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オープン半年で月商300万円を600万円に。悪立地を跳ね返す『oh 釜 bar』の強さとは

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オープン当初のフードメニュー。釜飯のメニューカテゴリーの中央に置いており、一品料理の品数も28品に絞り込んでいた

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すでに2回のメニュー改定。ようやく商品構成の大枠が固まる

『oh 釜 bar』は釜飯をフードメニューの柱とし、一品料理にも釜を使ったさまざまな商品をラインアップしている。店内中央にはL字型カウンターで囲うようにかまどを配置。そこに羽釜を用いた蒸し器や炭焼き台を設置し、シズル感に溢れる商品を提供しているが、「オープンから半年間ですでに2回の大幅なメニュー改定を実施しました」と柳沢氏は言う。

「当初はメニュー表で釜飯を前面に打ち出したのですが、そこに注文が偏ってしまいました。釜飯だけではアルコールの注文につながりにくく、居酒屋としての機能をフルに発揮できません。まずはつまみとお酒を楽しんでもらい、締めに釜飯を食べるという注文の流れをつくるため、一品料理の入れ替えやメニュー表記の変更などを実施したわけです」

写真は2023年6月に導入された最新のフードメニュー。4月に導入したメニューと商品構成の大枠は変わっておらず、釜飯のメニューカテゴリーを下段に配置し、一品料理は35品を用意している。季節の食材を用いた釜料理を提供するため、メニューラインアップは年4回入れ替える

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メニューを大幅に入れ替えたのは2023年1月と4月

当初、釜飯には具材を追加して料理をカスタマイズできるトッピングメニューや白飯として提供する「炊き銀シャリ」(780円)などを用意していたが、「注文数があまり伸びなかった」(柳沢氏)ことから、メニューを刷新。新メニューでは「牛テール塩釜飯」(1,600円)、「さば明太と新ショウガの釜飯」(1,600円)、「鯛と桜エビのかき揚げ釜飯」(1,700円)など、具材のバリエーションで独自性を追求した釜飯7品を揃えている。

一品料理のメニューラインアップも大きく変更した。商品数は28品から35品に拡充。「肉汁豚焼売」(1個480円)、「出汁釜玉蒸し 季節のあん掛け」(980円)などオープン当初からの売れ筋を残しながら、35品のうち18品を新商品に入れ替えた。

「メニュー表記の順番も見直しました。当初は釜飯カテゴリーをメニュー表の中央に配置していましたが、それをメニュー表の下段に移動。ファーストオーダーでまずはつまみを注文していただくため、一品料理をメニュー表の上段にまとめました」

フードメニューのメインは7品を揃える釜飯。写真の「牛テールの塩釜飯」(1,600円)は釜飯の売れ筋トップの商品だ

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リピート客を増やして売上が急上昇。月商600万円を達成

『oh 釜 bar』はメニュー改定の時期と前後して売上が急上昇した。隠れ家的な立地とシズル感溢れる商品がインフルエンサーの目に止まり、TikTokで取り上げられたことが起爆剤となって客数が大幅に増加。さらにリピート客をしっかり摑むことにより、直近の2023年5月には月商600万円を達成している。

リピート客を増やし、悪立地の店を繁盛店に変えるための原動力になるのが接客だ。

「お客さまに楽しんでいただくこと、接客ではそこに全力を注いでいます。入店時のご案内に時間がかかる、商品提供が遅れるといった事態は混雑時にどうしても起こってしまう。そういう時にただお詫びをするのではなく、ウェイティング中のお客さまにはミニ缶ビールをサービスする、提供が遅くなった商品にはおまけの料理をつける、そういった工夫次第でお客さまの不満につながるトラブルもプラスに変えることができるんです」

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栗田利之

ライター: 栗田利之

フリーランスの記者として、15年以上にわたって外食経営誌の記事を執筆。大手、中堅の外食企業や話題の繁盛店などを取材してきた。埼玉県下を中心に店舗網を拡げている「ぎょうざの満洲」が贔屓の外食チェーン。