飲食店ドットコムのサービス

コロナを機にさらに進化する大阪『(食)ましか』。目指すは「食のプラットフォーム」

LINEで送る
Pocket
follow us in feedly

店内入り口付近に置かれたワインサーバー(左)と、ビールサーバー(右)

生産者とつながる、自然派ワインショップ

飲食スペースの隣にある自然派ワインショップには、シニアワインソムリエの今尾さんをはじめ、ソムリエ資格を持つスタッフが厳選した自然派ワインがそろう。フランスを中心とした世界各国のワインに、北海道や山梨、岡山などの国産ワインも。日本をはじめフランスのワイナリーに訪れることもあるそうで、生産者とのつながりを大切にしている。

また、ワインを通してできたつながりは、食材の調達にも役立っているという。『(食)ましか』のメニューには、佐渡島のソーセージ・ハム・サラミ専門店「へんじんもっこ」や、北海道のチーズ工房「白糠酪恵舎」など、生産者から直接仕入れた食材で作るメニューが数多くある。もちろん今尾さん自身が見つけたり、知人から紹介してもらうこともあるが、つながりのあるワインの生産者から食材にまつわる情報を教えてもらうことも多いそうだ。

『(食)ましか』の売上比率は、イートインの売上がほとんどを占めている。しかし、多彩なお酒を提供できるのはもちろん、生産者とのつながりが上質なお酒と料理の提供につながっているという点で、ワインショップの存在は大きい。

厳選した自然派ワインがぎっしりと並ぶワインショップ

届けるのは飲食物だけではない。ECサイトに込めた思い

『(食)ましか』は、飲食だけにとらわれない店づくりのおかげで、緊急事態宣言発令中の自粛期間に、物販中心の営業へとスムーズに切り替えることができた。もともとテイクアウトメニューの提供や酒販を行っていたことで、新たに許可を取る必要がなかったのだ。

「自粛期間中はお店のSNSを見たお客様が来てくれて、テイクアウトメニューやお酒の販売が伸びました。今後は、イートインだけではないお客様をどう増やしていくかが課題ですね」と、今尾さん。あらゆる取り組みをしてきたが、実はワインショップなどイートイン以外のイメージがまだそれほど定着していないため、今後どのように周知していくか施策を練っている。

テイクアウトメニューの一例。写真は『(食)ましか』提供

ところで、飲食店で食事をして、飲んだワインが気に入ったからといって買って帰る人は少ないのではないだろうか。『(食)ましか』でも、お店を利用した人がお酒を買って帰ることはほとんどなく、飲食したときにワインショップの存在を知って後日買いに来る人のほうが多いのだという。

しかし、新型コロナウイルスの影響で外出しづらい状況が続き、近くに住んでいる人でなければわざわざ買いに来ることも難しくなった。そこで『(食)ましか』は8月10日、イートイン以外の利用を伸ばすためにECサイトをオープンした。まずはお酒とパスタソースなどの販売からスタートし、少しずつ品揃えを充実させていくという。

「テイクアウトもそうですが、お取り寄せって飲食物を売るだけではないと考えています。お客様はただお腹を満たしたいのではなく、自宅にいながらその店や料理とお酒のストーリーに思いを馳せてワクワクしたいはず。私たちはお酒も食材も『(食)ましか』ならではのものを選ぶことで、お客様の食卓にワクワクを届けられたらと思っています」

今尾さんは、新たにオープンさせたECサイトの展開に意気込んでいる。『(食)ましか』は“食のプラットフォーム”としてどのような進化を遂げていくのか、今後が楽しみだ。

『(食)ましか(マエショクマシカ)』
住所/大阪府大阪市西区江戸堀1-19-15
電話番号/06-6443-0148
営業時間/11:30~L.O.14:30/17:00~L.O.23:00、日曜・祝日12:00~L.O.20:00
定休日/なし
席数/36
http://mashica-higobashi.com/
https://maehanmashica.myshopify.com/

この記事は役に立ちましたか?
はい いいえ

Pocket
follow us in feedly
飲食店ドットコム通信のメール購読はこちらから(会員登録/無料)
飲食店ドットコム ジャーナルの新着記事をお知らせします(毎週3回配信)
松尾友喜

ライター: 松尾友喜

和歌山の地元情報誌の編集部でパンの特集や連載、商品開発を手掛けるなど、“パン好き編集者”として活動。2018年に独立し、フリーランスのライター・編集者として、パンをはじめ食関連、旅と街歩き、インタビューなど幅広い分野で取材・執筆している。