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夜は4回転することも!『烏森百薬』が打ち出す「名店のセレクトショップ」という必勝策

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スタッフの平均年齢は28歳。「若くても与えられる権限が大きく、チャンスの多い会社です」と山本氏

店内のいたるところに仕込まれた会話のきっかけ。「小さなメニュー表」もそのひとつ

『烏森百薬』がヒットした要因について山本氏は、コンセプトの面白さを挙げつつも「圧倒的なサービス力が評価されたのでは」と分析する。

「料理の仕込みが不要な分、サービスを手厚くできるのが最大の強みです。だから夜はスタッフを厨房に2人、ホールに4人という配置で営業しています。飲食店の本質はリアルなサービス。コロナ禍で当たり前のことができなくなったことをきっかけに、最も大事なことを再認識しました」

店づくりにおいても、お客と自然にコミュニケーションをとるための仕掛けが随所に施されている。

「例えばうちのメニュー表は、あえてサイズを小さくしているんです。カウンターの幅が狭いからという理由もありますが、こうしたことがお客様との会話のきっかけになればいいなと思っていて。実際、読みにくそうにしている年配のお客様には『ハヅキルーペ』をお渡しするところから、ふと会話が始まることもあります。またカウンター後ろの黒板には、お客様におすすめしたいメニューや、食べ方のアレンジといった情報を書いているのですが、こうした内容もコミュニケーションの糸口になります」

商品知識やオペレーションなどの共通事項はマニュアル化した上で、サービススタッフには視野を広く持ち、料理のエピソードひとつにしても「自分の言葉で伝える」、「お客によってアピールの仕方を変える」といった応用ができるよう、教育を徹底しているという。

お客との距離感が近い、1階カウンター席。日本酒は、お客との会話のきっかけになりそうな銘柄をチョイス

貸し切り可能な2階席で宴会需要を獲得しつつ、サービスの負担は軽減

さらに、同店の集客に一役買っているのが、10名以上、合計4万円から貸し切り可能になる2階席だ。16名まで収容できるテーブル席の空間には、セルフサービスでお酒をつげるようコイン式のディスペンサーを設置。フードの持ち込みも許可している。お客にとっての楽しさを演出するとともに、サービススタッフの負担を軽減する得策だ。

「界隈には16人がワンフロアに入れるお店が少ないこともあって、コロナ前は毎日予約が入るほど好評でした。昨年10月以降、貸し切りのご予約はまた増えてきています」

貸し切り需要を見込み、2階に設置した酒のディスペンサー

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笹木理恵

ライター: 笹木理恵

飲食業界専門誌の編集を経て独立。スイーツ・パンからフレンチ、ラーメンなどまで、食のあらゆるジャンルを担当。飲食専門誌を中心に、一般雑誌やWEB、書籍などで活動している。「All About」「Yahoo!ニュース個人」でも執筆中。 https://foodwriter-rie.com/