東大から飲食業へ。髙田賢介社長が仕掛ける個性豊かな店舗戦略と社名「Edge」にかける思い

「飲食業には一生かけて取り組むやりがいがある」と語る髙田社長

レストランを超えたサービスも、これからのEdge

EdgeのHPの代表メッセージに「激しさを増す環境の中、お客様から長く求められるお店を創るのに必要なことは何であるのでしょうか？」「お客様に提供すべきものが何であるかを常に自問自答しております」とある。こうして順調に企業として成長した今、その答えは見つかったのだろうか。

——社長の中で答えは、はっきりした形になっているのでしょうか

髙田　それぞれのお店によって、答えが違うというのが答えでしょうか。同じことをやり続けていくと絶対に飽きられますし、長続きしません。今その瞬間にお客様が求められているものを、常に接客しているスタッフが見続けていることなのかなと思います。

——30年、40年続けていく中で客の嗜好も変わっていきますよね

髙田　そういう意味でいうとうちの会社は何かを変える、変化させることをポジティブにとらえています。もっとお客様に喜んでいただくにはどうすればいいかということを考え、新しいことにチャレンジすることを常に言って、やっていますが、それをやり続けることが答えかなと思っています。

——今後、ビジネスについてどのような展開を考えていらっしゃいますか

髙田　最近の話でいうと、9月21日に2業態の店舗を出しました。１つはオールデーダイニング、カフェですね。もう１つは客単価7000円ぐらいのチーズをメインとしたイタリアン。その２店舗に関しては都内で5店舗から10店舗は増やしていける業態という気はしています。新しく出す新業態についての横展開は会社を成長させていく戦術としてあるということです。冒頭に「多店舗展開はしないと決めているわけではない」と言ったのはそのことです。

——長期的にはどのようにお考えでしょう

髙田　今後やっていきたいと思っているのは、宿泊付きのモデルです。特に『Marine & Farm SAJIMA』のような店舗で、宿泊付きのモデルだったら、もっと面白いことが考えられると思っています。オーベルジュ（宿泊できるレストラン）のパターンとか。リゾートっぽいプチホテルみたいなものができると、また違った展開ができるかなと思います。

——まさに高付加価値のサービスですね

髙田　飲食店の行く末を考えると、人件費は上がっていく一方、都心で展開する限り家賃が下がることもそれほどないでしょうから、どう考えても新しいことをやらなければいけません。スタッフ、企業の成長を考えると通常の飲食店のモデルだけではないビジネスモデルを確立していかないと、生き残れないと思います。宿泊、物販、テイクアウト、そういう領域も視野に広げていかないといけないと考えております。生き残っていける飲食店の形は、ここ10年ぐらいで激変するのではないでしょうか。

——それを見据えてビジネスモデルを確立していく、と

髙田　ビジネスモデルで負けているものはスタッフの努力では挽回できません。ですから勝てるビジネスモデルで広げていく必要があります。間違った舵取りすると、危険だなということは常々思っています。

大切にしている言葉として「Every Day Good Experience」をあげてくれた髙田社長。この言葉は社名である「Edge」の由来にもなっている

髙田賢介（たかだ・けんすけ）
1976年、鹿児島県出身。幼稚園年長から小3になるまでスペイン・マドリードで暮らす。自宅はレアル・マドリーの本拠であるサンチャゴベルナベウから500mほどの場所にあったという。当時はディエゴ・マラドーナの全盛期で、子供の頃はマラドーナファン。早稲田高校卒業後、東京大学理科I類に入学。工学部海洋工学科（現システム創成学科）に進むが、飲食業界で生きていくために中退。2013年から現職。

【株式会社Edge（エッジ）】
本社／東京都渋谷区恵比寿南1-11-2 ダイニングイノベーションビル 3階
代表取締役社長／髙田賢介
http://www.ed-ge.co.jp

【運営店舗】
『Fish Bank TOKYO』（港区東新橋）／モダンシーフードフレンチ
『NoMad Grill Lounge』（千代田区紀尾井町）／国産の牛肉にこだわったステーキハウス
『Marine & Farm SAJIMA』（横須賀市佐島）／地元食材を利用したシーフード
『MAJESTIC Priv』（港区西麻布）／会員制プライベートラウンジ
ほか5店舗