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『sio』鳥羽周作シェフ「料理人としての原点に」。GIVEの精神でコロナ禍を生き抜く

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「“何をすればみんなが喜ぶか”という原点に立ち返ることが大切」だと鳥羽シェフは語る

アフターコロナに備えるためには?

鳥羽シェフはコロナの影響が1年半くらい続くと見ている。その間、料理人や飲食店はどのように変化していくだろうか。

「レストランや料理人としてのあり方は思いっきり変わるはずです。ビジネス的な観点で言うのであれば、ゲームチェンジがされている中で既存のフォーマットで戦おうとするのは難しいと思います。不謹慎な言い方になってしまうけど、僕たちは苦しい中で、料理人総選挙にかけられているんです。お客様は、知らず知らずのうちに『アフターコロナにどんな店を残すか』という感覚になっていると思います。だから、お店が潰れることを恐れるより、お客様とのエンゲージメントを大事にすることを優先しています。これは料理人というより、人としてのスタンスですね」

アフターコロナの世界を見据えて、料理人としての新しいスタイルを模索している鳥羽シェフ。彼が大事にしていることはとてもシンプルだ。まずはお客様が第一。その次に自分たちのスタイルがあり、それをどう届けるのかということに集中している。

「コロナの影響が落ち着けば、外出を自粛していたお客様もだんだんと戻ってくると思います。そのとき、これまでお店に来てくれた方々と、自粛中に応援してきた方々の数がかけ算になると思うんです。だから両方大切にしないといけません。実際、応援してくれた人がめちゃくちゃ増えたという肌感覚があります。SNSには、『こんなに美味しいレシピを公開してくれて幸せです』『自分でつくってもこんなに美味しいんだから、お店に答え合わせをしにいきます』『応援したいからsioに行きます』という前向きなコメントがほぼ100%。だからギリギリまでほしがってはダメだと思います。応援しなければ、応援されないんです」

3店舗の飲食店に25名の従業員を抱えながら、誰かを応援し続けるというのは並大抵のことではないだろう。だがブレずにお客様の方へベクトルを向け続けた結果、大きな支持が得られている。そんな鳥羽シェフに、「飲食店への応援メッセージ」をお願いした。

「料理人としてありつづければ、どんな形でもまたチャンスはあると思います。極端な話、お店がつぶれたって、料理をつくれる状況にあればやれることはたくさんあると思っています。自分の知識や技術を求めている人がいれば、必ずお金として還元されるから悲観する必要はありません。店を潰さないということにこだわりすぎると大事なものを見失います。『今、何をすればみんなが喜ぶか』という原点に立ち返ればきっと応援されると思います」

取材の最後を、「料理人は素晴らしい仕事だし、いま世の中で求められています」という言葉で締めくくった鳥羽シェフ。彼の顔はコロナの憂鬱を吹き飛ばすような明るさに満ちていた。

鳥羽周作(とば・しゅうさく)
1978 年5⽉5⽇⽣まれ。サッカー選⼿、⼩学校教員を経て、32 歳で料理の世界に⾶び込んだ異⾊の経歴の持ち主。『DIRITTO』『Florilage』『Ariadi Tacubo』などで研鑽を積み『Gris』のシェフに就任。2018年7⽉『sio』、19年10月に『o/sio』、同年12月に『パーラー大箸』をオープン。

『sio(シオ)』
住所/東京都渋⾕区上原1-35-3
電話番号/03-6804-7607
営業時間/18:00~24:00(ランチ12:00~15:00 ※⼟⽇祝のみ)
定休⽇/⽔曜 + 不定休
席数/18
http://sio-yoyogiuehara.com/

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三原明日香

ライター: 三原明日香

編集プロダクションに勤務し、フリーライターとして10年以上活動。ふとしたことから労働基準法に興味を持ち、4年間社労士の勉強に打ち込む。2014年に試験に合格し、20年4月に開業社労士として独立した。下町の居酒屋で出されるモツ煮込みが好物。