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『四川飯店』の結束力を飛躍的に高めたLINE WORKS。コロナ休業前の導入が効いた

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『四川飯店』の運営会社・民権企業株式会社代表取締役社長の陳建太郎さん(右)と、同社マーケティング部副部長の小谷彩水さん(左)

多くの従業員を抱える飲食企業にとって、スムーズな情報共有と適切なコミュニケーションの実現は大きな課題だ。直系店だけで13店舗、姉妹店や海外店舗、本社も合わせるとアルバイトを含めて400名近くの従業員が働く四川料理の名店『四川飯店』も例外ではなかった。今回は『四川飯店』が長年悩んでいたという社内コミュニケーションの問題から、見事解決へと導いたビジネスチャット「LINE WORKS」について、『四川飯店』の運営を行う民権企業株式会社代表取締役社長の陳建太郎さんと、マーケティング部副部長の小谷彩水さんに話を伺った。

従来の連絡手段は、主に電話かFAX。大切な情報の伝達ミスも多かった

『四川飯店』の真髄は、本場の魅力を継承しながら、日本の食材や調味料なども使用して作られる"日本育ちの四川料理"。現在は四川料理を日本に広めた第一人者、故・陳建民氏を祖父にもつ陳建太郎さんが三代目となり、『赤坂 四川飯店』の経営とグループの母体となる民権企業株式会社の代表取締役社長を務めている。看板メニューは四川料理の代表格でもある麻婆豆腐。唐辛子の辛さと山椒のしびれる刺激が後を引く、大人気の一品だ。

麻婆豆腐は『四川飯店』の看板メニュー

陳さん曰く、『四川飯店』は料理やサービスに対して強いこだわりをもつ「職人の世界」。直系店もそのやり方を継承しており、それぞれが采配を振る「個店主義」な面があったそう。また、決めごとをする際の連絡手段は、電話かFAXが主流。普段の営業で判断に迷ったときは、“阿吽の呼吸”で対応していたという。

「とにかく、ほとんどがアナログでした。僕が入社した20年ほど前ならそれでも何とかなっていたのですが、ここ数年はそうもいかなくなってきたなと。まず上司と部下、先輩と後輩のコミュニケーションが徐々に取れなくなっていったんです」

近年のコミュニケーション手段の変化によって、世代間に大きなギャップが生まれた。これまでと同じように連絡事項を伝えても、この人には伝わっているけど別の人には伝わっていない、言った言わないといったトラブルを招いていたという。陳さんは続ける。

「店舗と店舗、本部と各店舗の間でも、大切な情報の伝達ミスが増えていきました。従業員たちの間に誤解が生まれ、その結果、従業員が離れていってしまったことも……。『このままではいけない、早くコミュニケーションの方法や手段を整えなければ』と動き出したのが、今から4年ほど前でした」

アナログツールのみのコミュニケーションには限界があったと語る陳さん

伝達ミスの防止にビジネス版LINE「LINE WORKS」を選択

陳さんとLINE WORKSとの出会いは、まさにその頃だった。とはいえ、初めから大々的に活用していったわけではない。

「最初は50名程度の管理職のみで運用を始めました。それまでのアナログ文化が根強く残る社内で果たしてうまく機能するのだろうかという思いもあり、半ば試験的に導入したような形です。ところが、実際に活用してみたらこれが本当に使いやすい。いずれ会社全体で活用していけるツールだなと実感し、従業員400名のうち正社員である180名の登録に踏み切ったんです」

LINE WORKSとは、ワークスモバイルジャパン株式会社が運用するビジネス版LINE。LINE利用者にも馴染み深いトーク機能をはじめ、ホーム(掲示板)やカレンダー、アンケート、ファイル共有、複数人でのビデオ通話など、基本的なグループウェア機能も備えているのが特徴だ。

個人でアカウント登録するLINEとは異なり、企業や団体の担当者が管理者となってメンバーをアカウント登録し、運用していく。アプリケーションそのものがLINEとは別物であるため、自然な形でプライベートとの棲み分けができる点も評価される理由だろう。もちろん、スマートフォンからも利用できる。

LINE WORKSのトークグループ一覧。小谷さん曰く「その都度タイムリーなものが上位にくるので、トークグループの管理は特に不要」とのこと

世代を問わず、誰でもすぐに使いこなせる

スタッフが主に利用するのは、複数人がチャット形式で話せる「トーク」や、全体アナウンスなどを共有する際に便利な「ホーム」。トークの画面は、デザインや操作性がLINEとほぼ同様なので、使う人のITリテラシーを問わず、直感的に慣れ親しんでもらうことができる。また、ホームは重要な情報がまるで付箋のように画面に並んでいくため、見落としも少なくわかりやすい。

導入時に発生するダウンロード方法などの様々なレクチャーは、手順を示したPDFをホームにアップするなどして、比較的スムーズに対応できたそう

『四川飯店』では2016年にすでに導入されていたが、管理職までの利用で、すべての正社員に対して導入はしていなかった。それを改めて社内全体のコミュニケーションツールにするべく尽力したのが、マーケティング部副部長の小谷さんだ。

「一般的なオフィスワーカーと違って、飲食の現場で働くスタッフはパソコンなどを使う機会が少ないですよね。特に職人気質の方々は、ITに対してやや腰が重い部分もあると思います。それでもやっぱり、本当に使いやすくて便利だと実感すれば取り入れてくれる。弊社でもLINE WORKSの導入をきっかけに、ずっとガラケーを利用していた方がスマホに替えた、なんてことがありました。以降はトークルームにも積極的に参加してくれています」

