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堀江貴文氏「飲食店の究極の形はスナック」。外食産業発展のヒントを「FOODIT TOKYO」で語る

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自身もグルメアプリ「TERIYAKI」を運営し、また「WAGYUMAFIA」という活動も行う

9月21日、トレタ主催のイベント「FOODIT TOKYO 2017」が開催された。同イベントは、“外食の未来が生まれる場所を作ろう”という趣旨でスタートし、今年で3回目を迎える。現在、外食産業は「ブラック化」や「人手不足」が最大の課題になりつつある。そこで「生産性」をキーワードに、飲食業界をリードする17人のゲストが登壇。それぞれの知見を発表するセッションを行った。特に堀江貴文氏による基調講演「外食産業発展のための提言」には、飲食店経営に関わる人にとって、多くの気づきが含まれていた。

時代の先を読む人たちが行き着いた、究極の飲食店とは

堀江氏は食通が選んだグルメを紹介するアプリ「TERIYAKI」のプロデュースや、和牛の魅力を世界に広める「WAGYUMAFIA」という活動を行っている。世界中の飲食店で食べ歩いてきた彼の目から見て「儲かる店、流行る店、なくなっていく店」の違いは何か。

「飲食店の究極の形はなんだと思いますか? 僕がたどりついた結論はスナックなんです。キングコングの西野亮廣君とか、SHOWROOM(ショウルーム)という動画配信アプリをしている前田裕二さんとか、時代の先端を読みながらいろんなアウトプットをしている人たちが辿り着く共通の答えはスナックです。僕は全国各地へ行きますが、スナックはどこにでもあります。大ヒットした『君の名は。』というアニメ映画のワンシーンで、『おしゃれなカフェはないけど、スナックは2軒もある』という台詞がありました。どんなに田舎であってもスナックは成立しているんです」

会場には堀江氏の講演を聞こうと大勢の飲食店関係者が集まった

究極の飲食店がスナックという言葉にどよめく会場。じつはスナックという業態に、飲食店の本質が詰まっているという。

「飲食店の究極の形は何かというと、コミュニケーションなんです。キャバクラは色恋目当てだけど、スナックへ通う人は恋愛感情じゃなくて人間としてママが好きなんです。あるいは雰囲気が好きとか、常連や仲間がいるから通うとか。人に癒される場がスナックなので、どんなにAIが発達しても、無人スナックは成立しないんですよ」

飲食店の本質とは“コミュニケーション”であり、その究極の形こそがスナックであると語る堀江氏。酒を飲みながら仲間と語らい、楽しいひと時を過ごす。そのかけがえのない時間を提供することこそが飲食店の役割だという。

「スナックに行くとだいたい乾き物のおつまみしか出てこないし、『ラーメンが食べたかったら、隣のお店から出前を取って』というノリじゃないですか。つまり、ご飯を作る部分は全然飲食店の本質じゃないんです。今はコンビニの冷凍食品のレベルがすごく上がっているので、それを買ってきてレンジでチンするほうが平均的な飲食店より美味しいものが出せます。スナックはお酒と乾き物しかないから、保管リスクや廃棄ロスがないし、必要な設備はせいぜいカラオケくらい。だから誰でも開業できるし、なくなりません。なぜどんな田舎町でもスナックが成立しているかというと、究極の業態だからです。僕たちはスナックに学ばなければなりません」

飲食店の本質を説く堀江氏

『牛角』創業者も絶賛したラーメン店『一蘭』のビジネスモデル

飲食店の料理は、「美味しければいい」というわけではないようだ。料理において大切なこととは何か? 堀江氏の考えはこうだ。

「僕の大好きな『らーめん才遊記』という漫画の中で、ラーメンコンサルタントの主人公が、イケてない店主に『やつらはラーメンを食ってるんじゃない、情報を食ってるんだ』と言い放つシーンがあって、すごく印象的でした。美味しさを増すのは情報であり、それを伝えるのがコミュニケーションなんです。コミュニケーションというのは人と人との会話がすべてではありません。インターネットで検索してお店の情報を見た人を、いかにその気にさせるか。期待に応えて、笑顔で帰ってもらえるか。これらすべてが広義のコミュニケーションなんです」

堀江氏によると、対面していないのに非常にうまくコミュニケーションがとれている飲食店があるという。とんこつラーメン専門店の『一蘭』だ。世界中で飲食店を作ってヒットさせている『牛角』の創業者、西山知義氏も大絶賛していたという。

「『一蘭』がなぜあそこまで大繁盛しているかというと、理由があるんです。『一蘭』は、一人ひとりのスペースが仕切られていて、目の前にのれんがかかっていますよね。隣の人と話せないし、やることがないから、みんなのれんを見ます。そこには一蘭のラーメンがどうして美味しいのかといったストーリーが書かれています。その時点で『情報を食べさせること』に成功しているので、味は1.5割増しなんです」

『一蘭』は店員と客の間をのれんで隔て、極力接しないようにするビジネスモデルだが、それも経営にとってプラスに働くように計算されているという。

「正直言って、飲食店のアルバイトのモラルや接客技術はそこまで高いものではありません。よく食べログでも『挨拶がなかった』という理由で低い評価を受けている店舗もあります。しかし『一蘭』は店内に入ると自動音声が『いらっしゃいませ』と言うので、つられてバイトの子も挨拶します。100%漏れがありません。仕切りで店員の姿が見えないので、『バイトの服装や態度が悪い』というクレームが発生することもない。替え玉を頼むときは客に注文票を書かせるので『言った、言わない』という伝達ミスもない。券売機を使っているので、レジで小銭をごまかすような不正も発生しない。つまり、ミスや不正、コミュケーションの失敗のない究極の業態なんですね」

当初は「個室ラーメン」という部分にスポットが当たっていた『一蘭』だが、じつは店内のいたるところに素晴らしいノウハウが隠されていたようだ。

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三原明日香

About 三原明日香

これまでに、百貨店の会報誌や、フリーペーパー、グルメ冊子、地域の経済新聞などで取材記事を執筆。社会保険労務士や年金アドバイザーの資格を持ち、人事労務の分野にも詳しい。趣味は都内のカフェめぐりで、とくにチョコレートには目がない。