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『胃袋にズキュン』下北沢人に愛され月商450万円超! SNS映えより「ストレートにウマイ」を貫く

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株式会社ヒネル『胃袋にズキュン』店長の後藤隼さん

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駅前再開発とともにファッションとカルチャーの街として、ますます集客力を強める下北沢。昭和レトロな店がいくつか残る一番街商店街の一角に、独自の世界観を放つ小さなビストロがある。その名も『胃袋にズキュン』。SNSのグルメ系アカウントでもたびたび取り上げられる、都内ビストロの定番かつ名店だ。インスタグラムなどの投稿を見た若い女性を中心に、連日多くの予約客が訪れている。

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SNS映えは結果論。あくまで「ストレートにウマイ」の基本理念を貫く

こうした流れから、さぞかしSNSマーケティングに明るいのだろうと、同店の店長・後藤隼さんにその集客術を尋ねたところ、意外にも真逆の回答が返ってきた。

「インフルエンサーマーケティングは全く意識していません。あくまで店のコンセプトである『ストレートにウマイ』という軸を崩さないように徹底しているだけです。SNSで話題にしてもらっていますが、それに陶酔したり、変に迎合したりせず、僕らは僕らのスタイルを貫くようにしています」(株式会社ヒネル 後藤隼さん、以下同)

こうした姿勢は売上にも表れており、ここ数か月は月商400~450万円ほどを推移、最高時は500万円を超えるほどだという。

店内の黒板に掲げられる店のコンセプト。「胃袋にズキュンとは――シンプル、純粋、簡単、完結、分かりやすい、偽りのない、飾りのない、ストレートにウマイと感じること!」

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前菜580円、メイン2,400円。思わず注文したくなる“明朗価格”のメニュー構成

メニューには、その言葉通りシンプルながら手の込んだ料理とこだわりを感じるドリンクの数々をラインナップ。思わず取材陣の腹の虫も騒ぎ出す。

「自信を持って提供できる国産素材を使って、料理は基本的に手作りしています。手間はかかりますが、既製品を仕入れるより原価率を抑えられるし、うちでしか食べられないという付加価値もつきますから」

店内で作る自家製ハム。オリジナルのミックススパイスをまぶして3週間熟成させ(左)、その後火入れをする(右)

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定番メニューのほかは、同社の代表取締役・福家征起さんが全国津々浦々を訪ねながら目利きした希少食材や、旬の食材から発想した後藤さんのオリジナルメニューなど、季節にあわせて変化させるそう。また前菜やメインなど品目ごとに同額で設定されたメニュー構成は一見してわかりやすく、お腹や財布と相談しながらオーダーしやすい。

「お食事目的の方には、『前菜3種盛り』と『お肉惣菜3種盛り』、メイン料理から1品、という注文をおすすめしています。1品が基本的に2名様分の量なので、これでおふたり分のシェアコースの完成です」

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一品の単価は580円〜ととてもリーズナブルだが、おすすめのシェアコースで注文が入れば、2名で5,830円。フードにあわせてドリンク1〜2杯やデザートのオーダーがあれば、客単価5,000円の目標売上が自然と達成できる仕組みになっている。お客にとっては、一皿の分量が明確であること、品目ごとの均一価格なども、食べたいものを次々にオーダーしたくなる要因だろう。

またメニューの構成上、料理の提供順序がわかりやすいため、厨房とホールの連携もスムーズ。ゆえに22席をスタッフ3人で十分対応できているという。

『とってもズキュンなお肉惣菜3種盛り(1,790円)』。2名でシェアできるたっぷりのボリュームが嬉しい

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松本ゆりか

ライター: 松本ゆりか

東京でWebマーケターを経験した後、シンガポールへ渡りライフスタイル誌やWebメディア制作に携わる。帰国後、出版社勤務を経てフリーライターに。主に中小規模ビジネスや働き方に関する取材・執筆を担当。私生活ではひとり旅とはしご酒が好きなごきげんな人。