中目黒『FUNFAN』に“感度の高い大人”が集う理由。「アジアの屋台」テーマに尖った店づくり
ボトルや缶のビールはセルフサービスで
ナチュールワインとオリジナルの割りもので、ドリンクも差別化
一方、ドリンクも多国籍な品揃えで個性的だ。イチオシはナチュールワインで、1本1万円以上のワインをグラス950円から提供。スパイスの爽やかな芳香を加えた「カルダモンレモンサワー」630円や、ヘルシー感のある「青汁りんご酎ハイ」600円、フランス産のフレーバーティーを使った「特選紅茶ラテ割り」680円などオリジナルの割りものも豊富に揃う。台湾ビールや日本のクラフトビール、ボトルワインは冷蔵庫からセルフで出すスタイルで、ここでも屋台の気軽さを打ち出している。
厨房と客席をシームレスにつなぐ空間が、一体感を生む
さらに、独特の空気感を生み出す工夫の一つが、仕切りのない開放的な空間設計だ。店内は、加熱調理を行なうキッチンのほか、おもに前菜を仕上げるコールドテーブル、ドリンクカウンターを独立して設け、それらの合間に客席を設置するというユニークなレイアウトとなっている。
「厨房と客席の境を明確にしないことで、屋台のような一体感を生み出しています。調理とドリンク、洗い場を1か所にまとめてしまうと、この規模で43席を回すのは難しい。分業させることでオペレーションの効率化にもつながっています」
スタッフは常時3~5人体制で、ホールとキッチンを分けず、すべてのポジションを担当。お客との会話を積極的に楽しむ、フレンドリーな接客もファンを作る要素の一つとなっている。

手前が前菜用のテーブルとカウンター席、奥がドリンカー(写真提供:エニーシー)
インスタグラムは集客のみならず、スタッフの採用にも貢献
こうした店の世界観を忠実に伝えるツールとして重視しているのが、インスタグラムだ。予約をDMで受け付けていることもあり、インスタグラムの利用層とは親和性が高い。
「掲載する画像ひとつで客層が変わってしまうので、来てほしい客層を意識しながら戦略的にやっています」
イケてる店、というのは働く側にとっても魅力的に映り、最初の求人には数百人の応募があり、履歴書不要、すべて面談で採用活動を行ったというのも興味深いエピソードだ。実際に応募者の中には「お店がカッコいいから」という志望動機も少なくなく、また現在働いているスタッフの中にはもともとお客だったという人も数名いるという。
「『FUNFAN』という店名には、スタッフにもお店のファンになってもらい、また自分のファンとなるお客様を作ってもらいたい、という意味も込められています。仕事は何をするかより、誰とやるかが大事なので、採用はしっかり対面で話をして、会社との相性も見て決めています」
今後の出店にも意欲的で、すでに進行中の案件もいくつかあるという(株)エニーシー。『FUNFAN』とは業態の異なる、個性的な飲食店の誕生に期待が膨らむ。
『FUNFAN』
住所/目黒区青葉台1-28-11 ブルックスビル2F
電話番号/090-7218-2021
営業時間/月~金18:00〜25:00、土日祝17:00~25:00
定休日/不定休
席数/43席
公式インスタグラム
