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【新型コロナ】飲食店の雇用を守る! 社労士が解説する「雇用調整助成金」申請の流れ

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画像素材:PIXTA

4月16日の20時過ぎ、総理大臣官邸の対策本部で安倍首相は「緊急事態宣言」の対象地域を全国に拡大したと発表。すでに宣言が出ている7都府県と同じく、5月6日まで外出自粛の動きが続くことが見込まれる。飲食店にとっては、これまでにない未曾有の大ピンチ。ここでは、いま飲食店が有効活用できる助成金や給付金について詳しく解説する。

【注目記事】飲食店が活用できる新型コロナウイルス関連の「補助金・助成金」は?

人件費の負担が軽くなる? 「雇用調整助成金」とは

雇用調整助成金は、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、従業員に「休業手当を支払ったとき」に、その費用の一部を助成する制度である。売上がないときに人件費を払うのは大変だ。とくに今回は新型コロナウイルスという不可抗力によって全国の飲食店が大打撃を受けている。その救済策の一つとして、政府が打ち出したのが雇用調整助成金の要件の大幅な緩和である。

雇用調整助成金は昔からある助成金だが、4月1日から6月30日までは「緊急対応期間」として、書類を大幅に簡素化。通常時よりも助成率がアップしたり、要件を緩和したりという特例的な措置がとられている。

これまでアルバイトや雇用されたばかりの人など、雇用保険の被保険者ではない者は助成の対象外だったが、期間中は「緊急雇用安定助成金」として利用できるようになった。名称が違うだけで、内容は雇用調整助成金とほぼ同じである。

■支給対象

助成金を受けるためには、大前提として雇用保険の適用事業所である必要がある。「お店を開業したばかり」という経営者でも、令和元年の12月の事業活動が確認できればOKだ。その上で下記の3つの要件をクリアする必要がある。

1、売上要件
前年同月比で、生産性指標(売上等)が下がっていることが第一の要件としてあげられる。休業開始日が3月31日以前なら「10%以上」、4月1日以降なら「5%以上」、売上等が下がっていることが条件となる。なお、この生産性指標は、休業開始日に関わらず「計画届を提出した前月」で判断する。4月に計画届を出せば3月の売上を比較。5月に提出すれば4月の売上等でチェックするのがポイントだ。

2、休業規模要件
会社の規模に対して、休業している人数や日数があまりにも少なすぎると対象にならない。これを「休業規模要件」と言う。最低必要休業日数は、申請期間の所定労働日数と対象被保険者数に、以下の表の数字をかけて求める。

最低必要休業日数の計算方法

■例/所定労働日数20日、対象被保険者数6人の飲食店で、3月に休業させたとする。
・所定労働延べ日数:20日×6人=120日
・最低必要休業日数:120日×1/20=6日
この場合、「1人1日以上の休業」で要件を満たすことになる。

3、支払い要件
雇用調整助成金は、従業員を休ませ、「休業手当を支払ったとき」に助成の対象となる。休業手当は、従業員の直近3か月の平均賃金の6割以上を払わなければならない。この休業手当支払い率は、6割から10割の間で労使が決めることができ、助成額にも影響する。

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三原明日香

ライター: 三原明日香

編集プロダクションに勤務し、フリーライターとして10年以上活動。ふとしたことから労働基準法に興味を持ち、4年間社労士の勉強に打ち込む。2014年に試験に合格し、20年4月に開業社労士として独立した。下町の居酒屋で出されるモツ煮込みが好物。