インボイス発行事業者申請の期限迫る。飲食店がやるべきことと「納税負担が増える」の意味

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飲食店がインボイス発行事業者になった場合、レジ業務の負担はどうなる?
ここまで、飲食店は免税事業者のままでいいのか、それともインボイス発行事業者になるべきなのかというところを解説してきたが、次はインボイス発行事業者となった場合、レジ業務においてどのような対応が必要になるのかという点について触れていく。
■「複数税率対応レジ」であれば、新たなオペレーション負担はない
インボイスとは、売手(飲食店など)が買手(顧客など)に対して正確な消費税率や消費税額などを伝えるために交付されるものだ。そのため、以下のような事項を請求書などに記載する必要がある。
① インボイス発行事業者の氏名または名称および登録番号
② 取引年月日
③ 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
④ 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜および税込)および適用税率
⑤ 税率ごとに区分した消費税額等
⑥ 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
これを見ると、インボイス発行時のレジ業務の負担が懸念されるが、飲食店業においては「適格簡易請求書(簡易インボイス)」の交付が認められているため、領収書やレシートを簡易的なインボイスとして発行できる。
簡易インボイスの場合、⑥を省略することが認められているので、複数税率に対応しているレシートを発行できるのであれば、新たな業務負担が増える心配はない。
インボイス発行事業者申請の手順とは
最後にインボイス発行事業者申請の手順について紹介する。大まかな流れは申請前に把握しておこう。
■申請書を作成する
申請書を国税庁の専用サイトからダウンロードする。紙に印刷して記入するほか、電子版の書面への記入・申請も可能だ。
■国税庁に提出する
電子申請に必要事項を記載し、国税庁に提出する。紙の場合は「インボイス登録センター」に郵送する。
■取引先に通知する
取引先に対して登録番号や交付・受領方法の連絡を行う。

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政府は小規模事業者への負担軽減策も検討中。こまめな情報のチェックを
インボイス制度をめぐっては、いまだ政府の間でも議論が続いている状況であり、ルールが定まっていない部分も多い。具体的には、「1万円未満の取引であれば、インボイスがなくても消費税額の控除を受けられるようにする」といった小規模事業者向けの特例措置や、「免税事業者が新たに課税事業者になった場合、納税額を売上税額の20%にする」という負担軽減策が検討されている、などだ。
この辺りは、今後も議論を重ねながら徐々に整えられていくとみられるため、飲食店は定期的に情報をチェックしてほしい。
