土用の丑の日にこそ考えたい。絶滅危惧種のウナギが、未だ大量に売られている理由

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今年の夏は厳しい暑さが予想されている。こう暑くなると食べたくなるのがウナギだ。今年の丑の日は7月25日と8月6日。マクロミルが行った調査によると、アンケートで約7割の人が「(土用の丑の日に)ウナギを食べたい」と答えている。平均予算は一人前1,843円。今年は土用の丑の日が2日間あるが、「両日とも食べたい」と答えた人は44%。さらに、ウナギは「高くても国産」を希望する人が73%という結果が出ている。
一方で、八王子の老舗ウナギ店の『高瀬』のように、丑の日は毎年休業することを宣言する店もある。同店の貼り紙によると「毎年、丑の日はいつも以上の注文量をいただきます。(中略)また近年、シラス(ウナギの稚魚)が環境の変化、乱獲で減少し続けています。資源を大切に守り、日本の食文化“ウナギ”を未来のためにも残していかなくてはという強い思いもあります」とある。
ウナギ店の一番の繁忙期にあえて休業を宣言したのは、減少しつつある資源への配慮が大きいようだ。確かにニホンウナギの漁獲量は減衰傾向にあり、絶滅危惧種に指定されている。しかし、誰もが一度は疑問に思ったことがあるのではないだろうか。「絶滅危惧種のウナギが、なぜ大量に売られているのだろうか」と。そこでウナギの市場について調べてみた。

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養殖のウナギもすべて天然の資源に頼っている
ニホンウナギは縄文時代から日本人が食べてきたとされる身近な魚である。その生態は長い間謎に包まれていたが、2009年、海洋研究開発機構の調査船「白鳳丸」が世界で初めてウナギの卵を発見し、産卵場所を特定した。回遊魚であるニホンウナギは、毎年4月~8月頃にマリアナ諸島付近で産卵し、シラスウナギとなって黒潮に乗って日本の川にやってくる。それから数年~数十年かけて40~50cm以上に成長し、再び産卵場所に向かうという一生を送っているようだ。なぜ産卵のために何千キロも旅をするのかはわかっていない。現在は、成長したウナギを漁獲し、「天然ウナギ」として売り出すか、ウナギの稚魚であるシラスを捕まえて育て「養殖」として販売するのが一般的である。つまり養殖であっても天然の資源に頼っているのが現状なのである。
