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アサヒビールが業務用ビールを値上げ。酒税法改正による飲食店への影響が本格化か!?

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Photo by iStock.com/Bogdanhoda

10年ぶりのアサヒビールの料金改定、その背景は?

アサヒビールが2018年3月の出荷分から、業務用を中心としたビール系飲料の値上げを実施する。アサヒビールの値上げは、すべての商品で実施した2008年以来10年ぶりで「大びん価格で10%前後上がる見通し」だと報じられている。

今回のアサヒビールの値上げにはどのような背景があるのだろうか。大きな要因は今年6月に行われた酒税法の改正だ。これにより、正当な理由なく原価を下回る価格で酒類を販売することが出来なくなった。ルールを遵守しない場合は社名の公表や罰則の適用、最悪の場合は販売免許の取り消しになる恐れもある。

昨今、物流費高騰などを理由に原価が上昇しつつあり、このままでは卸業者の販売価格が原価を下回る可能性も出てきている。こうした状況を受け、アサヒビールは法令に抵触しないように先手を打ったというわけだ。他のビール会社も同じような悩みを抱えており、アサヒビールに追随するのではないかと懸念されている。

Photo by iStock.com/Peera_Sathawirawong

「とりあえず生」はもう古い? 若者を中心に広がるビール離れ

最近、若者の「ビール離れ」が叫ばれているが、どれくらい深刻なのだろうか。7月12日にビール大手5社が発表した1~6月のビール系飲料の出荷量は、前年同期比1.3%減の1億9025万ケース(1ケースは大瓶20本換算)となり、5年連続で過去最低を更新。16年の瓶ビールの売り上げは、08年と比べて4割減。飲食店向けの樽も8%減ったというから、問題視されるのも無理はない。出荷量が少なくなれば、結果的にビール1本あたりの生産コストも上がってしまう。アサヒビール側も苦渋の決断で、値上げに踏み切ったのではないだろうか。

また、酒税法の改正以降は業界全体に値上げの傾向が広がっている。居酒屋チェーン『鳥貴族』は、今月からドリンク全品が280円から298円に18円値上げ、『日高屋』を展開するハイデイ日高も先月から生ビールを20円値上げ、株式会社ペッパーフードサービスが経営する『いきなり!ステーキ』も日高屋同様にビールを20円値上げした。

Photo by iStock.com/AH86

値上げを踏みとどまるためにはどんな対応策が必要か?

6月の安売り規制により、仕入れ価格が上昇してしまった飲食店も少なくないだろう。また、これを機にビールの提供価格を引き上げようと考えている店舗も多いはずだ。しかし、ビール離れが加速する一方で、根強いビールファンが存在していることも事実。値上げによって客が離れてしまう場合もあるため、値上げについては慎重に検討し、場合によっては経営努力で踏みとどまることも考えていきたいところだ。

例えば、原価率の低い「割もの」の酒の種類を増やすのもひとつの手。一般的にハイボールの原価はジョッキ1杯で50~70円、サワーは30~50円と言われている(ビールの原価は150~200円)。最近人気のレモンサワーを主力商品として、メニュー表の目立つところで訴求するのもいいだろう。ただ、アサヒビールの発表によると3月の値上げには「酎ハイや焼酎などの一部」も含まれているとのことなので注意したい。すでに考えを巡らせている店舗も多いはずだが、仕入れ価格上昇に悩む店舗は、何か出来る工夫はないか今一度考えてみてはいかがだろうか。

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逆井マリ

ライター: 逆井マリ

フリーライター。音楽、アニメ、ゲーム、グルメ、カルチャー媒体などに取材記事を執筆。現在の仕事に就く前に、創作居酒屋、イタリアン料理店での業務経験あり。写真は大好きなアイスランドで撮影したもの。