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「ビジネスというより文化」。サイタブリア石田聡社長と弘子女将が語る100年先を見据えた思い

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株式会社CITABRIA 社長の石田聡氏と女将の石田弘子氏

ミシュラン二ツ星の『レフェルヴェソンス』をはじめ、『ラボンヌターブル』、『ローダーデール』、『サイタブリアバー』を運営し、ケータリングも行う株式会社CITABRIA(以下、適宜サイタブリア)は、飲食業界で独特の存在感を示している。フランチャイズ制はもちろん店舗数拡大路線とは無縁。質の高い個性的な店舗を、地域に根付かせるスタイルにこだわる。社長の石田聡氏と女将(おかみ)の石田弘子氏に経営理念をうかがった。

「店をつくった以上50年、100年続けていきたい」と社長の石田聡氏

店は街の資産、100年続く店を作りたい

繁盛店をつくったら2号店、3号店と増やし各地域の需要を掘り起こしながら利益を拡大していき、不採算店はたたむスタイルがビジネスとしては容易で旨味がある。しかしサイタブリアは個性ある店舗が自らの複製をつくることなく、唯一の存在として、あり続ける。

━━ビジネスより「文化の創造」のようなものを視界に入れているという印象を受けます

石田聡(以下、社長) 「店=街づくり」という考えのもと、街に根付いて、街の方々に必要とされる店、そこにある風景が当たり前になるような店を目指しています。店舗は一つ一つが生き物であると思っているので、その分身をつくっていこうとは思いません。この街にこの名前のこの店があれば、それはそこにしか存在しないと僕は思っていますから。ただ、店をつくった以上50年、100年続けていきたいという思いはあります。文化というほどの大それたものではありませんが、その街の資産として残っていくようなものを作っていきたいですね。ちょっと聞きますが、店と人、どちらの寿命が長いと思いますか?

━━場合によりますが、店だと思います

社長 店であるべきでしょう。100年経っても元気でいられる店はつくれると思うんです。人は100歳で元気に現場に立って、というのは無理ですけどね。だからこそ魂の吹き込み方、DNA、スピリットを(100年後の人たちに)残していきたいという思いがある。それを残していけるのであれば、店の形やコンセプトにこだわる必要はないと思っています。バーであっても、ファインダイニングであれ、カジュアル店であれ、考え方と魂は同じだと思いますから。

━━店の外見より、その中の人たちの文化のようなものが生き続けていくということでしょうか

社長 以前、僕はインタビューで「レストラン道を究めたい」という話をしました。その趣旨は魂、精神が残っていけばいいということです。それとリンクして考えていただければと思います。根本は現場が好きですから、お客さんにいいものを提供して喜んでいただくという単純な気持ちでやっています。そこは絶対に変わりません。ただし残していくためには働き方の部分が重要です。従業員のよりよい環境、この業界で働く人間の待遇、そういうのを変えていかなければと思います。

人が根付かなければ底流に流れる精神や、文化的なものも生まれようがない。結局は店の命は人にかかっているという部分に収斂されていく。石田聡氏の言う「魂」や「スピリット」は、社風・校風のように所属する集団によって長い時間をかけて醸成される、共有できる精神と言い換えることができるのかもしれない。

「女性が働きやすい環境を作りたい」と石田弘子氏

女将が語る「職場にもっと女子力」、そして「レストラン道」

このようなサイタブリアの経営方針にあって、女将の石田弘子氏は営業、広報担当として表舞台に立つことが多い。そして女性の社会進出、働く環境づくりなど公益的観点からの発言が目立つ。

━━「女性目線があると店舗運営が変わる」という趣旨の発言を、過去にされていますね

石田弘子氏(以下、女将) 例えば清掃面で女性がいる店と男性しかいない店、入ってすぐにわかります。女性がいると細かい部分が行き届いています。お化粧室の掃除でもやっぱりきれいだな、と。

━━女性が働きやすい環境についても発言されています

女将 女性がホールにいると、お客様も安心すると思います。心配り、気配り、目配りができますから。でも飲食業では、出産したら職場に戻れないことが多いです。職場にもっと女子力がほしいですね。

━━女子力がほしいというのはオーナーの社会的使命とは別に、50年、100年先に店を残すために女性に職場に根付いてほしいという側面もありますか

女将 それはあります。女性も一緒に「レストラン道」をつくっていけるようにしたいと思っています。

六本木ヒルズにある人気店『ローダーデール』

━━女将はカジュアルレストランの『ローダーデール』(港区六本木)をプロデュースされていますし、サイタブリアの重要なピースとして機能しているように感じますが社長の目からご覧になっていかがでしょうか

社長 自分は料理人として才能がなかったし、サービスマンとしても優秀ではなかったと思います。たとえば接客をやらせたら才能ある人がいるわけで、それがこの人(女将)だったわけです。前に出て営業してくれますし、そういう感覚、センスも、自分より数段持っています。その中で僕はまとめたり、決めたりする役目でした。バランス力は僕の方が持っていると思います。ただ、自分が前に出てというのが得意ではないので、情報発信、インタビューはほとんどやってもらっています。

━━改めてうかがいますが、『ローダーデール』のコンセプトは

女将 朝早くからコーヒー1杯でも頼める、お昼に行けばランチが食べられる、お茶の時間に行けばケーキが食べられる、夜に行けばディナーも食べられる。とりあえず『ローダーデール』、困ったら『ローダーデール』というお店です。お客様が「困った時のローダーデール」というものです。

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松田 隆

About 松田 隆

青山学院大学大学院法務研究科卒業。スポーツ新聞社に29年余在籍後にフリーランスに。「GPS捜査に関する最高裁大法廷判決の影響」、「台東区のハラール認証取得支援と政教分離問題」等(弁護士ドットコム)のほか、月刊『Voice』(PHP研究所)など雑誌媒体でも執筆。ジャーナリスト松田隆 公式サイト:http://t-matsuda14.com/