豪徳寺で坪月商55万円を誇る『焼とりダービー』。地域を巻き込む福田氏の求心力
自分は九州出身のよそ者(笑)。だからこそ積極的に街に関わる
鶏肉に限らず、豚、牛、野菜など、好きなものを何でも串に刺して焼くのが福岡流の「焼き鳥」だ。中でも豚バラは、ねぎまやももと並ぶほどの定番で、『ダービー』ではやはり九州産の豚肉を使用し、七味で香り付けしたシンプルな「黒豚バラ」と、自家製麻辣で仕上げた「麻辣豚バラ」をラインナップ。レタスや鶏卵一個を丸ごと豚バラで巻いた「レタス巻」「半熟玉子巻」などここでしか味わえない串も多く、こうした独自性も多くのお客がこの店に足繁く通う理由のひとつとなっている。
故郷・九州の銘柄肉がずらりと看板を張る一方で、豪徳寺の街の商店とコラボレーションしたメニューづくりも『焼とりダービー』の大きな特徴といえるだろう。例えばドリンクメニューのトップを飾るのは、ダービーの向かいの茶葉販売店『岡茶園』のお茶を使った各種「茶割」。駅を挟んで反対側のコーヒーショップ『IRON COFFEE』の豆で仕込んだ「珈琲焼酎」がその脇を固めるかと思えば、〆の一品には、斜向いのカレー店『WOHOS MART 咖喱』のオリジナルブレンドスパイスでつくる「スパイスカレー」も好評だとか。
「豪徳寺は外から人がたくさん来る街ではないので、地元の方にどれだけ親しんでもらえるかがすべて。だからこそ、“街とのつながり”を何よりも大切にしています。そもそも自分が九州出身のよそ者ですからね(笑)。地域に根ざした店になるためには、自分から街に関わりを持ち一緒に店をつくってもらって、地域の関係人口を増やさなければと考えていました。でもそうすれば、お客様は必ず応えてくれます」
事実、9割がリピーターだというこの店のお客の多くは周辺住民。開業以降、特別な集客策は行っていないというが、人から人へ自然と輪が広がり『焼とりダービー』には絶えず人が集まってくる。街に寄り添い、訪れたお客を全力でもてなそうとする福田氏の想いが伝わっている証だろう。