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10月の外食売上、コロナ前の19年比を上回る。居酒屋業態も前年比149%と好調

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画像素材:PIXTA

新型コロナウイルスの感染拡大に翻弄されてきた外食業界だが、「第7波」の影響が比較的落ち着いた10月は全国で人の動きも活発化し、飲食店にも活気が戻った。10月11日より「全国旅行支援」や「水際対策の大幅緩和」などの措置が取られた影響も少なくないだろう。

一般社団法人日本フードサービス協会が行っている「外食産業市場動向調査」の2022年10月度報告によると、店舗数が減少する中ではありながら、価格改定に伴う客単価増も相まって前年同月比で全体売上は114.8%に達した。業態によって違いはあるものの、全体的に見ると19年対比で105.5%と初めてコロナ禍前を上回った。 今回はその調査結果をご紹介する。

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全体的に好調だったファストフード業態

業態別の数字を見ていこう。ファストフード(以後FF)業態は、テイクアウト・デリバリーが堅調であることに加えて店内飲食も戻り、全体売上は前年比で109.9%、コロナ禍以前の19年比で118.0%増を記録した。

以下は前年比の数字を見ていく。ハンバーガーやフライドチキンなどの「洋風FF」は、秋の定番メニューと新商品の好調、プラス宣伝効果もあり、売上は110.8%。牛丼や丼ものなどの「和風FF」は、朝食の販売促進・デリバリー件数の増加などで、売上111.0%となった。

うどん・そばなどの「麺類FF」は、季節限定メニューの好調によって売上113.0%だったが、コロナ禍前と比べると98.8%と、以前の水準を越えていない。「持ち帰り米飯/回転寿司FF」は、サイドメニュー増強や価格改定に伴う客単価上昇で売上105.1%。「その他FF」では、゙ハロウィンキャンペーンを展開した「アイスクリーム」が都心部のイートインで好評だったことから、売上107.1%だった。

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夜間の客足がなかなか戻らないファミレス業態

ファミリーレストラン(以後FR)業態は、店内飲食が回復したことで、各地の営業制限が続いた前年との対比で120.3%と上向いたが、19年との対比では96.7%にとどまっている。来店目的が明確な専門店ほど回復傾向が強い一方で、夜間の客足の戻りは鈍い。

「洋風FR」は主に昼間の客数が順調に回復し、売上121.3%。「和風FR」は、インバウンド需要の高まりから回復の兆しが見られ、売上120.6%。「中華FR」は、テイクアウト・デリバリーが好調で売上118.3%。「焼き肉FR」は客数増により売上118.2%となった。

需要回復の居酒屋・ディナー業態。喫茶業態は夕方以降の集客に苦戦

パブ・居酒屋業態はどうか。営業制限ありだった前年との対比では、店舗数94.4%、客数137.9%、客単価108.5%、売上149.7%だった(19年比では63.4%)。少人数客は回復傾向にあるが、二次会や法人による宴会などの需要は回復が遅い。

コロナへの警戒感が薄れたせいか、ディナーレストラン業態では店内需要が戻りはじめ、売上124.8%。また観光地などの立地によっては、訪日外国人客も戻りつつあり、19年比でも93.4%にまで回復してきたものの、人手不足という難題に直面している。営業時間が増やせず、頭を痛めている経営者も少なくない。

喫茶業態は昼間の客数が回復している。価格改定や季節限定の付加価値商品の導入などもあって客単価が上昇し、売上は前年比119.0%に届いた。だが夕方以降の集客ぶりはいまひとつ。19年対比では90.0%にとどまった。

これまで見てきたように、全体的に売上は回復基調にあり、業態によってはコロナ禍前を上回っている。しかしインフレや円安などに加え、第8波の到来など、別の新たな問題も生じてきているため、引き続き動向に注目したい。

引用元:一般社団法人日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査」2022年10月度 結果報告

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タシロアキラ

ライター: タシロアキラ

大学の教育・研究の記事を中心に20年ほど紙媒体のライターとしてキャリアを重ねる。フリー転身を機に、趣味である食、スポーツ、ガジェットのジャンルでWEB記事執筆にも進出中!