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兄弟、二人三脚で歩む繁盛店『しんの輔』。激戦区・阿佐ヶ谷でも「串揚げ」を武器に躍進

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『しんの輔』の店名は、ご本人の名前からストレートに命名

東京・中央線沿線の中野から吉祥寺までは、都内でも屈指の居酒屋激戦エリアだ。その中心に位置する阿佐ヶ谷駅周辺は、ひと駅手前の高円寺のようなサブカルの匂いはほとんどしない。また、その先の荻窪・西荻窪ほどお洒落なお店が集っているわけでもない。駅の南北には木々の豊かな中杉通りが広がり、南口には都内有数の規模を誇るパール商店街が買い物客を集める。日中の阿佐ヶ谷は、なんともほのぼのした雰囲気だ。

ところが日が暮れ、夜が近づくとその雰囲気は少し変わる。北口にはスターロード、南口には一番街といった飲み屋街があり、連夜、酔客で大変な賑わいを見せているのだ。阿佐ヶ谷は、まさに中央線沿線きっての「本当に呑むことが好きな人たちが集う」街だといえるだろう。

そしてこの街で、ひと際、活況を呈しているのが串揚げ居酒屋『しんの輔』。多くの居酒屋や飲食店が軒を連ねる阿佐ヶ谷で、常連客から一見客まで幅広い客層の心を掴み、業績を上げている。店を構えるのは駅南口から歩いて5分程度の、一歩先は住宅地となる隠れ家的な立地。それ以前は北口のスターロードで9年ほど営業。1年前から現在の場所に移転したそうだ。

オーナーの戸田信之輔さんに、居酒屋を始めたきっかけやメニューへのこだわり、そして移転の経緯やその後の課題などを伺った。

一軒目からという方もいれば、界隈をはしごした後に訪れる方も

独立するなら、地縁のある阿佐ヶ谷で

まずは激戦区・阿佐ヶ谷に店を構えた理由から聞いた。

「元々は『東京コケコッコ本舗』という楽コーポレーションが運営する居酒屋の阿佐ヶ谷店で働いていました。阿佐ヶ谷とのつながりは、そこからです。また妻が阿佐ヶ谷出身でしたので、お店をやるなら阿佐ヶ谷で、ということは決めていました。その後、吉祥寺の系列店に移ったのですが、スターロードに空きの物件が見つかったので、36歳の時に独立を決めました」

戸田さんは『東京コケコッコ本舗』の阿佐ヶ谷店で働くにあたり、五反田の実家を出て、阿佐ヶ谷へと引っ越した。そして街を歩いていると、かつての同僚でもあった女性に8年振りに遭遇した。その人こそ、戸田さんの現在の奥様なのだ。阿佐ヶ谷という街に、切っても切れない縁があるのだろう。

楽コーポレーションで学んだ「宇野イズム」

戸田さんは高校卒業後、アパレルの販売員として働き始めた。その後ラーメン屋の店員などを経て、26歳の時に「居酒屋をやりたい!」と思い一念発起。宇野隆史氏率いる楽コーポ―レーションの『くいものや楽 渋谷店』で働き始めると、居酒屋の様々なノウハウを身に付けていった。

オープンキッチンで接客から調理までを店員それぞれがこなす同社のスタイルは、自身の肌にも合っていたようだ。そしてこのやり方は、独立する上でも大変役立ったという。筆文字で描くメニュー表や、メリハリの利いた盛り付け方法は、まさに宇野イズムを継承している。

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東海林ミノル

ライター: 東海林ミノル

1973年静岡県生まれ。印刷会社の営業からコピーライターに。広告制作会社勤務を経て、現在は執筆/編集に軸足をシフトしている。15年程前から中央線沿線在住。趣味は食べ歩き、料理など。特技は知り合いと偶然、町で出会うこと。