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コロナ融資後の倒産件数が増加。資金繰りに行き詰まる飲食店も

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写真はイメージ。画像素材:PIXTA

新型コロナウイルス感染症の影響により売上高が減少した中小企業に、実質無利子・無担保で融資する支援制度「コロナ融資(ゼロゼロ融資)」の利払いおよび返済の開始時期が近づいている。

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「コロナ融資」とは

「コロナ融資(通称:ゼロゼロ融資)」は、2020年春に制度を開始した。当初は日本政策金融公庫や商工組合中央金庫などの政府系金融機関が手掛けていたが、 利用が相次ぎ、2020年5月からは民間金融機関も融資できるようになった。無利子期間は3年で、返済猶予期間は最大5年。多くの企業で制度開始3年後の2023年春より無利子期間が終了、利払いが始まるため、返済原資のない中小企業の倒産が懸念されている。

コロナ融資後の倒産件数は累計323件に

帝国データバンクの集計によると、コロナ融資後の倒産は2022年5月までの累計で、すでに323件。2020年は月に1〜4件程度だったが徐々に増え、2021年2月以降は月に10件を上回るペースとなった。

帝国データバンク「コロナ融資後倒産」動向調査(2022年5月)より

さらに2022年5月は過去最多の41件となり、早ければ2022年6月にも2021年の合計である161件を上回る見通しだ。そのなかで融資額が判明しているのは110社で、1社あたりのコロナ融資借入額の平均は6,100万円。コロナ融資損失額は197億300万円にのぼる。

写真はイメージ。画像素材:PIXTA

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業種詳細別の統計では「飲食店」は3位と厳しい状況

コロナ融資後の倒産企業を業種別にみると、全323件のうち最も多いのは製造業の67件。次いで卸売業65件・建設業61件・小売業60件・サービス業42件。製造業と卸売業はいずれも食品に関連した業種がもっとも多く、次いで製造業では印刷業が、卸売業では衣服卸などのアパレル産業が多い。建設業では、住宅建築など幅広い業種で発生がみられた。

また、小売業の中では特に飲食店が多く、全体の3割(22件)を占めている。さらに業種詳細別の統計では、総合工事・飲食料品卸売に続き、飲食店は3位。飲食業が置かれた厳しい状況が伺える結果だ。

帝国データバンク「コロナ融資後倒産」動向調査(2022年5月)より

コロナ禍の急激な経済縮小や環境の変化により、多くの中小企業で業績が悪化したものの、持続化給付金をはじめとする政府の支援策や、全国200万件・40兆円に上る無利子・無担保融資(コロナ融資)が資金繰りを下支えしてきた。しかし、業績の立て直しがままならない企業も多く、すでに運転資金などで使い切ってしまっているケースも多いという。

そんななかで返済開始の期限が迫る企業も増えており、返済原資の確保や追加融資が難しい中小企業が資金繰りに行き詰り、事業継続を諦める経営破たんが目立ち始めている。前述したように、1年後には無利子期間が終了となるため、さらに厳しい状況となることが懸念される。現在は飲食店にも客足が戻りつつあるものの、ここから正念場を迎える店も多そうだ。

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若松真美

ライター: 若松真美

ライフスタイルや旅行に関する女性向けWebメディアで編集者を経験後、現在はフード、トラベル、日本文化などの分野で執筆するライター。蕎麦屋酒と浮世絵を愛する。週末は東京下町を中心に酒場巡りや町歩きを楽しんでいる。