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飲食店の「忘年会対策」。まずは集客に繋がる「宴会メニュー」を考えよう!

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画像素材:PIXTA

12月の繁忙期に向けて、新たな宴会メニューを考案している飲食店も多いだろう。しかし、単に宴会用の料理を増やしたり、コースメニューを考案するだけでは集客には繋がらない。客が満足できる内容であることはもちろん、店にもメリットがあることが理想だ。今回は、居酒屋を例として宴会メニューを考案する際のポイントをまとめる。

そもそも、宴会メニューを提供するメリットとは?

■客数UPと単価UPが見込める
普段は2~4名程度の少人数客をターゲットとしている店でも、宴会メニューを提供することで団体客を集めることができる。さらに、通常メニューに比べて宴会メニューは単価が高いので、通常2000~3000円の客単価が3000~4000円程になることも珍しくない。団体客が入ると忙しくなる印象もあるが、組数単位で見れば5名も10名もさほど変わりはなく、仕事の効率には影響しない。

■事前予約で売上の予測がしやすい
飲食店は日によって来客数の変動が大きいため、一日の売上を予測することが難しい。そういった中で、事前予約をしてもらえることは大きなメリットだ。おおよその来客数を予測できればスタッフのシフトも組みやすく、従業員の負担も軽減できる。

■お客の来店・退店時間を把握できる
売上だけではなく、顧客の滞在時間を把握しやすいこともポイント。時間制で予約してもらうことで、その前後にも別の予約を入れやすくなり、途切れることなく集客できる。また、19時より前、もしくは21時より遅い予約を割引にするなどして、混みやすい19~21時の時間帯を避けてもらう工夫も賢明だ。

■食材ロスが出にくい
予約分に関しては事前に来客数が分かるため仕入れの無駄が少なくなり、コストの削減に繋がる。また、調理法を変えたひとつの食材を複数のコース間で使用すれば、食材の無駄を減らしながらメニューの幅を広げることも可能だ。

■事前準備ができるので効率的
客の来店時間が把握できれば、当然ながら事前に席の準備や料理の仕込みなどが可能。客を待たせることなく短い時間でも満足してもらえるよう、コース開始とともにすぐ提供できるような前菜などの一品を用意しておくと良い。

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宴会メニューを考えるうえで大切なポイントとは

■分かりやすく「つかみ」のあるメニュー名の考案
他店との競争が激化している飲食業界。差別化を図るなら、宴会メニューのネーミングにも力を入れよう。トレンドを取り入れるのはもちろん、自店の強みやオリジナリティをプラスしたネーミングが望ましい。また一目でその店の売りや、料理の魅力が伝わるような工夫も必要だ。

■メニュー数はいくつほど用意するべきか
店によっても考え方は異なるが、一般的には3~5種類がベスト。これ以上になると仕入れがヘビーになってしまう可能性もある。まずは、あらかじめ目標客単価を設定。次に4000円なら4000円のコースを作り、メニュー表の中段に記しておく。基本は3種類くらいに止めたうえでメイン料理やデザートなどを選択できるように設定し、「選べる感」を演出するのもおすすめだ。

■原価率はどのぐらいに設定するのが正解?
原価率は30%程度に設定するのが基本だが、特に推したいコースや目玉コースを作成する場合は、思い切って上げてみるのも手。原価の高い食材を使用することで客の満足度が高まり、その後の集客に繋がることもあるかもしれない。基本的に多くの人が好む料理であること、そして料理にトレンドを取り入れている……など、宴会という場に求められている要素をしっかり盛り込むことができれば、多少高めの設定にしても問題はないだろう。

■「飲み放題」をいかに設定するか
飲み放題ドリンクの種類を多く設定できない場合、どうしてもお得感を持ってもらいにくい。その際は「プレミアムドリンク」など特別感のあるジャンルを設け、最初の一杯のみ注文できるようにするなどの工夫も有効だ。そのほか、早期予約で利用時間の延長を可能にする、滞在時間間際までオーダーを受け付けるといった特典を提示することも、他店との差別化に繋がる。

■お得感を持ってもらうための工夫、喜ばれる心配りも忘れずに
大皿料理の場合、意外とボリュームが少ないという印象を持たれたり、人数によっては取り分けにくいこともある。大人数であれば追加でサービス料理を提供する、一組の人数が奇数であればシェアしやすいように盛り付けを工夫するなど、幹事さんの立場に立って臨機応変に対応することが大切だ。

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宴会メニューはどこでどのように告知すべきか?

まずは既存客の宴会ニーズを掘り起こそう。店内チラシを作成したなら、常連客から優先して告知を行い、早期割引などと併せて案内するのがベター。新規客に対しては、既存客の予約がある程度埋まった時点で、SNSなどを使い効率的に拡散していこう。予約枠が少なくなった段階で拡散した方が「人気店」としての印象が強まり、集客しやすくなることもある。またその際の宣伝材料作りとして、11月ぐらいを目安に常連客向けの試食会兼撮影会イベントなどを企画開催し、その様子をSNSやホームページなどに公開する、なんていうのもひとつの方法だ。

美味しい料理を提供することはもちろんだが、飲食店は「楽しい場所」であることも重要。年末に向け、賑やかに労をねぎらってもらうためのサービスを提示していきたい。とはいえ近年は、団体客のドタキャン問題などが増加しているのも事実。当日の電話確認や、料金を一部前払いにしてもらうなど、想定されるトラブルを事前に回避する努力も必要だ。

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大槻洋次郎

ライター: 大槻洋次郎

父親が喫茶店を営む家庭に生まれ、31才の時にカフェで独立開業。個人経営のこだわりカフェの先駆者的存在となった。現在は大手カフェスクールや展示会での講師活動、飲食店の開業支援などを行なっている。現場目線の初心者でもわかりやすいノウハウに定評がある。メディア出演も多数。得意料理はパスタ。