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コロナを機にさらに進化する大阪『(食)ましか』。目指すは「食のプラットフォーム」

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『(食)ましか』オーナーの今尾 真佐一さん

新型コロナウイルスの流行は外食業界に大きな打撃を与えているだけでなく、従来の飲食店の在り方を変えてしまうとも言われている。実際、テイクアウトにはじまりデリバリー、お取り寄せなど、多くの店がイートイン以外のサービスを充実させるようになった。

大阪・肥後橋にある『(食)ましか(マエショクマシカ)』は、“食のプラットフォーム”を目指して居酒屋風イタリアンと自然派ワインショップを併設し、コロナ以前からテイクアウトフードの提供も行ってきた。そして2020年8月にはECサイトもオープン。新たな販路を持つことで、さらなる進化を遂げようとしている。コロナ以降の飲食店にはどのようなことが求められるのか? 『(食)ましか』の店づくりを紹介しながら、これからの飲食店の在り方についてのヒントを探っていきたい。

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今年8月にオープンした『(食)ましか』のECサイト

“食”を通して人が集まる店へ

『(食)ましか』は、オーナーの今尾 真佐一さんが実家を引き継ぐ形で2011年にオープン。祖母が営んでいた印章店が母親の代で手作りサンドイッチのお店となり、3代目の今尾さんが“食を通して人が集まる場”をコンセプトに、居酒屋風イタリアンと自然派ワインショップを併設する店へとリニューアルした。

12坪ほどの店内は、入口に先代から続くたばこの販売スペースと、サンドイッチ(現在はコロナの影響で休業中)やテイクアウトフードが並ぶショーケースがあり、奥が飲食スペースとなっている。そして、隣の部屋がワインショップだ。多様な要素を一つの店に凝縮した理由を、今尾さんに伺った。

「僕自身、もともと自然派ワインを扱う酒屋のアンテナショップで働いていたので、飲食だけでなく物販もあるお店をしたいと思っていたんです。そんなときに、海外でイタリア発祥の総合フードマーケット『イータリー』へ行く機会があり、スーパーマーケットの中で食べたり飲んだりできるって素晴らしいと感じて、現在の形態になりました」

『(食)ましか』が目指すのは、飲食店という枠組みを超えた“食のプラットフォーム”なのだ。

『(食)ましか』の店内

『(食)ましか』は、こだわりのお酒と厳選食材を使用した料理をなるべく手頃な価格でお客に楽しんでもらうために、独自の提供スタイルを築いてきた。

まず、ドリンクは自家製サワーとハイボール以外すべてセルフサービスだ。シニアワインソムリエの今尾さんが厳選した自然派ワインを中心に、クラフトビールなどさまざまなお酒が並ぶ冷蔵ショーケースからお客自身がボトルを取り出す。スタッフはお客が取り出したボトルの栓を開けるだけ。グラスワインや生ビールも専用の自動サーバーからセルフで注ぐ。そのほか、ショーケースに入っているフードもセルフで取り出すスタイルだ。

また、食事もドリンクも、オーダーは座席ではなくその都度レジ前で行っている。キャッシュオンスタイルというわけではなく、会計は最後にまとめてレジ前で行う形だ。少ないスタッフで回すために、客席まで注文を取りに行かなくてもいいようにしているのだという。

200~300種類の自然派ワインにビール、自家製サワーがそろい、さらに全国のつながりのある生産者から仕入れた上質な素材で作る料理も楽しめる。それで客単価は1人4,000円弱。この“コスパの良さ”が店づくりの大切なポイントになっているのは言うまでもない。

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松尾友喜

ライター: 松尾友喜

和歌山の地元情報誌の編集部でパンの特集や連載、商品開発を手掛けるなど、“パン好き編集者”として活動。2018年に独立し、フリーランスのライター・編集者として、パンをはじめ食関連、旅と街歩き、インタビューなど幅広い分野で取材・執筆している。