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飲食店に深刻な影響を与える円安。リンガーハット・ココイチは今年2度目の値上げも

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画像素材:PIXTA

円安の勢いが止まらない。10月20日には1ドル=150円を突破し、1990年以来32年ぶりの円安水準となった。政府・日本銀行による為替介入が行われるもその効果は一時的で、現在も140円台後半で推移している。円安の影響による原材料高騰を理由に、一部の大手外食チェーンでは今年2度目となる値上げを行うなど、飲食店経営においても多大な影響を及ぼしている。

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日本とアメリカにおける金利差は是正されず、円安は続く気配

円安の一番の原因は、日本とアメリカの金利差にある。アメリカは記録的とも言われるインフレを抑え込むために金利を上げ続けているのに対し、日本は国内景気を下支えする目的で長期金利をゼロパーセント程度に抑えるという金融緩和を続けている。

今回の記録的な円安に際しても、政府と日本銀行は国内景気を優先し金融緩和の方針を変えていない。この状況では円よりもドルを長期保持した方が利息がつくため得となる。つまり、ドルが買われることにより相対的に円が売られているため、円安が続いているのだ。

また、ロシアのウクライナ侵攻の影響による世界的なドル買いの動きや、他国の金融政策の転換なども円安を後押ししている。現在、円は世界的に売られている、言うなれば“人気のない”通貨なのである。

円安がおよぼす飲食業界への影響は?

円安が飲食店に与える影響として最も大きいのが輸入食材の価格上昇だ。肉や冷凍野菜、穀物など、海外から大量に仕入れている食材のコストが上がることは、そのまま飲食店で提供する商品の原価率が上がることにつながる。特に現地の食材を使うようなコンセプトの業態は輸入依存度も高いため、その影響はより大きくなる。

また、輸入している原油などのエネルギー資源の価格が上がることで、電気代や輸送費、加工品などの価格も上昇する。間接的ではあるが、店舗資材や備品、光熱費といった食材以外の価格にも円安の影響が及んでいるため、店舗運営に関するあらゆるコストが上がっていると言っても過言ではないだろう。

画像素材:PIXTA

リンガーハットとココイチは円安による2度目の値上げ

大手外食チェーンでもその円安の影響を吸収できず、一年に2度の価格改定を行うところも珍しくはない。株式会社リンガーハットは、運営するちゃんぽん店『リンガーハット』と、とんかつ専門店『浜かつ』において、11月10日からの価格改定を発表した。円安によるエビや豚肉など輸入食材の高騰を第一の理由とし、今年4月に次ぐ2度目の値上げとなった。

また、『カレーハウスCoCo壱番屋』を展開する株式会社壱番屋も、12月1日からカレーとトッピングの一部を値上げすると発表した。こちらも今年6月に続き2度目の値上げとなる。カレーに使用する肉類に加え、ルーの原料として欠かせないスパイスはそのほとんどを輸入に頼っているため、円安の影響を受けやすい業態のひとつと言えるだろう。

円安による飲食業界への影響は大きく、そして今後もしばらくは続くことが予想される。しかし悪いことばかりではない。例えばインバウンド需要の増加や、特産品の海外輸出などには追い風にもなりうる。業態の見直しや新規事業の展開など、飲食店経営においてはこの円安をいかにチャンスとして活かしていけるかが勝負の鍵となるだろう。

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ライター: 『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

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