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【新型コロナ】ビール会社がハンバーガー店とバーを支援。「それが私たちメーカーの使命」

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前売りチケット制で「参加店に支援金をすぐに渡せるように」

新型コロナウイルスによる影響で困窮する店を、“先払い”という形で支援する活動が少しずつ広まっている。PBRが立ち上げた今回のサポートも前売りチケット制。食事券として使えるチケット型ステッカーをオンラインで購入すると、後日、参加店舗で食事を楽しむことができるシステムだ。値段はハンバーガー店の場合は2000円(2500円分の食事が可能)、バーは1000円(1000円分のドリンク提供)となっている。

「SUPPORT YOUR BAR」の仕組み

チケット売上の半分は、早急に参加店舗へ均等分配される(残り半分の売上は、チケットが使用された店に支給)。支援金を「すぐに渡す」ことが、この取り組みの最大の目的である。家賃や人件費といった目先のお金が足りない、そのせいで飲食店が窮地に追いやられているからだ。人気店として知られる『ICON』も例外ではなく、苦しい状況だという。

「今、融資や助成金を受けるために動いているのですが、とても時間がかかっています。飲食店によって細かい状況は違うとは思いますが、僕らの店舗の売上は8~9割減。ディナーと土日の営業はお休みし、また、同時に店内にご案内するお客様を制限させていただきながら営業しています。営業すること自体本当に正しいのか疑心暗鬼の状態ですが……」(ICON 片寄氏)

とはいえ、手をこまねくだけではない。テイクアウトに積極的に取り組んだり、休業中のライブハウスのスタッフが配達するデリバリーサービスに参加したり、この逆境を乗り越えるために様々な取り組みを行っている。そうした状況の中で、PBRから今回の企画を提案してもらい、すぐに参加の返事をしたという。

「この取り組みに参加するのは、普段ライバルとして切磋琢磨し合うお店同士。こういう時に一緒に助け合えるのは素晴らしいことだと思います」(ICON片寄氏)

『ICON』のハンバーガーとPBRのビール

コロナ終息後には危機を乗り切った仲間としてさらに深い関係に

ちなみに、参加条件はそこまで難しいものではない。条件は首都圏で営業中のバー・バーガーショップであること。新型コロナの影響で売上が半減した、または半減すると予想される店舗であること。店舗のSNS(Twitter、Instagram、Facebookなど)、またはホームページを持っていること。そしてSNSやホームページに、「SUPPORT YOUR BAR」「SUPPORT YOUR BURGER」についての投稿ができること、などだ。詳しくはホームページをチェックしてほしい。なお、PBRは“間に入る”だけで、手数料などは一切受け取らない。

「私たち酒類業界のメーカーがお客様である飲食店を率先的にご支援することは、酒類を扱う業界全体の活性化、それに付随する形で当社の将来的な利益にも繋がると信じています。ご支援者様、お店様から私達が金銭をいただくことは本当のサポートにはなりません。私たちも大変ですが、ご支援者様と同じく、将来の利益になると信じてこの活動を立ち上げました」(PBR小松氏)

小松氏の力強い言葉に、ビールメーカーとしての信念を感じる。つまりこの取り組みは、食と文化を絶やさないための、熱意と善意による活動なのだ。最後に今回の活動を通して、小松氏、片寄氏が伝えたいメッセージを聞いた。

「日本全体で飲食店を守るという動きがより活発になったらいいなと。私たちを通さないで直接お店を支援していただいても構いませんし、個別でクラウドファンディングを立ち上げていただいても構いません。お店を閉める前にやるだけやってみよう、こんな活動があるなら私も支援活動を募ろう……と、ムーブメントとなってこの未曾有の危機を日本全体で乗り越えていく原動力になれれば幸いです」(PBR小松氏)

「店側からご来店を促すようなことも言いづらい状況で、お店が存続していくためには、今はどうにか耐えてお店の存在を忘れないようにしてもらうこと。どこのお店も厳しい状態だと思いますが、終息後には一緒に乗り切った仲間として、PBRとも、参加したお店とも、お客様とも、さらに深い関係を築いていけたら嬉しいです」(ICON片寄氏)

冒頭にも書いた通り、参加店の締切は5月18日まで。支援金を集める期間は5月28日までとなっている。首都圏でバーやハンバーガー店を運営している方は、ぜひホームページをチェックしてみよう。

■「SUPPORT YOUR BAR」「SUPPORT YOUR BURGER」
https://pabstblueribbon.jp/supportyour/

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逆井マリ

ライター: 逆井マリ

フリーライター。音楽、アニメ、ゲーム、グルメ、カルチャー媒体などに取材記事を執筆。現在の仕事に就く前に、創作居酒屋、イタリアン料理店での業務経験あり。写真は大好きなアイスランドで撮影したもの。