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オープン半年で月商300万円を600万円に。悪立地を跳ね返す『oh 釜 bar』の強さとは

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写真手前から時計回りに「出汁釜玉蒸し 季節のあん掛け」(980円)、「牛バラ肉の味噌煮込み」(680円)、「釜炊き! 岩カキ麻婆豆腐」(1100円)。いずれもシズル感満点の売れ筋メニューだ

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「お客様にワクワク感を提供する」ことを常に意識

これらはベイシックスの企業文化ともいえるサービススタイルだが、それに加え、「『oh 釜 bar』はワクワク感を提供しやすい商品が多いため、自分たちの強みを活かしやすい」と柳沢氏は言う。

「『お客様にワクワク感を提供する』ということは僕らが常に意識していることです。尖った業態をつくり、ホスピタリティ溢れる接客に全力を注いでいるのも、お客様に非日常のひと時を提供するため。『oh 釜 bar』のフードメニューはシズル感に溢れ、さらに接客に結びつけやすい商品でもあるため、ワクワク感を提供しやすいんです」

たとえば、看板メニューの釜飯は提供時にお客の目の前でスタッフが木蓋を開け、ごはんを取り分けている。1合炊きのため、1人前の分量としてはやや多いが、後半はダシ茶漬けにすることもでき、食べきれなければおにぎりにして持ち帰ることもできる。そうしたサービスがお客との接点になり、そこで持ち前の接客力を活かして店の売りを強く印象付けているのである。

一品料理も同じことがいえる。売れ筋の「出汁釜玉蒸し 季節のあんかけ」(980円)は蓋をした釜の中で玉子焼きをフワフワに膨らませて提供する商品。卓上で蓋を開ける際、スタッフは「スマホ撮影の準備はいいですか? シャッターチャンスを逃さないでくださいね」などと声をかけて酒席を盛りあげる。こうした商品と接客が結びついたサービスにより、居酒屋ならではの楽しさを提供している。

渋谷百軒店は狭いエリアに個性的な飲食店の他、ストリップ劇場やラブホテルなども建ち並ぶディープなスポットだ

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出店立地の選定基準は「色気があるかどうか」

前述したようにベイシックスは一見すると悪立地に思われる場所に出店していることが多いが、これも「ワクワク感を提供することを目的にしている」と柳沢氏は言う。

「立地、物件選定で意識するのが『色気』があるかどうかということ。たとえば、西麻布の『山田五郎邸のごりょんさん』は最寄り駅からのアクセスはよくないのですが、西麻布交差点付近から店に向かって伸びる細い坂道にはなんともいえない趣があります。『ジョウモン 六本木店』がある芋洗坂もオープン当初は周りにほとんど店がなく、六本木にありながら閑静な坂道だった。店までの道のりもワクワクしていただく、そういった視点から立地、物件を選んでいます」

『oh 釜 bar』と『成吉思男』は渋谷百軒店奥の細い路地沿いに店を構える

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そして、『oh 釜 bar』と『成吉思男』を出店した渋谷百軒店は「色気が溢れている街」だと柳沢氏は言う。

「渋谷百軒店には2009年に『ジョウモン 渋谷店』をオープンしました。ディープな街ですから、このエリアに足を踏み入れるのに躊躇する人も少なくありません。そのため、この店の営業を軌道に乗せるまで1年以上かかりましたが、今ではそれが売りのひとつにもなっています。『oh 釜 bar』と『成吉思男』も同じ。怪しさが漂う歓楽街の奥にある店まで足を運んでいただくと、期待を上回る商品とサービスが待っている。そうしたギャップがリピート客づくりにもつながるのです」

目標売上は『oh 釜 bar』と『成吉思男』の2店を合わせて月商1,200万円。「1業態で2フロアの客席を埋め尽くし、月商1,000万円を売り上げるのは難しい、2業態なら月商1,200万円は狙えるだろうという考えから、『oh 釜 bar』の開発に乗り出しました。その狙い通りに売上は伸びており、2店の合計月商はすでに1,000万円に到達した。現状では『oh 釜 bar』と『成吉思男』は月曜定休にしていますが、定休日なしに切り替えれば2店合計で月商1,300万円は狙えると考えています」と柳沢氏は意気込みを語る。

『oh 釜 bar shibuya』
住所/東京都渋谷区道玄坂2-20-10 2F
電話番号/03-6427-8884
営業時間/17:00~23:30(フードL.O.22:30、ドリンクL.O.23:00)
定休日/月曜
席数/36

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栗田利之

ライター: 栗田利之

フリーランスの記者として、15年以上にわたって外食経営誌の記事を執筆。大手、中堅の外食企業や話題の繁盛店などを取材してきた。埼玉県下を中心に店舗網を拡げている「ぎょうざの満洲」が贔屓の外食チェーン。