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飲食店の収益確保に「スペース貸し」が有効! 『プリックプリックタイ』の“間貸し”戦略

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『プリックプリックタイ』のオーナー・柴 直希さん

コロナ禍で飲食業界のシェアビジネスが加速している。特に注目されているのが「間貸し」だ。バーがほかの事業者に店を貸し出し、昼間だけカレー店として営業する……。いわゆる“間借りカレー”と呼ばれるものだが、こうした取り組みがコロナ禍で増加しているのだ。

しかし、どのようにして店舗を貸し出しているのか、収益はどうなっているのか、実情が気になる人も多いだろう。そこで今回は複数の店舗に間貸しを行う神田のタイ料理店『プリックプリックタイ』のオーナー・柴 直希さんにリアルな間貸し事情を伺った。

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昼はタイ料理、夜は間貸し。営業スタイルを変化させる理由は?

『プリックプリックタイ』は、イートインに加えテイクアウト販売も行っているタイ料理店。通常の営業に加え、空いた時間を複数の事業者に「間貸し」している。

「平日はランチタイムの営業とお弁当のテイクアウトだけやっていて、夜は基本的に2名に店を貸しています。土日は予約のみでおまかせコースを提供しつつ、月に何日かはまた別の人に貸しています」

現在、飲食店を間貸しするケースは少しずつ増えているものの、複数名に貸すケースは珍しい。また、一般的に飲食店が収益を上げやすい夜の時間帯を他人に貸している点も気になるところだ。どのような経緯で今の営業スタイルに至ったのだろうか。

オーナーの柴さんはもともとフレンチの専門だが、タイ出身の奥様と出会ってタイ料理に魅了され、その道を志すことになった。そして勤めていたホテルを辞め、4年半前、『プリックプリックタイ』をオープン。当初は昼夜営業を行っていたが、夜の売上が思うように上がらなかったという。理由は、日本におけるタイ料理の位置づけにあったと柴さんは話す。

「夜は美味しいタイ料理を食べられるバルみたいなものを目指していました。ところが日本では、タイ料理で飲むという文化があまりないですよね。前職の経験を活かしてワインも出してみたいと思ったんですが、神田エリアは気軽な居酒屋さんが多く、ボトルワインを開ける店もなかなか需要が無くて、『あ、できないな』と思いました。結局、夜もランチタイムと同じように、ガパオライスなどの食事を楽しむ“お食事処”になってしまったんです」

同店の席数はカウンターだけの5席。食事のみの利用では、客単価は1,000円ほど。売上の限界が見えていた。そこで柴さんは、何か別の手はないかと手段を検討し始めた。まず、お弁当の提供をスタートすると、神田エリアでも十分にウケた。ロケ弁の受注も開始し、順調に売上を伸ばし始めたという。

「お弁当が軌道に乗ってくると、準備が必要になり、朝早くから働くことが多くなったんです。じゃあ売上の少ない夜の営業を減らそうと、ディナータイムを縮小したんですが、夜に店が空いているのはもったいない。この空間をどうしようかと色々調べるうちに、“間貸し”という言葉を聞くようになって。店を有効活用する選択肢の一つとして、やってみることにしました」

店内はカウンターのみ。接客と調理を同時に行うことが出来る

店舗のマッチングサービス「シェアレストラン」を活用し、間貸しを開始

柴さんはもちろん、間貸しの経験はない。誰にどう貸せばいいのかわからず、借り手とのトラブルも想定されたため、不安があったという。そこで、サポートしてくれるサービスはないかと調べたところ、辿り着いたのが「シェアレストラン」だった。

シェアレストランとは、店舗を貸したい人と、借りたい人のマッチングを行うサービスのこと。貸し手は物件やエリアの情報を登録し、借り手希望者を募る。借り手はその情報を見て、気になるスペースがあれば内見や交渉を行い、お互いが納得すれば契約につながるという仕組みだ。借り手はシェアレストランにスペース利用料を支払い、貸し手はシェアレストランから毎月利用料の8割が振り込まれることになっている。同サービスを選んだ決め手について、柴さんは次のように語る。

「シェアレストランさんは利用者への契約やルールがかなりしっかりしていて、ここなら何か起きたとしても大丈夫かなと思いました。また、保険にも入ることが出来るので、大きな事故やトラブルがあってもある程度カバーできます」

同サービスではまず、貸し手と借り手がシェアレストランの規約に同意する必要がある。規約内容は、例えば、まな板や包丁は自分で持ってくる、刺身などの生ものは基本的に提供しない、契約時間外は使ってはいけないなどが挙げられる。

さらに、通常テナントの個人的な間貸しは「転貸借」となり、テナント所有者とのトラブルの原因にもなってしまうが、シェアレストランが取り持つことでスムーズに契約できているという。

「あくまで空間をシェアするという趣旨をビルのオーナーに理解してもらい、許可をもらってやっています。もし契約でトラブルがあっても、シェアレストランさんが話を通してくれるので安心です」

借り手用の冷蔵庫。お酒や調味料などを入れているそう

借り手を選ぶ基準は、事業計画と立地に合っているかどうか

シェアレストランのサービスを使うと言っても、当然、借り手を選ぶのは貸し手本人だ。借り手を選ぶ際は、借り手の利用時間や提供する料理、きちんと収益を上げられるのかなど、さまざまな精査が必要になる。

「借り手の皆さんは、大体、事業計画書の簡易版を持ってきてくれます。経歴書やコンセプトシートを持ってこられる方もいますね。それらを見せてもらいながら検討します。それから、この神田エリアでやっていけるかどうか。僕なりにかなり厳しく見ています」

飲食店は道路一本挟むだけでも需要が変わることがある。ゆえに柴さんが営業で培った経験をもとに、神田エリアでウケるかどうかも検討するのだという。

「例えば、ハンバーガー屋さんは厳しいです。この辺って、チェーンのハンバーガー店も全然ないんですよ。それってつまり、需要がないからなんです。それから麺系のお店も神田では弱い印象があります。そのほか、この事業計画では難しいなと思った場合は、お断りするようにしています。逆に、需要がなさそうな業態でもコンセプトが面白かったりやっていけそうだなと思ったりした場合は、契約に至ることもありますね」

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竹野愛理

About 竹野愛理

食と文学を愛するライター。飲食店取材、食に関するコラム、書評を執筆のほか、食関連のメディアや書籍にて編集者としても従事。趣味は読書と散歩。本を片手に旅行したり食べ歩きをしたりすることが好き。