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飲食店の閑散期、どう乗り切る? 繁盛店『クランドサケマーケット』に聞く「イベント集客術」

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新潟県にある『長谷川酒造』の飲み比べイベントの様子

クリスマスや忘年会、新年会と忙しさが続く繁忙期を終えた今、売り上げが落ち着き、閑散期を迎える飲食店は少なくない。この時期の売り上げをどう立てるか、頭を悩ませている店主も多いのではないだろうか。

そんな時期におすすめなのが「イベント」の開催。新規顧客を開拓したり、常連客に新たな店の楽しみ方を見つけてもらえたりと、イベントは店のファンを作るチャンスとなる。そこで今回は毎月多種多様なイベントを開催する『KURAND SAKE MARKET(クランドサケマーケット)』を取材。広報を担当する小紙宇意さんに、イベントに込める思いや具体的な集客方法について話を聞いた。

イベントを通し、日本酒の新たな楽しみ方を知ってほしい

2015年、池袋に一号店を出店した『KURAND SAKE MARKET』。日本酒100種類が時間無制限で飲み放題、食べ物の持ち込みは自由という斬新な営業スタイルが特徴だ。日本酒といえば敷居が高いイメージを持つ人も多いが、同店のカジュアルなスタイルは、「日本酒に興味はあるけど、楽しみ方が分からない」という20~30代の若者の心をつかんだ。首都圏を中心に支店を増やし、2017年12月には8店舗目となる『KURAND SAKE MARKET 横浜店(横浜飲み比べ横丁内)』がオープン。連日、若い世代の日本酒ファンでにぎわっている。

ショーケースにある100種類の日本酒が飲み放題

そんな同店のもう一つの特徴が、多種多様なイベントを開催していることだ。1月だけでも、金曜・土曜の週末を中心に各店舗合わせて7つのイベントを開催した。「私たちは、日本酒をもっと自由に楽しんでもらいたいと思っています。今の営業スタイルになったのも、敷居が高かった日本酒にもっと親しみを持ってもらいたかったから。イベントも『新しい楽しみ方』を提案できる大切な場です」と小紙さんは話す。

イベントで地方の蔵元と都内の若者を結ぶ

数あるイベントの中で、特に人気を集めるのが「蔵元飲み比べイベント」。全国各地にある蔵元の中から1つの蔵元をフィーチャーし、杜氏ら担当者が実際に店を訪れて、自らが作る日本酒を直接お客さんに振る舞う。参加費は不要で、通常の飲み放題料金を支払えば楽しむことができる。イベントのために特別限定酒を用意することもあるほか、途中でクイズ大会をしたり、質問タイムを作ったりして、蔵元と客がしっかりとコミュニケーションがとれる仕組みとなっているのが特徴だ。

蔵元と都内の若者が直に触れ合えるのが人気のワケ

「日本には北海道から沖縄まで、多くの蔵元があります。小さな蔵元もたくさんあるのですが、とても良いお酒を作っていても、都内に販路を広めるための『販促』まで手が行き届かないケースがよくあるのです。そこで、蔵元とお客様を繋げるパイプ役になるのが私たちです。都内の若い人たちの声をダイレクトに聞くことができると、蔵元の皆さんはとても喜んでくれますし、お客様も酒造りの話を杜氏の方たちから直接聞くことができると好評です」

蔵元や客が喜ぶばかりではない。イベントは、飲食店の閑散期でも高い集客力を見せる。

「飲食店の来客数が減る2月も、イベントを含めた取り組みのおかげで、多くの方に来店して頂いています。また同じく閑散期である8月は、日本酒の消費が減る時期に重なりますが、ここは蔵元の皆さんも落ち着いている時期。そのため地方の蔵元の方も都内のイベントに参加しやすくなり、さまざまな催しを開催できます。お互いのリズムがちょうどマッチしているのも、この蔵元飲み比べイベントが続く理由の一つかもしれませんね」

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戸田千文

ライター: 戸田千文

広島・東京を中心に活動するフリーランスの編集・ライター。これまでにグルメ冊子や観光ガイドブック、町おこし情報誌などの編集・執筆を担当。地方の魅力を首都圏に発信する仕事をするのが夢。おいしい地酒を求め、常にアンテナを張り巡らせ中。