる技術・サービスがしっかりと伴っていないと難しい手法でもある。会員制を検討する場合は、熊脇氏が語るように「お客様をこっちから選べるくらいの確かな仕事をする」、その覚悟が備わっているかが重要な鍵になりそうだ。

『熊の焼鳥』
住所/大阪府大阪市北区天神橋6-3-26 レンガ通り内
電話番号/06-6353-6330
営業時間/16:00~ネタがなくなるまで
定休日/不定休
席数/15席

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オナイウイコ

About オナイウイコ

農業ビジネス系の立ち上げや産地と飲食店を結ぶ仕事を経てデザイン事務所に転職。現在は独立し活動飲食店などの取材記事を雑誌媒体で執筆中。「食」にまつわる動向や法律関連にも詳しく、プライベートでも旅行先でのグルメめぐりは欠かさない。