ニュースレターの購読はこちらから(無料)
Foodist Mediaの新着記事をお知らせします(毎週2回配信)
※お申し込みの前に、個人情報の取扱いについてご確認いただき、同意の上お申し込みください。
powered by 飲食店.COM ログイン

『ヴィノシティ』藤森 真氏が語る繁盛店の条件。すべては「お客様のために」

LINEで送る
Pocket
follow us in feedly

株式会社シャルパンテの藤森真社長

神田にワイン居酒屋『ヴィノシティ』がオープンしてから8年、日本のワイン事情は大きく変わりつつある。「ワイン業界全体を盛り上げたい」と店舗を立ち上げた株式会社シャルパンテの藤森真社長は、今、大きな手応えを感じているという。ワインを主力にした業態のトップランナーとも言うべき同社長に、現在のワイン事情、そして『ヴィノシティ』、運営する株式会社シャルパンテの将来への見通し・戦略などを聞いた。

ワインの売上増を肌で実感、「ヴィノシティを入口に」

2010年の国内ワインの消費量は26万2475キロリットルだったが、2015年には37万337キロリットルと、およそ41.1%の増加を記録している(国税庁発表資料)。特に輸入ワインの消費量は49.5%の増加と、他の種類にない圧倒的な伸びを記録している。ワインの販売の最前線にいる藤森社長には、この数字はどのような感触として伝わっているのであろうか。

━━2010年に1号店を出した後、藤森社長の目指すワイン文化の広がりに手応えを感じていますか

藤森真社長(以下、藤森) サラリーマンが会社帰りに気軽にワインを飲めるようになってきたというのは、すごく感じます。開店当時、気軽にワインを飲める場所が、神田は皆無といっていい状況でした。それがピーク時には70軒から80軒ぐらいワインが飲める店ができていましたから。

━━国税庁の資料にあるようなワインの売上増を肌で実感されていますか

藤森 それは実感します。消費量が増えたのは、飲食店でワインを扱う店が増えたことはありますが、それだけではありません。スーパーやコンビニで扱う棚が増えたのも大きいでしょう。彼らはトレンドに敏感です。そして、飲食店のトレンドも見ています。僕らが頑張っていることで「ワインが売れるようになった」と思ってもらえたから、棚が増えました。イオンさんやセブン&アイさんは2013年ぐらいから一気にワインの扱いを増やしてきたように見えます。

━━ワインの消費量が増えて、より広まっていく中、『ヴィノシティ』はどのような位置付けを目指しているのでしょうか

藤森 ワインの場合、マナーは必要だと思っています。最低限のマナーを、ウチを入口にして知っていただければと思います。そうすれば、格式の高いレストランで飲む時でも慣れているから大丈夫でしょう。そもそもウチぐらいの価格帯なら、コップのようなグラスで提供してもいいのですが、あえて足つきのグラスで出しています。それは格式あるレストランで飲む時のために、慣れていただくという考えからです。

2010年にオープンした1号店『ヴィノシティ 神田本店』

生牡蠣や塩辛と赤ワイン。「合わない」ではなく「合わせる」のがソムリエ

━━たとえば明らかに料理と合わないワインを注文してきた場合、どのように対処されますか

藤森 確かに塩辛に、18度ぐらいの温度が高めでシブめの赤ワインですとか、生牡蠣にボルドー産の赤ワインがあまり合わないというのはあるかもしれません。でもそれは合わないのではなく、合わせようとしないだけです。ボルドーは赤ワインと生牡蠣の産地で、現地の人は生牡蠣を食べる時でも赤ワインです。ソーセージやベーコン、バター等の動物性油脂のものを間に口にし、生牡蠣の磯の香りを動物性の脂や旨味で閉じ込めて、生牡蠣の旨味が赤ワインを引き立てられるように工夫しています。塩辛の場合は、バターで塩辛を少し炒めて軽く胡椒をふれば赤ワインに合います。単体だと合わなくても、合わせる方法はあるわけです。「合わない」とネガティブに考えるのではなく、「合わせる」とポジティブに考える。そういう提案をするよう従業員に言っています。

『ヴィノシティ』はワインと気軽に合わせられる料理が多い

単純明快な理論「空席は一銭も生まない」の背後にあるもの

こうしたワインへの卓越した理論・感覚が『ヴィノシティ』を短期間のうちに人気店に押し上げた要因であるのは間違いない。しかし、それだけでは次々とヒット店を生み出すことはできない。経営者としての合理性を備えているからこそ、『ヴィノシティ』グループがワイン業態をけん引するような存在になれたのだ。あるインタビューではこう話している。

「空席は一銭も生まない」。

この子供でも分かる理屈も、8年で人気店を次々と生み出している藤森社長から発せられると格別な重みがある。言葉を唱えるだけではなく、具体的な施策に落とし込む。たとえば来客時間の傾向を分析し、受付の時に予約時間を15分早める、あるいは遅くしてもらうことで他の予約を入れやすくし、予約前後の空席の時間を圧縮することで回転率をアップさせ経営を効率化させた。

━━経営の効率化の部分は、予約の工夫以外にもたくさんありそうですね

藤森 いっぱいありすぎて、どこから話していいか分からないぐらい(笑)。ウチの約束事(行動指針)の中に「意味のないことはしない」というのがあります。ウチがやっていることには全部意味があるということです。例えば行列ができる店に入ってみたら、結構、空席があったという経験はありませんか?

━━あります。“どうなってるの?”みたいな場合が

藤森 それは単に食器を下げるのが遅いことや、案内ができていないからです。そういう店を見ると「僕がこの店のマネージャーだったら、売り上げを2倍にできるな」と思います。並んでいる人は一銭も生みませんし、もしかしたら帰ってしまうかもしれません。どれだけテーブルのリセットを速くするか、そのために通りがけに1つでも皿を下げてくる。お客様が帰る時のテーブル上の理想はお水のグラスだけです。ですからワンウェイに2ジョブ、3ジョブ、「1個持って行ったら、必ず2個、3個持って帰ってくるように」と言います。

━━そういう積み重ねということですね

藤森 ランチタイムのセットのコーヒーはテイクアウトです。お会計の後にセルフで注いでいただいています。ランチはピークタイムの12時台にどれだけ入っていただけるかが重要で、コーヒーまで座って飲んでいただいていると、お待ちのお客様をご案内できず一回転で終わってしまいます。

Pocket
follow us in feedly

Foodist Mediaをフォローして最新記事をチェック!

ニュースレターの購読はこちらから(無料)
Foodist Mediaの新着記事をお知らせします(毎週2回配信)
※お申し込みの前に、個人情報の取扱いについてご確認いただき、同意の上お申し込みください。
[PR]
松田 隆

About 松田 隆

青山学院大学大学院法務研究科卒業。スポーツ新聞社に29年余在籍後にフリーランスに。「GPS捜査に関する最高裁大法廷判決の影響」、「台東区のハラール認証取得支援と政教分離問題」等(弁護士ドットコム)のほか、月刊『Voice』(PHP研究所)など雑誌媒体でも執筆。ジャーナリスト松田隆 公式サイト:http://t-matsuda14.com/