全ての正社員の登録が完了し、基盤が整ったのが昨年暮れ。奇しくも国内における新型コロナウイルスのニュースが世間を騒がせ始める、ほんの少し前だった。

「『会社と個人』ではなく、『グループ全体』でつながれるところがポイント」

発信側の不安を解消する、リアクションの共有と「既読」確認機能

具体的にLINE WORKSをどう活用していこうかと思案し始めた頃、社内ではちょうどコロナによる休業の検討を行っていた。すでにスタッフ同士が簡単には会えない状況だったこともあり、陳さんと小谷さんはLINE WORKSによるコミュニケーションを手探りで進行していくしかなかった。小谷さんは語る。

「店舗ごとのトークグループを作成する一方で、全体へ向けた休業中のお知らせなどは、『ホーム』を使って一斉にアナウンスしました。特に注目してほしい時は、文字だけではなく動画を貼りつけたりして。そうすることで、テンションが単調になるのを防いでくれるんです。情報の発信がしやすいことはもちろんですが、必要な連絡が各自にきちんと届いたのか、既読メンバーの数と名前を把握できる機能があるのも便利だと思いましたね。また、メンバーはホームの投稿にコメントすることもできるので、率直な反応が即座に分かる点もよかったです」

全社共有の情報は「ホーム」に一斉配信される

小谷さん曰く「他のメンバーのコメントに触れることで、お互いに何か学ぶこともあると思うんです」とも。一方的な縦のコミュニケーションに終始しないことは、メンバー同士の気付きや成長を促す効果もあるようだ。

また、詳細な既読状況を知ることは、「言った言わない」「聞いた聞いていない」問題を防ぐことにもつながる。なかなか既読がつかないメンバーには個別に連絡をとるなど、早々に次のアクションを講じることもできるだろう。

全員のアイコン画を白衣着用の顔写真に。チーム感が芽生え、より結束力が向上

『四川飯店』では、必要に応じてトークルームに様々なグループを作成している。本部や直営の13店舗をはじめ、例えば料理長だけのグループやプロジェクトごとのグループなど、その数は20以上。陳さんは言う。

「LINE WORKSを導入して一番変わったのは、こちらが何も言わなくても、スタッフ同士が積極的にコミュニケーションをとるようになったこと。お互いがお互いをきちんと知るきっかけになったと思います」

一般的なLINEでもおなじみの「トーク」画面。複数人でのチャットが可能

また陳さんは、アイコンによる視覚的な統一感も、チームの結束を強め、メリハリをもたらす重要な要素になったと話す。

「ある時、全員のアイコンを白衣やユニフォーム着用の上半身写真に変えてもらったんです。そうしたら、そこからまたガラリと雰囲気が一変して、明確なオフィシャル感が出た。改めて『チームなんだ』という意識が芽生えたように感じました」

これまでも、仲のいいスタッフ同士がコミュニケーションを図る個人のLINEグループは存在したというが、それはあくまでもプライベートの延長。LINE WORKSは、全員が常にオンの心持ちで参加するため、結果的に会社の意識を向上させるようなプロジェクトも自然と生まれてくるという。

陳さん(右)と『赤坂 四川飯店』ホール主任の吉田達哉さん(左)。従業員同士のコミュニケーションも活発に

会えなくても「見えるつながり」が生む、確かな安心感

ひとつのプラットフォームを通じて、所属するグループのコミュニケーションが目に見えるという特性は、自分が何かに属しているという安心感を育む。特に新型コロナの影響で休業し、スタッフ同士がなかなか会うことのできなかった期間中は、このつながりの実感が彼らの心を支えた。陳さんは語る。

「全員が一堂に会せるトークルームの存在もそうですが、様々な情報が交錯していて不安な中で、『僕たちはこっちに進むよ』『こう動いているよ』というのを伝えられたのは、本当によかった。もしあのタイミングでLINE WORKSの基盤が整っていなかったらと思うと、かなり冷や汗ものです(笑)」

『四川飯店』の社内新聞には、コミュニケーションのきっかけづくりとして、その月にバースデーを迎えるスタッフの誕生日が掲載されるそう。休業中の5月、陳さんは新聞をPDF化し、LINE WORKSのホームにアップした。すると数名のスタッフから、誕生日が掲載された社員へ祝福のメッセージが届けられたという。

「1対1のトークではないので、管理職からスタッフへのちょっとした声かけもしやすい」

「デジタルのものって、特に年配の方には『冷たい』という印象をもたれることも多い。でも実際にLINE WORKSを使ってみると、温かい声かけや気遣いを自然に行うことができるので、むしろ温もりのあるコミュニケーションが生まれやすいんです。みんな結構、笑顔の写真をアイコンに設定しているので、その効果もあるかもしれませんね」

規模や業態を問わず、あらゆる飲食企業にとってますます需要が高まりそうなLINE WORKS。これまで以上にお互いの距離を近づけてくれるコミュニケーションツールになりそうだ。

『赤坂 四川飯店』店内

『赤坂 四川飯店』
住所/東京都千代田区平河町2-5-5 全国旅館会館5F・6F
電話番号/03-3263-9371
営業時間/ランチ11:30~15:00(L.O.14:00)、ディナー17:00~22:00(L.O.21:00)
定休日/年末年始
席数/約300

『LINE WORKS』のお申し込み・導入相談はこちらから
[提供]株式会社 USEN Smart Works

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『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

ライター: 『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

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